
明け方の早いうちに,寝静まっている街をオートバイで抜け出して,峠を越えて和束町へ向かった.明け方は気温も湿度も低くくて,今もっともオートバイで走行しやすい時間帯かもしれない.

和束町を過ぎてから,無心で走行していると,気付けば伊賀のすこし手前辺りまで進んでいた.標高は500メートルくらいの低山だけど,下界の方はまだ雲で覆われていた.しばらく雲を眺めていると,雲は数分のうちに,字のごとく雲散霧消してしまうのだった.

山を降りると,急に陽が射してきた.木津川と並行して走る関西本線の鉄橋の近くには沈下橋がある.沈下橋のコンクリートの継ぎ目からは,淡い緑色のちいさな植物たちが重力に逆らって,上へ上へと伸びようとしていた.おだやかな流れの木津川には,やはり,おだやかな時が流れていた.

暑くなってきたし,午後から天気は下り坂なので,茶畑を周りながら帰路へと向かうことにした.茶畑には一部,お茶の葉が刈り取られている所があった.遠くの方には,黒いシートで覆われた茶畑も見えた.この季節,茶畑はいろいろな姿を見せてくれる.

ここ最近は,梅雨のような天候や嵐のような不安定な大気の状態が続いている.なかなか一日を通して,オートバイに乗ることができないでいる.それでも走り慣れた場所をすこし時間をかけて見て周ると,再発見することが色々とある.焦らずにのんびりと行こう.そんな,とある休日の朝だった.
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