環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

進む地球温暖化 オーストラリアの干ばつと日本の食糧不足の関係

2007-01-31 06:36:40 | 地球温暖化
2007年1月31日
 国連環境計画(UNEP)は、2000~2005年の間に観測された氷河融解のスピードが、1980年代の3倍に達した、とするデータを公表しました。データのもととなった調査によると、欧州アルプスなど世界の9山脈、約30か所の氷河の厚さは、平均で年約60センチ減少しており、この数値は1990年代の1.6倍、1980年代の3倍のペースに相当するとのことです。
 上記の調査結果は地球温暖化の進展を示唆するものといえますが、その影響はたとえば次のようなかたちでもあらわれはじめています。
 『干ばつに苦しむオーストラリア北東部クインズランド州政府は28日、下水を飲料用にリサイクル処理した水を同州の一部で2008年から使用すると発表した』(平成19年1月29日読売新聞)。
 オーストラリアでは、ここ数年干ばつが続き、慢性的な水不足に晒されていました。その原因は、地球温暖化の影響であるとされています。それを裏付ける数値として、『オーストラリアは気温も世界平均と比べて速いペースで上昇しており、最も暑い年の記録上位20のうち15は1980年以降の年で占められている』との報告がなされています。報道されているクインズランド州では、下水再利用の是非を問う住民投票も取りやめるとのことで、切羽詰った状況がうかがえます。
 水不足の対策としては、たとえば、海水淡水化があります。海水淡水化は文字通り、海水を処理して淡水を作りだすもので、中東諸国などで用いられている方法です。しかし、海水淡水化には、多量のエネルギーを投入する必要があったり、プラントの整備に多額なコストが発生したりします。ニュースにある下水のリサイクルに比べれば、心理的には海水淡水化のほうが受け入れられやすいと思いますが、クインズランド州の場合は、それを選択できない事情があるのでしょう。
 また、水は、飲料だけではなく、工業にも農業にも必須の資源です。日本は、降雨量も多く水資源に恵まれているように思えますが、実はたくさんの水を輸入しています。日本の食糧自給率は低く、その多くを輸入に頼らざるを得ません。輸入される農作物の育成には、大量の水が使用されますので、結果、そのぶんの水を輸入していると考えられるのです。
 クインズランド州の場合、飲料水が問題となったわけですが、こうした状況が世界的に続けば、日本は食糧不足に直面する可能性が高く、とてもひとごとでは済ませられないニュースであると思います。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
公害健康被害補償不服審査会裁決について
平成19年春の花粉総飛散量等の予測(確定版)の訂正について
「小笠原諸島」の世界遺産暫定一覧表への記載について
岡山県における高病原性鳥インフルエンザの発生への対応について
中央環境審議会 地球環境部会・産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員会 合同会合(第9回)、の開催について
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律に基づく第一種使用規程の承認申請案件に対する意見の募集(パブリックコメント)について

経済産業省
国際エネルギースタープログラム制度改正に関する意見募集
電気設備の技術基準の解釈の一部改正(第122条の2及び第123条)に関する意見募集について
鉱工業生産・出荷・在庫指数速報(平成18年12月分)
資源・エネルギー統計速報(平成18年12月分)
機械統計速報(平成18年12月分)
化学工業統計速報(平成18年12月分)
窯業・建材統計速報(平成18年12月分)
繊維・生活用品統計速報(平成18年12月分)
紙・パルプ・プラスチック製品・ゴム製品統計速報(平成18年12月分)
鉄鋼・非鉄金属製品・金属製品統計速報(平成18年12月分)

国土交通省
自動車の装置の相互承認の対象に新たに3品目を追加!大型貨物自動車等に前部潜り込み防止装置の装着を義務付け!~関係省令及び告示等を改正~
道路運送車両の保安基準等の一部改正に係るパブリックコメントの募集について
建設労働需給調査結果(平成18年12月調査)
国土交通月例経済(平成19年1月号)
平成19年度国土交通省関係予算概要

東京都
安全でおいしい水プロジェクト蛇口回帰推進計画を策定
ソーラー発電施設の愛称を募集

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「第166国会(常会)提出予定環境関連法案・条例一覧(閣法)」をアップしました/2007.1.27
◆「環境法令管理室」に「1月22日から1月28日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.1.27
◆「環境法令管理室」に「1月22日から1月28日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.1.27
◆「無料相談・研修会」に1月19日実施の研修会資料をアップしました/2007.1.20

容器リサイクル法をめぐる日本とドイツの問題点 回収費用は誰が負担すべきか?

2007-01-30 06:49:59 | リデュース・リユース・リサイクル
2007年1月30日
 29日、毎日新聞朝刊の『環境 地域から地球へ』において、先進的とされるドイツの容器リサイクル制度が危機に晒されている、との記事がありました。その理由は、『流通・製造事業者が共同で設立したリサイクル会社の売ら上げが、料金を払わないタダ乗りで急減しているからだ。独政府はタダ乗り規制の政令改正を行う予定だが、「(事業者ではなく)自治体が容器をリサイクルする明確な制度改正が必要だ」との声も出ている。【ベルリン斉藤義彦】』とされています。
 環境法令ウオッチングでは、両国の容器包装リサイクル制度を比較しつつ、検証をしていきます。

