2007年4月30日
自動車NOx・PM法改正案その5は、局地汚染対策に関する議論にふれて行きます。
平成17年度の全国の二酸化窒素、NO2及び浮遊粒子状物質、SPMの観測データは、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに、90%以上が環境基準を達成しました。一方、自動車NOx・PM法の適用を受ける対策地域(大阪府、兵庫県の関西圏、首都圏、中京圏の8都府県を地域指定)内の自動車排出ガス測定局について、二酸化窒素の値を見ると、85.1%の測定局で環境基準を達成していますが、個別に見ますと、東京都の自排局の達成率は57.9%というように、非常に地域的なばらつきがあるということがわかります。
そのような背景から、自動車NOx・PM法改正案では、局地汚染対策が盛り込まれています。
1.局地汚染対策の概要
『今回の法改正の第一のポイントは、NOx、SPMの局地対策として、重点対策地区を設け、計画を立案し、この地区で重点的な対策を行うことにあると思います。重点対策地区の指定については、都府県知事が行うことになっています。それぞれの地域で指定の仕方について大きなばらつきがありますと、現地での混乱も予想されます。環境省としては、知事が、大気環境がどのような地域を重点対策地区に指定することを期待しておられるのか、また、指定についてのガイドラインなどをどのように都府県などに示されようとしているのか、お伺いいたします。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『ただいま御質問いただきました重点対策地域につきましてでございますが、この法律の対策地域内で、長期にわたりまして二酸化窒素など大気環境基準が達成されていない地区でありますとか、またこれに準ずる地区でありまして、大気の汚染の防止を図るということが特に必要であるという地区につきまして、都道府県知事が指定をするということを私どもとして期待しておるところでございます。また、この重点対策地区の指定に当たりまして、先生御指摘のとおり、地域によって大きなばらつきが生じることがないように、国の方で閣議決定で定めることとしております基本方針というものにおきまして、重点対策地区の指定に関する基本的な考え方を示してまいりたいと考えているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)
2.重点対策地区における特定建物の事前届出制度
『改正法案で、重点対策地区に建設される、新たな交通の集中、発生の可能性のある、一定規模以上の劇場、ホテル、事務所などの特定建物を新築する際に、NOxなどの排出抑制に配慮するよう、事前届け出制度が用意されております。この特定建物の届け出制度を生かすためにも、重点対策地区は、幹線道路沿いやふくそうする交差点などの発生源だけではなく、対象となる幹線道路、交差点を利用して流入する周辺の建築物も視野に入れる必要があると考えております。このため、ポイント的なエリアではなく、一定の広がりを持ったエリアを重点対策地区に指定するべきではないかと考えております。環境省としては、幹線道路などからどの程度の広がりを持ったエリアを知事が重点対策地区として指定することが望ましいと考えておられるのか、また、この点について、都府県とどのように連携を図ろうとされておられるのか、お考えをお示しいただけますでしょうか。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『今お尋ねの重点対策地区の具体的な範囲ということでございますが、局地汚染のあります交差点等の周辺を想定しておるところでございます。具体的には、地区によりまして状況が異なることでもございますので、当該地区の汚染の状況でありますとか、また土地の利用の状況、交通の状況等を勘案いたしまして、都道府県知事が定めることとなるところでございます。いずれにしましても、重点対策地区の指定に関する基本的な考え方、先ほど申し上げましたとおり、総量規制の基本方針に盛り込みまして、都道府県知事による指定が円滑になされるよう努めてまいりますし、都道府県とも密接に連携を深めてまいりたいと考えております。』(環境省水・大気環境局長)
『今回の法改正におきまして、事前の届け出の必要な特定建物は、一定規模以上の劇場、ホテル、事務所、オフィスビルに限定されていますが、一方、不特定多数の人々が集まります大規模小売店舗は、今回の特定建物の届け出対象外になっているのではないかと思います。今回の法律改正で、大規模小売店舗を届け出対象外とされた理由をお伺いします。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『今回の改正法案及び大規模小売店舗立地法は、両方とも自動車の交通需要の増加に着目をしまして、交通渋滞の解消など、交通流の問題に対処しようとするものでございまして、対策は共通するものでございます。そこで、大規模小売店舗の新設につきまして、届け出義務の重複を避けるために、大規模小売店舗を特定建物の定義から除外するということにしたものでございます。』(環境省水・大気環境局長)
3.具体的施策
『重点対策地区における対策としまして、オープンスペースの確保、また右折レーンの整備、信号機制御の高度化等を具体化していくことが考えられますが、現に東京都板橋区大和町交差点におけるオープンスペースとしての整備、それから愛知県安城市の国道一号線における右折レーン整備による走行速度向上などの先行事例におきまして、窒素酸化物の排出抑制や濃度減少に一定の効果が出ていると聞いております。環境省としましては、この重点対策地区に係る制度の実効性を期すために、こうした事業の実施について国や地方の関係行政機関にきちんとした働きかけを行っていくべきではないかと考えますが、環境副大臣のお考えをお伺いいたします。』(江田康幸代議士/公明党)
