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もんく [とある南端港街の住人になった人]

香り

久しぶりにカモミールを干している。
カモミールはミルクで煮出すと香りが甘くて心地良い。

人はずっと脳を働かせていると勝手に使い方を間違えてしまうらしい。
いくつかの種類の香りはそんな脳の働きを正常に戻す作用を持つそうだ。その代表はワサビであるが、感じとしてはパクチー(香菜)などもそうかもしれない。カモミールはその仲間には入らないだろうが、この甘い香りには安心感を催すものがあるようだ。



多くの日本人は生活の全てを仕事につぎ込んでしまっている。生活と言うより「命」と言った方が良い位、つぎ込んでしまっている。その姿は飛行機に乗せられてこれから出発する特攻隊員のように見えなくも無い。

「勤勉」と言うのは日本人にとっての一つの美徳であり、普遍的な徳だ。我々はそれに支えられてこの繁栄を享受しているのだからこれは否定しようが無い。何か一つの仕事を以ってそれに精通しやり遂げる。その精神の強さが評価されるものとなる。


現在の職業事情は流動化が進み、正社員雇用は減少しアルバイトや派遣雇用の割合が多くなっている。これを社会構造の変化と捉える向きもあるが、労働者側から見たときには未だ正社員雇用の方が理想の雇用形態のようにその目には写っているらしい。

それはやはり、一つの仕事を以ってそれに精通し何年かかってもやり遂げるのを良しとする故だろう。

そんな仕事をしながら死んでいってしまう人は多い。仕事によるとは限らないが、日本は特に自殺が多い国だ。自殺に至らない場合でも体をこわしてしまったり、過労死などもある。


仕事とは生命をかけてまでする事なのか。
そうまでする美徳があるものか。


先日、農林水産大臣の松岡氏が自殺した。
確かにその行いは誉められたものでは無いと思う。だから周りも責めた。
責める方は「責任」と言う言葉を口にする。責任と言う言葉で人を責める。話し合いの場で責められるのはいつも「人」だ。国会に限らず日本の社会ではいつでもそうだ。明示的に悪い事をしたのでなくてミスを犯した場合でも責められるのはその行いでなくて人だ。




日本人は他人に大して美徳に合致した行いと言うものを求める。
対象になるのは行いや機能ではなくて人そのものだ。だから人はそれに応えようとする。そして何かになろうとする。無理をして自分以外の何かになろうとする。それが美徳であるから、そうするのが自然だから。


こんな状況の中ではたった一回の悪行はもちろんミスさへも許されることがない。だから一度のミスは切腹に値する。会社の中で問題が起こったら責任者、担当者が責められる。これで切腹となる。二度の人生は無い。時代劇のような展開だが、これが日本社会では普通に行われている事だ。



パチリ。
私はテレビのスイッチを消し時代劇を見るのをやめる。
ミルクパンにミルクを入れ。カモミールを数個加える。砂糖も少し入れ、沸騰する前に火から下ろす。漉し器を通してマグカップにミルクを分け入れる。

時代劇よりもこっちの方が自分の身体にとっては良いものだと思うから。



首相が松岡氏の遺書を紹介 事務所費疑惑の言及なし(共同通信) - goo ニュース
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