1.両国制度の最大の違い 回収費用は誰が負担するか?
 両国の容器包装リサイクル制度の最大の相違点は、回収費用の負担者が異なることです。日本の容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)では、市町村が自らの予算でのみ分別収集をすること(自主回収が認定されている一部のリターナブルガラスびん等を除く)、とされていますが、ドイツの包装廃棄物の回避に関する政令(容器包装令)では、流通・製造事業者が回収費用・再商品化費用とも負担することとされています。
 容器包装リサイクルにおいて、もっとも費用を要するのが、この回収費用であるとされており、容器包装リサイクル法の制定に際しても、誰が回収費用を負担するかは重要なポイントとして議論されています。最終的には、容器包装リサイクル法の対象となる容器等は、家庭から排出される一般廃棄物に該当することから、その処理責任者である市町村が分別収集することとされました。
 なお、昨年の、容器包装リサイクル法の改正を受け、平成20年4月から、質の高い分別収集・再商品化を推進するため、事業者が、再商品化の合理化に寄与する度合いを勘案して算定される額の資金を市町村に拠出する仕組みが創設されることとなっています。
 これに対し、容器包装リサイクル法のモデルとされたドイツでは、容器包装令に対応するため、産業界が1990 年に容器包装リサイクル認可組織DSD( Duales SystemDeutschland AG)を設立し、流通・製造事業者はこのDSDと契約(料金支払い)することにより、容器包装リサイクルに要する回収・再商品化の費用を負担することとされています。

2.両国制度の問題点 タダ乗り問題と二重課税
 環境負荷に対する事業者の責任という考え方からすると、すべての費用を負担するドイツ型のほうが優れているといえますが、冒頭お伝えした通り、『料金を払わないタダ乗り』によって、DSDの経営は危機に瀕しており、『独政府はタダ乗り規制の政令改正を行う予定だが、「(事業者ではなく)自治体が容器をリサイクルする明確な制度改正が必要だ』というように、日本型への移行が模索されているのが現状のようです。
 一方、日本の容器包装リサイクル制度も、この点については決して磐石ではありません。たとえば、市町村のごみ処理の有料化の問題があります。生活ごみ処理の有料化を検討している仙台市の廃棄物対策審議会が実施した市民アンケートの結果では、有料化に賛成は約3割にとどまり、反対が4割を占めた、とされ、反対意見は「不法投棄や減量の徹底的な取り組みが先」「税の二重取りになる」などの意見がだされています(1月28日毎日新聞朝刊・伊藤絵理子)。
 市町村が回収するといっても、実際の費用負担は納税者にかえってくることになりますから、新たに有料化とするには「税の二重取りになる」との議論が出てくることは、想像に難くありません。この問題は仙台市に限らず、有料化を検討する自治体では避けて通ることのできない問題であるといえます。
 
【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
低濃度PCB汚染物の焼却実証試験(第2回)の実施について
環境技術実証モデル事業 ヒートアイランド対策技術分野(建築物外皮による空調負荷低減技術)における実証対象技術の選定について
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会廃棄物の区分等に関する専門委員会(第4回)の開催について
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会(第43回)の開催について
平成18年度環境大気常時監視マニュアル改訂検討会(第3回)の開催について
中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会(第7回)の開催について
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第9条の6第3項の規定に基づく未査定液体物質の査定結果及び意見募集(パブリックコメント)の実施結果について
温室効果ガス算定排出量の情報が公にされることにより排出者の権利利益が害されるおそれの有無の判断に係る審査基準案に関する意見の募集(パブリックコメント)について
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則及び自然公園法施行規則の一部を改正する省令について

経済産業省
原子力施設安全情報申告調査委員会の開催について
産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会第1回基本政策ワーキング・グループ
商業販売統計速報(平成18年12月分)

国土交通省
道路運送車両の保安基準等の一部改正等に関するパブリックコメントの募集の結果について
「装置型式指定規則」、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」等の一部改正に係るパブリックコメントの募集結果について
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百三十条の九第一項の規定に基づき、安全上及び防火上支障がない構造の蓄電池を定める告示の改正案に係るパブリックコメントの募集
社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会都市計画部会第4回下水道小委員会議事要旨


【判例情報ウオッチング】
甲府地裁は、26日、所有する農地などに建築廃材を不法投棄したとして廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われた大月市猿橋町藤崎の解体業者と同社社長に対し、「行政指導を無視し、住民に迷惑をかけ続けた」として、法人には求刑通り罰金300万円、社長には懲役2年(執行猶予3年)、罰金100万円の有罪を言い渡しました。なお、原状回復については、同社が今後、投棄した廃材を6月中旬までに撤去することとされています。

ISO14001
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水俣病の判断基準をめぐる新たな動き 熊本・鹿児島・新潟それぞれの対応

2007-01-29 08:08:52 | 健康被害
2007年1月29日 
 水俣病の2重の判断基準をめぐる混乱については、これまで環境ウオッチングでも何度かふれてまいりました。1つは、国の水俣病認定基準で、感覚障害・運動失調・平衡機能障害・求心性視野狭(きょう)窄(さく)など水俣病に多発する症状の複数の組み合わせを条件としたもの。もう1つは、平成16年10月15日の最高裁判決で確認されたもので、『「四肢末端優位の感覚障害があれば水俣病」である。その根拠として、「感覚異常の原因は中枢神経(大脳皮質)の損傷」』とする、という中枢説を認めたものです。これまでの混乱の原因は、国の認定基準に従って認定をしても、裁判で敗訴する可能性が高いため、委員のなり手がおらず、熊本・鹿児島・新潟の各県で認定審査会が機能停止に陥っていたことに起因します。

1.新潟県の動き 
 しかし、先週、新たな動きが報じられました。新潟県知事が、24日の記者会見で、新潟水俣病の認定審査について、公害健康被害補償法に基づく国の基準よりも緩やかに健康被害を認めた2004(平成16)年の最高裁判決の基準によって救済を図るべきとの考えを示し、新潟県と新潟市は、医学の専門家らで構成する認定審査会を来月中にも開くことを予定していることが明らかになりました。
 新潟県知事は「国の基準で審査せざるをえないが、最高裁の基準に当てはめたらどうなるかも(審査会は)示してほしい」と述べ、国と最高裁判決の基準による審査結果が異なる場合は「最高裁の基準に従って救済されるべきだと思う」と強調した、とされています(熊本日日新聞平成19年1月25日朝刊)。
 この新潟県知事の考え方は、『「水俣病問題に係る懇談会」提言書』において示された『2.5人称の視点』に通じるものといえます。法と現実のバランスをとりつつ、被害者救済に全力を尽くそうとする姿勢は、高く評価できます。
 新潟県では、これまでに計690人が認定されており、前回の審査会は平成13年に行われています。