『江田委員が今おっしゃったとおり、この対策というのは今回の法律の柱でありまして、大変重要であると思っております。そういう意味で、連携をしっかりとりまして、地方に対して、また関係機関に対しましても、密接な情報交換をしながら、しっかりと進むように頑張っていきたいと思っております。』(土屋副大臣)
『国土交通省に関連して御質問をさせていただきますが、重点対策地区における具体的な事業推進には、道路管理者としての役割が大変重要でございます。大都市圏の環境基準を長年達成できていないような地域に対して、環境改善に向けた今後の国土交通省の取り組みについて伺いたいわけでございます。やはり長年達成していないところをどう、ハード的にもソフト的にも、環境基準を達成するために持っていくか、ここが大変重要でございまして、今回の法改正を踏まえてどのような対策を、取り組みを講じていこうとされているかをお伺いさせていただきます』(江田康幸代議士/公明党)
『道路管理者といたしまして、やはり地区の交通がまずもってスムーズに流れることというのが重要なのではないかなと思っております。例えば、NOxについて見ますと、走行速度が20キロ、それに対しまして走行速度が40キロに上がりますと、NOxの排出量が35%低減をいたします。そういう観点から、例えば大都市の環状道路でありますとか、あるいは交差点の立体化でありますとか、あかずの踏切対策、そういうものでやはり走行速度を上げる対策というのが全般的には必要かなと考えておりますし、これは首都高、阪高の方でやってございますが、住宅地を通る路線と湾岸部を通る路線、料金を変えまして湾岸部の方に誘導するようなロードプライシング、有料のロードプライシングもやってございます。今委員お尋ねの局地対策でございますが、先ほどお触れになりました交差点の対策、それが有効かなと思っております。例えば右折レーンを設置しますとか、あるいは全体的な車線数の増減を考えていくとかというのがございますし、あるいは緑地帯、環境施設帯というのも、スペースがどういうふうになっているか、いろいろ場所によってあると思いますが、そういう即地的な配慮もしながら、道路管理者としてできる限りの対策をしてまいりたいと考えております。』(国土交通省道路局長)
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「4月23日から4月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.29
◆「環境法令管理室」に「4月23日から4月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.29
自動車NOx・PM法改正案その5は、局地汚染対策に関する議論にふれて行きます。
平成17年度の全国の二酸化窒素、NO2及び浮遊粒子状物質、SPMの観測データは、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに、90%以上が環境基準を達成しました。一方、自動車NOx・PM法の適用を受ける対策地域(大阪府、兵庫県の関西圏、首都圏、中京圏の8都府県を地域指定)内の自動車排出ガス測定局について、二酸化窒素の値を見ると、85.1%の測定局で環境基準を達成していますが、個別に見ますと、東京都の自排局の達成率は57.9%というように、非常に地域的なばらつきがあるということがわかります。
そのような背景から、自動車NOx・PM法改正案では、局地汚染対策が盛り込まれています。
1.局地汚染対策の概要
『今回の法改正の第一のポイントは、NOx、SPMの局地対策として、重点対策地区を設け、計画を立案し、この地区で重点的な対策を行うことにあると思います。重点対策地区の指定については、都府県知事が行うことになっています。それぞれの地域で指定の仕方について大きなばらつきがありますと、現地での混乱も予想されます。環境省としては、知事が、大気環境がどのような地域を重点対策地区に指定することを期待しておられるのか、また、指定についてのガイドラインなどをどのように都府県などに示されようとしているのか、お伺いいたします。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『ただいま御質問いただきました重点対策地域につきましてでございますが、この法律の対策地域内で、長期にわたりまして二酸化窒素など大気環境基準が達成されていない地区でありますとか、またこれに準ずる地区でありまして、大気の汚染の防止を図るということが特に必要であるという地区につきまして、都道府県知事が指定をするということを私どもとして期待しておるところでございます。また、この重点対策地区の指定に当たりまして、先生御指摘のとおり、地域によって大きなばらつきが生じることがないように、国の方で閣議決定で定めることとしております基本方針というものにおきまして、重点対策地区の指定に関する基本的な考え方を示してまいりたいと考えているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)
2.重点対策地区における特定建物の事前届出制度
