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もんく [とある南端港街の住人になった人]

スペインかポルトガルの港町に住みたい
日本→インドネシア→台湾→マレーシア→日本
since Oct. 2004

映画「MONSOON WEDDING」(モンスーン ウェディング) -リアル・インド!

2006-02-01 22:53:26 | 映画って !
日本にITの時代がやってきて少しの年月が過ぎた。
それによって便利になると共に、それについていかれない人間が多数いる事が問題になったのも事実だ。

こんな話はいつの時代もあり、新しい時代と古い時代、新しい物と古いもの、若者と大人、金持ちと貧乏人、既得権者と成り上がり、ついて行ける者といけない者がせめぎ合った。時には血さへ流した。

大抵の場合、遅れをとった者の姿は物悲しげに描かれる。底辺に生き、これまでのやり方に生き、時には虐げられ、そんな生活のどこか光を見出して強く生きる姿が描かれる。これは日本の場合だ。


インドの場合、そんな悲壮感は無いらしい。
新しい時代もその産物も受け入れ、あらゆる違いも積極的に受け入れる。だから困難はあっても悲壮感は無い。実にパワフルだ。生活にいろいろな新しいものが入ってきて、見た目は随分と変化してしまってもインド人のアイデンティティはちゃんと維持される。そう言う平衡感覚がそこにはあり、それが力の源泉なのかもしれない。

あらゆる違いを包み込んで降るモンスーンの雨はその象徴であろうか。


たまにはインド映画をと気軽に選んで見てみたら...すっごく良くてびっくりした。実に面白い映画。あの踊るナントカのとはもちろん全然違う。今まで語られてきた観念的なインドとは違う新しい時代のリアル・インドを見せてくれる映画だった。


(結果:踊ってるけどリアルなインドは是非見るべき)

映画「Brazil」(未来世紀ブラジル) -脳みそをかき回せ

2006-02-01 13:06:03 | 映画って !
映画を作る場合に何をテーマにするかは製作者の生活環境に左右されるものだ。

以前インドネシアで開かれた絵画の展覧会を見に行って驚いた。

インドネシアの絵画と言えば観光客の私達には伝統的な手法やモチーフのものを想像するのだが、それはもちろん観光客向けの単なる民芸品としてのものである。しかし、インドネシアは想像以上に芸術絵画が盛んであって、民芸絵画を描かない芸術家も多い。その展覧会に出品していたのは芸術絵画を描く人ばかりであったのでそこに描かれていたのはもちろん美術品として絵画であった。

驚いたのは民芸品では無かったと言う理由ではない。その描かれているテーマについてである。

日本でその手の作品を見るとき、そこに表現されるものは「美」である。
芸術は「いかにして美を表現するか」と言うテーマに対する答えであると、私は思い込んでいた事に私自身がそこで初めて気付いた。

インドネシア人芸術家がそこで表現していたのは「美」などではなく「社会」であった。その頃のインドネシアはスハルト独裁時代であり、社会体制に対する批判などしようものなら投獄は免れなかったのであるが、芸術の皮を被せる事でそれを免れつつ貧困問題や社会の不正、不公正を訴えていたのである。



この映画を見てそんな事を思い出した。
もちろんこの映画のテーマとこの話は直接関係無いのであるが、この映画にはそういったものが含まれている。直接テーマについては見ればわかりそうなのでそれで良いと思うのでそれ以上ここでは言わないでおく。


多分、最もこの映画で評価すべき点はその表現方法だろう。まるで夢野久作の小説のようで、見ているこちらの頭の中身をしっかりかき回してくれる面白さがある。これも書くより見るべきなので.....これまで。

(結果:かき回されよう。)