2.熊本県の動き 
 同日、熊本県知事は、定例会見で、水俣病認定をめぐる不服審査請求で県の棄却処分取り消しを命じる国の審査会裁決が出され、請求者が知事職権による認定を求めていることについて、「これまであらゆる角度で検討してきたが、現状では知事の権限で認定しても法的に無効になる」と発言し、請求者が「判断基準を変えない審査会では、切り捨てられる」と主張していることに関しても、基準見直しに否定的な考えを示しました。ただ、「どういう打開策が取れるか、今後も検討を重ねていきたい」と語った、とされています。
 熊本県の考えは、あくまで国の判断基準によることが、法を遵守することだ、ということでしょう。しかし、行政と司法で判断が異なる結果となっており、どちらが正義だ、と言い合っても埒が明かない状況となっている現実に対し、これでは柔軟な対応をとることは困難であるといえるでしょう。打開策への検討に含みを残していることに期待をするしかありません。

3.鹿児島県の動き
 一方、鹿児島県は、行政と司法で異なる認定基準の整理がついていないとして、早急な審査会再開を否定している状況です。では、一体誰が、整理をつけるのでしょうか? 国はこれまでの様々な発言から推測するに、公害健康被害の補償等に関する法律による基準の見直しに応じる気配は微塵もありません。司法はすでに最高裁による判決が出されている以上、制度的にも次はありえないのが現状です。どちらの解釈をとるのかは、もはや執行主体である地方自治体に委ねられた考えるほかないと思います。その意味で、傍観者的な態度を決め込むことは、それこそ不作為にあたるのではないでしょうか。

4.国の反応
 こうした各県の動きを受け、平成19年1月25日、環境事務次官は次のようなコメントをしています。
『新潟県知事の認定審査会についての発言は、私も新聞で拝見しました。ただ、詳細等はまったく承知しておりませんので、今コメントすることは控えたいと思います。基本的な考え方はご承知のとおりです。これから鹿児島県なども是非、認定審査会を再開してほしいと思っており、そういうことも含めてこれから県ともいろいろ話し合っていくことになろうと思いますが、新潟県知事の話は、報道で見ただけですので、コメントは差し控えさせていただきます』
 事務次官の発言からは、公害健康被害の補償等に関する法律による基準の見直しはありえない、というこれまでの姿勢を堅持しつつ、認定審査会の再開を促すものとなっています。

【官報ウオッチング】
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第9条の6第2項の届出に係る未査定液体物質の件(環境省告示第2号)
 海洋環境の保全の見地から海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令別表第一第三号イに掲げるZ類物質と同程度に有害である物質は、リグニンスルホン酸マグネシウムとし、同表各号ニの規定に基づき環境大臣の定める係数は、〇とする。

〔号外〕
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則及び自然公園法施行規則の一部を改正する省令(環境省令第3号)
1.鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部改正(環境省令第3号/平成14年環境省令第28号の一部改正)
[1]特定輸入鳥獣の種及び標識の交付申請の手続(第29条の2~第29条の7)
 改正法の規定に基づく特定輸入鳥獣への標識の交付制度の対象鳥獣としてメジロ、オオルリ等の21種の鳥類を指定するとともに、標識の交付申請書の記載事項等を定める。
[2]保全事業の内容(第33条の2)
 改正法の規定により新たに設けられた保全事業の内容として、鳥獣の繁殖施設の設置、鳥獣の採餌施設の設置、鳥獣の休息施設の設置、湖沼等の水質を改善するための施設の設置等を定める。
[3]特定猟具の種類(第41条の2)
 改正法の規定により新たに設けられた特定猟具使用禁止区域及び特定猟具使用制限区域において使用が禁止又は制限されるわなとして、くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわなを定める。
[4]狩猟免許試験の見直し(第52条~第61条)
 改正法の規定により新たに「網・わな猟免許」が「網猟免許」及び「わな猟免許」に区分されたことに伴い、それぞれの狩猟免許取得の際の技能試験の内容を定める。

2.自然公園法施行規則の一部改正(環境省令第3号/昭和32年厚生省令第41号の一部改正)
 自然公園法施行規則第12条及び第13条に規定する国立公園又は国定公園の特別地域又は特別保護地区内において環境大臣又は都道府県知事の許可が不要とされる行為に、鳥獣保護区における保全事業として行う鳥獣の捕獲等の行為を追加する。 施行日:平成19年4月16日

鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針を変更する件(環境省告示第3号/平成14年告示第86号の全部改正)
 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第三条第一項の規定に基づき、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針の全部改正。

【行政情報ウオッチング】
環境省
北川環境大臣政務官による環境教育特別授業の実施について

厚生労働省
リーフレット「2007年(平成19年)4月1日から石綿(アスベスト)健康被害救済のための「一般拠出金」の申告・納付が始まります」

【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
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第166国会提出予定環境法令 ③消防法等の環境法令と密接に関連する改正法案及び条約

2007-01-28 08:28:22 | 環境行政一般
2007年1月28日
 第166国会提出予定環境法令第3回は、内閣提出予定法案のなかから消防法等の環境法令と密接に関連する改正法案及び条約についてみていきます。
 なお、今回の連載は、現時点で把握できている内閣提出予定法案であり、今後、変更がありうること、これらのほかに議員立法による提案がありうること、をお断りしておきます。

