
暑さが本格的になる前に,今年も三重県熊野市の丸山千枚田を訪れた.関西に来てから3年目の夏を迎えるが,千枚田は毎年欠かさずに訪れるようにしている.

この千枚田には,一度見ただけでは満足できない魅力があると思っている.誰しも,何度訪れても飽くことのない景色の,一つや二つを持っているはずである.わたしにとって,丸山千枚田の景観がまさにそれに該当する.

8月上旬の千枚田は,コロナウイルスの影響など何処吹く風といった感じで,青田が眩しいほどに輝いていた.水張の時期の田圃も素晴らしいけれど,稲穂がたわわに実ってきた頃の棚田は,より立体的に見えるような気がした.

今回は,暑さもそこそで,千枚田を上から見下ろして,写真におさめるだけの予定でいた.けれども,棚田のそばまで降り立ったライダーが,とても気持ち良さそうに辺りを散策したり,写真を撮っていた.

結局,暑さよりも棚田の景色をより近くで見たいという欲求の方が勝って,気が付けば棚田の下に降り立っていた.先ほどのライダーとは,すれ違うこともなく,どこかで行違っていたようだった.

やはり,上から見るのではなく,棚田の下に降り立ってみなければ,わからない素晴らしい景観が広がっていた.先ほどのライダーがいれば,あなたのお陰で素敵な景色を見ることができましたと,一言声をかけていたに違いない.

この素晴らしい棚田の風景を眺めたり,写真におさめたりしていると,やはり滝のような汗が出てきてしまった.それでも,そんなことはどうでもよいと思えるほどの絶景だった.

この青々とした稲穂も後一カ月もすれば,黄金色に輝いていることだろう.今年は,コロナウイルスの影響もあって,一年が異常に早いように感じる.そして,千枚田を見に来ている人の数も少なくて,少し寂しい心持がした.棚田が黄金色に輝く時期の再訪を誓って,千枚田を後にした.
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