大倉草紙

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【兵庫】 第100回展 館蔵品の光彩 山水・人物・花鳥… (頴川美術館) 

2008年10月24日 21時15分51秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
10月21日(火)
当日の行程:(大阪市営地下鉄・心斎橋駅) → 【再興第93回院展(大丸ミュージアム・心斎橋)】 → (大阪市営地下鉄・心斎橋駅~梅田駅…阪急・梅田駅~甲東園駅) → (阪急・甲東園駅~今津駅…阪神・今津駅~香櫨園駅) → 【第100回展 館蔵品の光彩 山水・人物・花鳥…(頴川美術館)】【関西のグラフィックデザイン展 一九二〇~一九四〇年代(西宮市大谷記念美術館)】


          
   

頴川美術館へ「第100回展 館蔵品の光彩 山水・人物・花鳥…」を観に行く。
「小さくともキラリと光る美術館」(頴川美術館のHPより)というのは、決して誇大広告ではなく、まさにその通り。
いいものがギュッと詰まったような美術館だ。


   
   『三保松原図』(一部) 伝・能阿弥 (重要文化財)

六幅のうち、上に挙げたのは右側三幅。
荘厳さ、静けさに満ち満ちた作品である。


          
           『考槃嘯林図』 池大雅

「考槃」とは、悠々自適の生活のことなのだそうだ。
右上のほうに滝が見える。
左下には、滝を見上げる高士とその傍らで茶を煮る童子が描かれている。
高士が滝を仰ぎ見る「観瀑図」は、滝の神秘性と、李白が廬山に詠んだ「望廬山瀑布」のイメージを表わす山水人物図の一形式として、室町時代から好まれている画題だという。
今回の展示品のなかの祥啓作『高士観瀑図』(室町時代)が、まさにそれだ。
さて、大雅の『考槃嘯林図』だが、これは理想郷へのあこがれを描いているのだという。
なるほど、明るい緑色の山々を見ていると、のんびりと、幸せな気分になる。


          
           『春溪高隠図』 渡辺崋山

北宋の政治家・王安石の詩文に主題を求めた作品で、春景の中、鳥の声もしない静寂の中、山に対してただ終日座っているだけという隠棲への憧憬を描いているのだという。
不思議な時間の流れ方が感じられる作品だ。
これは天保5年(1835)に描かれたもの。
この5年後の天保10年(1839)に『慎機論』が幕政批判だということで在所田原に蟄居を命じられ、天保12年(1841)には切腹をすることになる。
そんな激しい生涯とは無縁の、浮世離れした世界が『春溪高隠図』にはあった。


          
           『月夜山水図』 長沢芦雪

そして、この作品の前からは立ち去り難かった。
何とも言えないほど、よいなあ。


今回観たのは前期の展示で、10月26日まで。
後期は11月2日~12月7日で、ほとんどの作品が入れ替わる。

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