5.消防法等の環境法令と密接に関連する改正法案及び条約の概要
(1)消防法の一部を改正する法律案
①法案の概要
 大規模・高層の建築物における地震その他の災害に対応した防火体制の整備及び自衛消防組織の設置について、所要の改正を行うもの。

②提出予定時期
 3月上旬

(2)構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(総務省)
①法案の概要
 経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、構造改革特別区域法附則第2条の規定に基づく検討の結果を踏まえて内閣総理大臣に対する構造改革特別区域計画の認定申請の期限を5年間(平成24年3月31日まで)延長する等の措置を講ずるとともに、地方公共団体、民間事業者等の提案に基づく規制の特例措置整備等を行うもの。

②提出予定時期
 2月上旬

(3)都市再生特別措置法の一部を改正する法律案(国土交通省)
①法案の概要
 都市機能の高度化及び居住環境の向上を図るため、国土交通大臣による民間都市再生事業計画の認定を申請することができる期限の延長、防災街区整備地区計画の区域内において建築物の容積を配分する制度の創設、市町村による国道又は都道府県の管理の特例措置の拡充等を行うもの。

②提出予定時期
 2月上旬

(4)職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約(仮称)(外務省)
①条約の概要
 職業上の安全及び健康に関する国内政策等を策定すること等により、職業上の安全及び健康を継続的に改善することを促進し、安全で健康的な作業環境を漸進的に達成するための措置をとることについて定めるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

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第166国会提出予定環境法令 ②廃棄物・リサイクル関連の改正法案及び条約

2007-01-27 08:00:13 | 環境行政一般
2007年1月27日 
 第166国会提出予定環境法令第2回は、内閣提出予定法案のなかから廃棄物・リサイクル関連の改正法案及び条約についてみていきます。今国会においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)自体の改正は予定されていませんが、関連する法案が複数提出を予定されています。
 なお、今回の連載は、現時点で把握できている内閣提出予定法案であり、今後、変更がありうること、これらのほかに議員立法による提案がありうること、をお断りしておきます。

3.廃棄物関連の改正法案及び条約の概要
(1)特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律案(経済産業省)
①法案の概要
 発電に関する原子力の環境整備を図るため、最終的に処分するための費用を拠出する対象として再処理の工程で使用済燃料によって汚染された物等を追加する等の措置を講ずるとともに、核燃料物質等による災害の防止を図るため、放射濃度が一定基準を超える放射性物質を含む核燃料物質等の埋設の方法による最終的な処分を行おうとする事業者を許可にかからしめる等所要の措置を講ずるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

③関係リンク
総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 廃棄物安全小委員会報告書

(2)港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案(国土交通省)
①法案の概要
 最近の港湾における廃棄物の処理をめぐる状況にかんがみ、廃棄物埋立護岸及び海洋性廃棄物処理施設の整備を促進するため、これらの施設に係る港湾工事の費用に対する国の負担割合を引き上げるもの。
※予算関連法案

②提出予定時期
 2月上旬

(3)1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書(仮称)(条約・外務省)
①条約の概要
 陸上で発生した廃棄物等の船舶等からの海洋投棄を規制する1972年の条約を強化するため、海洋投棄を原則として禁止し、投棄が認められる一部の例外についても厳格な許可条約について定めるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

③関連リンク
1972 年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約
1972 年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996 年の議定書

4.リサイクル関連の改正法案
(1)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産省)
①法案の概要
 食品関連事業者による食品循環資源の再生利用等の取組を促進するため、再生利用事業計画制度の見直し等所要の措置を講ずるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

③関連リンク
「食品リサイクル制度の見直しについて(とりまとめ(案))」に関する意見募集について
『食品リサイクル制度の見直しについて(とりまとめ(案))』を読む ③廃棄物処理法特例制度の拡充など
『食品リサイクル制度の見直しについて(とりまとめ(案))』を読む ②情報公開とエネルギー利用促進
『食品リサイクル制度の見直しについて(とりまとめ(案))』を読む ①食品リサイクル制度の課題
3R推進月間特集 ⑫食品リサイクル法の概要と今後の展望

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
「かんたん化学物質ガイド 洗剤と化学物質」の作成・公表について
(社)産業環境管理協会に対する公害防止管理者等国家試験業務の改善指示について
環境省関係道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律施行規則について
国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会(第5回)の開催について
平成18年度「学校エコ改修と環境教育事業」採択校の決定について(二次)
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律に基づく再生利用事業計画の認定について

経済産業省
水力発電設備に係る調査について(第7報)

国土交通省
基準緩和自動車の認定要領の一部改正に係るパブリックコメントの募集結果について
総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会自動車判断基準小委員会・交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会自動車燃費基準小委員会第8回合同会議の開催について

厚生労働省
化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会(第3回)の開催について
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
平成19年度環境法令研修会、CSRレポート・環境報告書作成研修会の日程決定
◆「無料相談・研修会」に1月19日実施の研修会資料をアップしました/2007.1.20
◆「環境法令管理室」に「1月15日から1月21日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.1.20
◆「環境法令管理室」に「1月15日から1月21日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.1.20



第166国会提出予定環境法令 ①環境省関連 二酸化炭素海底下地層貯留、自動車NOx・PM法改正等

2007-01-26 07:33:36 | 環境行政一般
2007年1月26日 
 昨日、第166国会(常会)が召集され、6月23日までの150日間にわたり法令審議等が行われます。環境法令ウオッチングでは、本日から3回にわたり、内閣提出予定法案のなかから環境関連の法案についてみていきます。
 第1回は、環境省の提出予定法案です。なお、今回の連載は、現時点で把握できている内閣提出予定法案であり、今後、変更がありうること、これらのほかに議員立法による提案がありうること、をお断りしておきます。