『改正法案で、重点対策地区に建設される、新たな交通の集中、発生の可能性のある、一定規模以上の劇場、ホテル、事務所などの特定建物を新築する際に、NOxなどの排出抑制に配慮するよう、事前届け出制度が用意されております。この特定建物の届け出制度を生かすためにも、重点対策地区は、幹線道路沿いやふくそうする交差点などの発生源だけではなく、対象となる幹線道路、交差点を利用して流入する周辺の建築物も視野に入れる必要があると考えております。このため、ポイント的なエリアではなく、一定の広がりを持ったエリアを重点対策地区に指定するべきではないかと考えております。環境省としては、幹線道路などからどの程度の広がりを持ったエリアを知事が重点対策地区として指定することが望ましいと考えておられるのか、また、この点について、都府県とどのように連携を図ろうとされておられるのか、お考えをお示しいただけますでしょうか。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『今お尋ねの重点対策地区の具体的な範囲ということでございますが、局地汚染のあります交差点等の周辺を想定しておるところでございます。具体的には、地区によりまして状況が異なることでもございますので、当該地区の汚染の状況でありますとか、また土地の利用の状況、交通の状況等を勘案いたしまして、都道府県知事が定めることとなるところでございます。いずれにしましても、重点対策地区の指定に関する基本的な考え方、先ほど申し上げましたとおり、総量規制の基本方針に盛り込みまして、都道府県知事による指定が円滑になされるよう努めてまいりますし、都道府県とも密接に連携を深めてまいりたいと考えております。』(環境省水・大気環境局長)
『今回の法改正におきまして、事前の届け出の必要な特定建物は、一定規模以上の劇場、ホテル、事務所、オフィスビルに限定されていますが、一方、不特定多数の人々が集まります大規模小売店舗は、今回の特定建物の届け出対象外になっているのではないかと思います。今回の法律改正で、大規模小売店舗を届け出対象外とされた理由をお伺いします。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
『今回の改正法案及び大規模小売店舗立地法は、両方とも自動車の交通需要の増加に着目をしまして、交通渋滞の解消など、交通流の問題に対処しようとするものでございまして、対策は共通するものでございます。そこで、大規模小売店舗の新設につきまして、届け出義務の重複を避けるために、大規模小売店舗を特定建物の定義から除外するということにしたものでございます。』(環境省水・大気環境局長)
3.具体的施策
『重点対策地区における対策としまして、オープンスペースの確保、また右折レーンの整備、信号機制御の高度化等を具体化していくことが考えられますが、現に東京都板橋区大和町交差点におけるオープンスペースとしての整備、それから愛知県安城市の国道一号線における右折レーン整備による走行速度向上などの先行事例におきまして、窒素酸化物の排出抑制や濃度減少に一定の効果が出ていると聞いております。環境省としましては、この重点対策地区に係る制度の実効性を期すために、こうした事業の実施について国や地方の関係行政機関にきちんとした働きかけを行っていくべきではないかと考えますが、環境副大臣のお考えをお伺いいたします。』(江田康幸代議士/公明党)
『江田委員が今おっしゃったとおり、この対策というのは今回の法律の柱でありまして、大変重要であると思っております。そういう意味で、連携をしっかりとりまして、地方に対して、また関係機関に対しましても、密接な情報交換をしながら、しっかりと進むように頑張っていきたいと思っております。』(土屋副大臣)
『国土交通省に関連して御質問をさせていただきますが、重点対策地区における具体的な事業推進には、道路管理者としての役割が大変重要でございます。大都市圏の環境基準を長年達成できていないような地域に対して、環境改善に向けた今後の国土交通省の取り組みについて伺いたいわけでございます。やはり長年達成していないところをどう、ハード的にもソフト的にも、環境基準を達成するために持っていくか、ここが大変重要でございまして、今回の法改正を踏まえてどのような対策を、取り組みを講じていこうとされているかをお伺いさせていただきます』(江田康幸代議士/公明党)
『道路管理者といたしまして、やはり地区の交通がまずもってスムーズに流れることというのが重要なのではないかなと思っております。例えば、NOxについて見ますと、走行速度が20キロ、それに対しまして走行速度が40キロに上がりますと、NOxの排出量が35%低減をいたします。そういう観点から、例えば大都市の環状道路でありますとか、あるいは交差点の立体化でありますとか、あかずの踏切対策、そういうものでやはり走行速度を上げる対策というのが全般的には必要かなと考えておりますし、これは首都高、阪高の方でやってございますが、住宅地を通る路線と湾岸部を通る路線、料金を変えまして湾岸部の方に誘導するようなロードプライシング、有料のロードプライシングもやってございます。今委員お尋ねの局地対策でございますが、先ほどお触れになりました交差点の対策、それが有効かなと思っております。例えば右折レーンを設置しますとか、あるいは全体的な車線数の増減を考えていくとかというのがございますし、あるいは緑地帯、環境施設帯というのも、スペースがどういうふうになっているか、いろいろ場所によってあると思いますが、そういう即地的な配慮もしながら、道路管理者としてできる限りの対策をしてまいりたいと考えております。』(国土交通省道路局長)
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「4月23日から4月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.29
◆「環境法令管理室」に「4月23日から4月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.29