寒波に襲われ寒い思いをしたものの賀田湾に面した宿で,凍った体を温かい食事と風呂で十分に癒すことができた.翌朝,目を覚ますと湾口の方角が,ほのかに紅色に染まっていた.暖かな部屋から見る冬の海もなかなかいいものだと思う.
冬の明け方に海を見る機会はそうないので,寒いけれど部屋の窓を開け払って,写真を撮ってみることにした.外の冷え込みは強く,冷気が部屋の中に一気に入り込んでくる.窓の外には,物音ひとつしない静寂の世界が広がっていた.
まだ暗いうちから,釣り筏へ釣り人を送る渡し船の姿があった.そして,山の向こう側の空は,すでに白んでいて,太陽が昇っているものと思われた.宿は東北向きであるし真冬なので,日の出は残念ながら見ることができなかった.
みるみるうちに空は白んできて,真っ赤な光が紀伊半島の大地に降りそそぐ.ちょうど対岸に位置しているのは三木浦の漁港町だと思われる.太陽の光を浴びて,まさに一日が始まる瞬間だった.
賀田の町にも徐々に太陽の光が差し込んで,明るくなってきた.昨日とまでは打って変わって,雲ひとつない快晴だ.そして,太陽が昇ってから,心なしか寒さもかなり和らいできたような気がする.
太陽は高い位置まで昇り,賀田湾は空と海の青一色に染まる.真冬にこのような景色が見られるのも,紀伊半島ならではだと思う.この風景を見ながら暖かい朝食をとり,惜しまれるようにして宿を出た.
朝一番,オートバイで走る海岸線はとても気持ちがよかった.
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