1.第166回国会 内閣提出予定法案・条約の概況
 今国会は、夏の参議院議員選挙を睨み、召集日程から波乱含みでした。内閣提出予定法案についても、同選挙への影響を考慮した審議が実施されるであろうとの政治的配慮から、各省庁とも必要最低限のラインアップをそろえた、という状況であろうと思います。
 内閣提出予定法案・条約の総数は、法案が90件、条約が16件となっています。もっとも多い法案を抱えているのは総務省の16件(内、予算関連6件)、次いで、厚生労働省の15件(同6件)、国土交通省9件(同4件)、法務省8件(同2件)、農林水産省8件(同3件)、経済産業省(同4件)、内閣府5件(同1件)、財務省5件(同5件)、文部科学省5件(同1件)、内閣官房4件、環境省3件、外務省2件(同1件、及び条約16件、防衛省2件(同2件)、となっています。

2.環境省提出予定法案の概要
(1)海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)
①法案の概要
 1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約1996年の議定書(仮称)を踏まえ、海洋汚染の防止を図るため、油等を海底の下に廃棄することを原則禁止するとともに、二酸化酸素の海底下廃棄に係る許可制度を創設する等所要の措置を講ずるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

③関連資料リンク
「地球温暖化対策としての二酸化炭素海底下地層貯留の利用とその海洋環境への影響防止の在り方について(案)」(中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会報告書(案))に対する意見の募集について
二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会報告書骨子案を読む
京都議定書第2回締約国会議閉幕 ①新たな枠組みの可能性と二酸化炭素海底貯留技術(CCS)の是非
ロンドン条約議定書改正 CO2の海底貯留が可能に
号外 二酸化炭素海底貯留の実施、法制化へ
号外 『二酸化炭素海底下地層貯留』は、温暖化対策の切り札となるか?

(2)自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律
①法案の概要
 窒素酸化物対策地域等のうち大気汚染が特に著しい地区の大気環境の改善を図るため、窒素酸化物重点地区等の指定制度の新設、窒素酸化物対策地域等の外から流入する自動車に係る窒素酸化物等の排出の抑制に関する計画の作成等の義務付け等所要の措置を講ずるもの。

②提出予定時期
 3月上旬

③関連リンク
「今後の自動車排出ガス総合対策について(最終報告案)」に関する意見の募集について
『今後の自動車排出ガス総合対策について(最終報告案)』を読む 前回からの変更点等の確認
大気汚染防止推進月間特集26 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制⑦
大気汚染防止推進月間特集25 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制⑥
大気汚染防止推進月間特集24 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制⑤
大気汚染防止推進月間特集23 自動車排出ガス規制の仕組み その4 自動車NOx・PM法による規制④
大気汚染防止推進月間特集22 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制③
大気汚染防止推進月間特集21 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制②
大気汚染防止推進月間特集⑳ 自動車排出ガス規制の仕組み その3 自動車NOx・PM法による規制①

(3)温泉法の一部を改正する法律案
①法案の概要
 温泉の保護及び利用の適正化を図るため、定期的な温泉成分分析を義務付け等の措置を講ずるもの。

②提出予定時期
 2月下旬

③関連リンク
「温泉資源の保護対策及び温泉の成分に係る情報提供の在り方等について」(中央環境審議会自然環境部会温泉小委員会報告書案)に対する意見の募集について

官報ウオッチング
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第11条第3項の単位数量当たりの最終処分業務に必要な金額を定める省令(経済産業省令第4号/平成12年通商産業省令第398号の一部改正)
 平成19年における原子力発電環境整備機構が単位数量当たりの最終処分業務に必要な金額を「3,519万1,000円」を「3,857万1,000円」に改める。        施行日:平成19年1月26日

搬出する汚染土壌の処分方法(環境省告示第1号/平成15年3月環境省告示第20号の一部改正)
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第48号)の施行にともなう条ズレ対応。
 公有水面埋立法の免許若しくは承認を受けて埋立てをする場所又は廃棄物の処理場所として設けられる場所に、汚染土壌を排出する場合は、搬出先において周辺環境に特定有害物質による汚染が拡散しないよう排出すること。

【行政情報ウオッチング】
環境省
国内における高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例の発生地周辺の概況把握のための職員の派遣について
「EST普及推進フォーラム」の開催について
アジアの市長による環境的に持続可能な交通に関する国際会議の開催について

経済産業省
冬の省エネルギーキャンペーンについて

厚生労働省
労災医療専門家会議(平成18年度)第2回議事録

消防庁
危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(案)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(案)についての意見募集について

東京都
(仮称)東京都景観計画(素案)の意見を募集
都ではじめて「自然再生事業実施計画書」を作成

【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
平成19年度環境法令研修会、CSRレポート・環境報告書作成研修会の日程決定
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『今後の自動車排出ガス総合対策について(最終報告案)』を読む 前回からの変更点等の確認

2007-01-25 06:22:01 | 大気汚染
2007年1月25日 
 23日、環境省は『今後の自動車排出ガス総合対策について(最終報告案)』を取りまとめました。本報告案につきましては、中央環境審議会大気環境部会において昨年12月20日に最終検討会が開催され(そのときの内容については、12月24日からの記事参照)、その際の議論を反映した内容となっています。本日は、その変更点の点検をしていきます。

1.局地汚染対策
 局地汚染対策については、『都市構造及び道路構造の改善のような抜本的な対策が重要である』とされていました。これに対し、最終検討会では、もっと根本的な都市計画段階からの配慮が必要ではないか、との議論がなされ、『さらに、長期的な視点から、自動車交通を抑制するような道路計画又は自動車に過度に依存しない都市構造を実現する都市計画についても検討することが考えられる』との一文が追加されました。
 本報告書案においては、局地汚染については、個別の事情を抱えていることから、個別に対策をとっていくことが基本とされていますが、その前提として、都市計画段階からの配慮を含めたことは、予防的見地からも評価できるものと思います。

