
険しい道のりを歩く。
食料を運ぶ事が俺の仕事だ。
その前に、まず、食料の所在を見つけなくてはならない。
あてもなく歩く。
これも苦痛だ。
元来た道を慎重にトレースする本能も必要だ。
時には強烈な突風に見舞われ、体ごと吹き飛ばされそうになることも多々ある。
一番の危険は落石としか表現の仕様がない、無秩序な物体の落下だ。
避けようがない。
俺たちの隊列のど真ん中に落下してくる。
落下物には意図が無いからたちが悪い。
ただ、歩いているだけなのだから。
仲間の屍を避けながら、隊列を組み直し、食料を「巣」に運ぶ。
俺たちはアリだ。
浩一は公園のベンチに座って、アリの隊列を眺めていた。
疲れた。
発注ミスによる謝罪行脚。
自分のミスならいざしらず、立場上、動ける人間が誤りに行くだけの事なのだ。
ねちねちねちと文句を言われる。
当たり前だ、謝罪なのだから。
しかし、こうも思う。
そんなたいした問題じゃあ無いだろう。
午後4時。
もう一件、行かなくてはならない。
最大の取引先、本日の山場だ。
現実逃避。
児童公園にふらふらと足を踏み入れ、どさりとベンチに座った。
視線を落とした。
ほこりっぽい地面にアリ達がいた。
僕もアリのようだと浩一は思った。
毎日、出勤し、働き、家に帰る。
駅につながる、グレースーツを着込んだサラリーマン達の群は、まさにアリのようだ。
しかしアリにはアリの使命がある。
俺にも俺の使命があるのだ。
ぐいっと飲みかけの缶コーヒーを飲み干し、立ち上がった。
その姿を眺めるものがいた。
いつも思っていた。
たくさんの小人がわしゃわしゃと歩いているな。
俺は機械だ。
まさかその小人、一人一人に意思があるとは知らなかった。
実は浩一を朝から追いかけていた。
ビルの窓から見た、頭を下げる浩一。
うなだれる浩一。
今、立ち上がった浩一。
目には決意の輝きが見える。
はるか上空、大気圏を抜け、地球の軌道上に浮かぶ軍事衛星「スラッシュ」
スラッシュはある指示を本部から受けていた。
世界5都市へのレーザー攻撃。
スラッシュには武器が搭載されていた。
攻撃指示を受けたのだ。
本来なら
迅速に実行にうつすべし。
しかし、スラッシュは浩一と目が合ってしまった。
正確には浩一の意思とリンクしてしまった。
そうして、スラッシュは悩んだ。
悩んだ末、地球からの通信ラインをオフにした。
そして、位置補正用の側面ジェットを一ふかし点火した。
これで
俺は
軌道上から逸れる。
そして
宇宙をさまようのだ。
だが、これでいい。
スラッシュはそう思った。
食料を運ぶ事が俺の仕事だ。
その前に、まず、食料の所在を見つけなくてはならない。
あてもなく歩く。
これも苦痛だ。
元来た道を慎重にトレースする本能も必要だ。
時には強烈な突風に見舞われ、体ごと吹き飛ばされそうになることも多々ある。
一番の危険は落石としか表現の仕様がない、無秩序な物体の落下だ。
避けようがない。
俺たちの隊列のど真ん中に落下してくる。
落下物には意図が無いからたちが悪い。
ただ、歩いているだけなのだから。
仲間の屍を避けながら、隊列を組み直し、食料を「巣」に運ぶ。
俺たちはアリだ。
浩一は公園のベンチに座って、アリの隊列を眺めていた。
疲れた。
発注ミスによる謝罪行脚。
自分のミスならいざしらず、立場上、動ける人間が誤りに行くだけの事なのだ。
ねちねちねちと文句を言われる。
当たり前だ、謝罪なのだから。
しかし、こうも思う。
そんなたいした問題じゃあ無いだろう。
午後4時。
もう一件、行かなくてはならない。
最大の取引先、本日の山場だ。
現実逃避。
児童公園にふらふらと足を踏み入れ、どさりとベンチに座った。
視線を落とした。
ほこりっぽい地面にアリ達がいた。
僕もアリのようだと浩一は思った。
毎日、出勤し、働き、家に帰る。
駅につながる、グレースーツを着込んだサラリーマン達の群は、まさにアリのようだ。
しかしアリにはアリの使命がある。
俺にも俺の使命があるのだ。
ぐいっと飲みかけの缶コーヒーを飲み干し、立ち上がった。
その姿を眺めるものがいた。
いつも思っていた。
たくさんの小人がわしゃわしゃと歩いているな。
俺は機械だ。
まさかその小人、一人一人に意思があるとは知らなかった。
実は浩一を朝から追いかけていた。
ビルの窓から見た、頭を下げる浩一。
うなだれる浩一。
今、立ち上がった浩一。
目には決意の輝きが見える。
はるか上空、大気圏を抜け、地球の軌道上に浮かぶ軍事衛星「スラッシュ」
スラッシュはある指示を本部から受けていた。
世界5都市へのレーザー攻撃。
スラッシュには武器が搭載されていた。
攻撃指示を受けたのだ。
本来なら
迅速に実行にうつすべし。
しかし、スラッシュは浩一と目が合ってしまった。
正確には浩一の意思とリンクしてしまった。
そうして、スラッシュは悩んだ。
悩んだ末、地球からの通信ラインをオフにした。
そして、位置補正用の側面ジェットを一ふかし点火した。
これで
俺は
軌道上から逸れる。
そして
宇宙をさまようのだ。
だが、これでいい。
スラッシュはそう思った。
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