2.流入車も含めた適合車への転換の促進等
 流入車対策をどうするかは、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物資の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)の根幹に関わる問題といえます。前回案においては、『例えば、地域内においての非適合車の使用の抑制のため貨物自動車輸送業者と荷主や自動車が集中する施設の管理者等との連携を促すような枠組みが考えられる。・・・・・・。』として、かなり曖昧な記述となっていました。この部分については、主体の特定、取組手法、行政の関わり、について整理がなされ、次の通り改められました。
 『例えば、自動車輸送事業者については、これまで様々な取組が行われてきたところであるが、流入車対策についても一定の役割が果たせるものと考えられる。また、地域内においての非適合車の使用の抑制のため、貨物自動車運送事業者と荷主や自動車が集中する施設の管理者等において、地球温暖化対策の観点で取り組まれているように、両者の連携を促すような枠組みが考えられる。特にコントラクトキャリアのように特定の荷主と提携して契約輸送を行う形態もあり、このように荷主については、非適合車の使用の抑制への協力に一定の役割を果たせると考えられる。また、長い目で見ると持続可能な環境の形成の観点からは、関係者による自主的な取組を積極的に推進していくととともに、そうした取組状況を行政としてもフォローしていく必要がある。』

3.地球温暖化対策との関係について
 自動車利用に関わる諸対策及び事業者等による個別の取組は、自動車排出ガス対策であると同時に、京都議定書目標達成計画に位置づけられているように、燃費の改善、物流の合理化等省CO2型交通システムや省CO2型の土地利用を含めた地域・都市構造の形成等を通じて地球温暖化対策にも対応するものであるといえます。両施策は親和性が非常に高いため、相乗効果を期待した施策が求められることになります。本報告書案においても、委員からの指摘により、本項が追加され、『このような視点を持ちながら、対策に一層積極的に取り組むことが重要である』として、さらに強調する内容となっています。

 本報告書案は、平成19年1月23日(火)から平成19年2月7日(水)まで、パブリックコメントに付された後、自動車NOx・PM法の改正案議論へとつながる予定です。

※明日からは、本日召集される第166回国会(常会)に提出予定の環境関連法令について触れていく予定です。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第3回点検結果(素案)に関する意見の募集について
平成19年春の花粉総飛散量等の予測(確定版)について
生物多様性条約事務局長アーメッド・ジョグラフ氏の環境副大臣表敬訪問について

経済産業省
全産業活動指数、全産業供給指数(平成18年11月分)

厚生労働省
第2回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事録

【判例情報ウオッチング】
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『平成19年度予算案における環境保全経費の概要について』を読む

2007-01-24 10:27:34 | 環境行政一般
2007年1月24日 
 22日に環境省から、『平成19年度予算案における環境保全経費の概要について』が公表されました。環境保全経費は、環境保全に係る施策が政府全体として効率的、効果的に展開されるよう、環境省設置法第4条第3号の規定に基づき環境省が見積りの方針の調整を行い、環境基本計画に示された施策の体系に沿って取りまとめているものです。
 平成19年度の環境保全経費の総額は、2兆949億円で、18年度当初予算額に比べ393億円、1.8%の減少となっていますが、地球環境の保全に関する経費に関しては、18年度当初予算に比べて310億円、6.7%の増加となっています。以下、詳細をみていきます。

1.平成19年度環境保全経費の概要
 平成19年度環境保全経費は、総額2兆949億円となり、前年度当初予算と比べ、1.8%の減少となりました。過去3年間の増減をみてみると、平成16年度が6.0%減少、平成17年度が8.2%減少、平成18年度9.8%減少となっていますので、国家予算が緊縮されるなかでの前年比1.8%減少はある程度評価できる内容であると思います。
 内訳をみると、地球環境の保全に関する経費が、310億円と6.7%増加しています。これは、京都議定書第一約束期間の開始を目前に控え、当然の措置であるといえるでしょう。ただ、京都議定書第一約束期間におけるわが国のCO2削減率は-6%とされていますが、基準年となる1990年比では、実情-20%近い削減が求められることを考慮すると、かなり厳しい数次であることは否めません。
 温暖化対策と並んで環境省が推進する2大施策である循環型社会の構築に関する視点からみてみると、廃棄物・リサイクル対策に関連する予算が1,321億円と前年から121億円と8.4%減少しています。ただし、平成19年度環境保全経費における環境保全上意義の高い新規事項の例として認められた9事例中、バイオ燃料地域利用モデル実証事業、エコ燃料実用化地域システム実証事業、希少金属等高効率回収システムの開発、漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査といったように4事例占めるなど、政策としての優先度は確保されたかたちとなっています。

2.「環境保全上意義の高い新規事項の例」の概要
 関係府省の新規要求予算のうち、環境保全の観点から特に高い効果が期待できると考えられる施策として、概算要求時に取りまとめた「環境保全上意義の高い新規事項の例」については、9事業のすべてが認められました(概算決定額45,469百万円)。具体的な事例は以下のようになっています。

(1)バイオ燃料地域利用モデル実証事業(8,544百万円/農林水産省)
 輸送用バイオ燃料の利用促進に向け、地域における原料作物の調達から燃料製造・供給まで一体となった取組みを支援するため、バイオ燃料実証事業地域協議会の事業活動経費、ならびに輸送用バイオ燃料製造・貯蔵・供給施設の設置・改修等に要する経費及び大規模技術実証に要する経費を助成する。

(2)21世紀気候変動予測革新プログラム(2,313百万円/文部科学省)
 地球温暖化について、抑制や適応のための効果的、効率的な政策及び対策の実現に資するため、我が国の大学、研究機関の英知を結集し、確度の高い予測情報を創出し、信頼度情報と併せて提供するとともに、近未来の極端現象の解析結果について自然災害分野の影響評価への適用を図る。

(3)エコ燃料実用化地域システム実証事業(2,780百万円/環境省)
 大都市圏におけるエタノール3%混合ガソリン(E3)供給システムの確立及び沖縄宮古島等における地域のバイオマス資源を活用したエコ燃料生産・利用の拠点づくりを支援し、自立的なエコ燃料生産・利用システムの確立を図る。

(4)地域地球温暖化防止支援事業費補助金(1,050百万円/経済産業省)
 民間団体等における代替フロン等3ガス削減による地球温暖化防止への取組を促進させるため、地球温暖化防止に資する先進的かつ波及性の高い事業について、先進的なモデル事業として支援を行い、その成果について検証を行う。

(5)先進的社会システムの構築に向けた総合的施策の推進(環境センシング・ネットワークに関する調査・研究)(30百万円/総務省)
京都議定書の温室効果ガスの削減目標達成及び大気汚染物質の削減に向けて必要となる的確な環境計測に資する環境センシング・ネットワークの調査研究を行う。

(6)住宅と設備の総合的な省エネ評価方法の開発経費(32百万円/国土交通省)
住宅のエネルギー消費の約7割を占める暖冷房以外のエネルギー(給湯や照明等の設備)も含め、住宅におけるエネルギー消費をより一層削減するため、住宅に設置する設備のエネルギー効率を含めた総合的かつ汎用性の高い省エネ性能を開発し、省エネ法に基づく基準への反映等により、より高い省エネ性能を有する住宅の拡大を図る。

(7)希少金属等高効率回収システムの開発(84百万円/経済産業省)
液晶テレビやデジタルカメラ等の廃小型電子機器、工作機械等の廃超硬工具等に含有している希少金属(インジウム、タングステン、ネオジウム等)を回収するため、非鉄金属製錬技術を活用した、高温によらない革新的な回収工程の開発等を通じて、希少金属回収の省エネルギー化及び希少金属の回収率向上を図る。

(8)農地・水・環境保全向上対策(30,286/農林水産省)
農業の持続的発展と多面的機能の健全な発揮に資するために、社会共通資本である農地・農業用水等の資源や環境を適切に保全し、質的向上を図る地域ぐるみでの効果の高い活動を支援するとともに、化学肥料等の使用を大幅に低減するなど、地域でまとまって環境負荷を低減する先進的な営農活動を支援する。

(9)漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査(350百万円/環境省)
漂流・漂着ゴミのより効果的な発生源対策や清掃運搬処理を進めることを目的として一定範囲の海岸地域をモデル地域に選定し、漂着ゴミの状況把握、発生源対策、効率的・効果的な処理・清掃方法の検討等を行う。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会容器包装の3R推進に関する小委員会(第5回)、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWG(第42回)合同会合(第2回)の開催について
第1回 日本・モンゴル環境政策対話の開催について
「今後の自動車排出ガス総合対策について(最終報告案)」に関する意見の募集について
中央環境審議会地球環境部会二酸化炭素海底下地層貯留に関する専門委員会第5回会合の開催について
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律に基づく第一種使用規程の承認申請案件に対する意見の募集(パブリックコメント)について
「平成18年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の選定について
高病原性鳥インフルエンザ発生の野鳥調査の実施について

経済産業省
放射性廃棄物地層処分シンポジウム2007in北陸の開催について

【判例情報ウオッチング】
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『産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成16年度実績)について』を読む

2007-01-23 06:31:09 | 廃棄物適正処理
2006年1月23日  
 昨日、環境省から『産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成16年度実績)について』が公表されました。全国の産業廃棄物の総排出量は、前年度に比べ、約600万トン(約1.3%)増加しているものの、再生利用量が約6%増加し、最終処分量が約15%減少するなど、循環型社会へ向けて少しずつではありますが、進歩しているといえます。以下、詳細についてみていきたいと思います。

1.業種別排出量
 業種別排出量では、電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む)からの排出量が最も多く、約9,236万トンと全体の22.1%を占めています。次いで、農業が約8,928万トンで同21.4%、建設業が約7,906万トンで同19.0%、鉄鋼業が約3,730万トンで同8.9%、パルプ・紙・紙加工品製造業が約3,678万トンで同8.8%、化学工業が約1,689万トンで同4.0%)となっており、これら6業種からの排出量で産業廃棄物排出量全体の約80%を占めています。
 前回調査と比較すると、鉄鋼業とパルプ・紙・紙加工品製造業の順序が逆転してかたちとなっています。パルプ・紙・紙加工品製造業自体は、約3,660万トンから約3,678万トンと18万トンしか増えていませせんが、鉄鋼業では約3,072万トンから約3,730万トンと約658万トン増加しています。これは鉄の市況が好転したことが影響して、鉄鋼業からの産業廃棄物の排出量が増加したことが原因と思われます。

2.種類別排出量
 種類別排出量は、汚泥の排出量が最も多く、約1億8,831万トンで全体の45.1%であり、次いで、動物のふん尿が約8,796万トンで同21.0%、がれき類が約6,250万トンで同15.0%となっています。これら3種類からの排出量が全排出量の約80%を占めています。
 前回の調査結果と比較すると、鉱さいが約1,703万トンから約2,119万トンと約416万トン増加しているのが目立ちます。これは、業種別排出量で見たとおり、鉄鋼業からのスラグが増えたことが影響していると思われます。
 なお、鉱さいとは、鉱石から金属を製錬する際などに、溶融した金属上に浮かび上がる副産物のことで、具体的には高炉、平炉、転炉、電気炉からの残さ(スラグ)、キューボラ溶鉱炉のノロ、ドロス・カラミ・スパイス、ボタ、不良鉱石、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂などがありあます。リサイクル方法としては、路盤材に活用されることがあります。

3.地域別排出量
 地域別排出量では、関東地方の排出量が最も多く、約1億0,645万トンで全体の25.5%、次いで、中部地方が約6,425万トンで同15.4%、近畿地方が約6,276万トンで同15.0%、九州地方が約5,311万トンで同12.7%の順になっており、前回の調査結果と同様の傾向を示しています。

4.産業廃棄物の処理状況
 総排出量約4億1,700万トンのうち、中間処理されたものは約3億1,400万トンで全体の75%、直接再生利用されたものは約9,100万トンで同22%、直接最終処分されたものは約1,300万トンで同3%でした。中間処理された産業廃棄物については、約1億7,700万トン分が減量化され、約1億2,300万トンが再生利用され、約1,300万トンが最終処分されています。全体としては、排出された産業廃棄物全体の51%にあたる約2億1,400万トンが再生利用され、6%にあたる約2,600万トンが最終処分されています。
 前回の調査結果と比較すると、再生利用率が2ポイント上昇し、減量化率及び最終処分率が1ポイント減少したことになります。循環型社会形成推進基本が定める循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則では、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処理の優先順位が示されていますが、産業廃棄物の処理過程においてわずかながらでも再生利用率が向上したことは、好ましい状況であるといえます。また、最終処分の減少は逼迫する最終処分場の確保の問題にも繋がり、その軽減もよい傾向であると考えられます。

5.産業廃棄物の種類別の処理状況
 産業廃棄物の種類別にみると、再生利用率が高いものは、動物のふん尿が95%、がれき類が92%、鉱さいが90%、金属くずが88%等であり、逆に、再生利用率が低いものは、汚泥が10%、廃アルカリが23%、繊維くずが31%等となっています。
 一方、最終処分の比率が低い産業廃棄物は、動物のふん尿が1%、廃油・動植物性残さがいずれも4%、汚泥が5%、紙くずが6%、動物系固形不要物・がれき類がいずれも7%、廃酸・廃アルカリ・木くずがいずいれも8%等であり、逆に、最終処分の比率が高い廃棄物は、ゴムくずが44%、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、廃プラスチック類がいずれも32%、繊維くずが23%、燃え殻が21%等となっています。
 前回の調査結果と比較して、汚泥(△293万トン)、がれき類(△105万トン)、動物のふん尿(△79万t)の最終処分量が大きく減少したことが見てとれます。

【官報ウオッチング】
後刻アップします。

【行政情報ウオッチング】
環境省
中皮腫に係る抗がん剤であるペメトレキセド(海外での製品名:アリムタ)の安全性確認試験について
環境技術実証モデル事業検討会 非金属元素排水処理技術ワーキンググループ会合(平成18年度第2回)・技術実証委員会(平成18年度第3回)の開催について
平成19年度予算案における環境保全経費の概要について
第1回「国立・国定公園に係る海域の保全及び利用に関する懇談会」の開催について
産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成16年度実績)について
中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会第8回合同会合、産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会自主行動計画FU合同小委員会第6回自動車・自動車部品・自動車車体WGの合同会議
温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会(第1回)の開催について
割当量口座簿の運営等に関する省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について

経済産業省
CDMプロジェクト政府承認審査結果について(申請者:中国電力株式会社、リコー株式会社、住友商事株式会社)
割当量口座簿の運営等に関する省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について

国土交通省
「優良自動車整備事業者認定規則の運用について」(昭和42年1月21日付自整第7号)、「優良自動車整備事業者の1種整備工場及び2種整備工場の認定の取扱等について」(平成7年3月27日付自整第68号)及び「自動車分解整備事業の認証及び指定自動車整備事業の指定に係る取扱い及び指導の要領について」(平成14年7月1日付国自整第63号)の一部改正に係るパブリックコメントの募集について
航空輸送統計速報(平成18年10月分)

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オオタカと混血ザルと人間と

2007-01-22 06:33:53 | 生物多様性
2007年1月22日 
 生態系に関する対象的なニュースがありました。
 1つは、横浜市で建設が予定されていた『地下室マンション』の計画が破棄されたというもの。この地下室マンション計画は、斜面を切り崩して地下2階地上3階、108室のマンションを建設する、というものでしたが、この斜面には、希少動物のオオタカが生息地しているとともにキジの繁殖地でもあり、付近の小川には、環境省が絶滅危惧種に指定するホトケドジョウやヘイケボタル、オニヤンマなどが生息しているそうです。もしもマンションが建てば、希少動物の生態系に重大な影響を及ぼす恐れがあることから、反対運動が展開されました。これを受け、建設を予定していた企業もオオタカの生息調査を開始。その間に、地下部分の容積率の算定方法を厳格にする建築基準条例の改正が実施されたこともあり、同企業は建設予定地の定期借地権設定契約を解除した、とのことです。

 もう1つは、とても悲しいニュースです。
 和歌山県では、以前から生態系を乱すとして、ニホンザルとタイワンザルの混血ザルの捕獲を実施してきていましたが、昨年末までに335匹を捕獲し、安楽死させた、とのこと。捕獲は本年度で5年目。昨秋の調査で残数は30~40匹と推測しており、県自然環境室は「捕獲の効果が表れてきた。今後、密度の低下で捕獲率は低くなると予想されるが、全頭捕獲を目指す」と話している、と報道されています。
 この混血ザルは、戦後和歌山県に開園した動物園が台湾から輸入したサルを、作業員の不注意で逃がしたこと、により誕生しました。和歌山県では住民アンケート調査等も実施し、混血ザルの行く末について議論がなされています。現在とられている『全頭殺処分』以外にも『無人島に放す』『県有林で囲った中で飼育する』『不妊・去勢手術後元の場所へ帰す』などの代替案も出されましたが、結局、各学会から生態系保存の観点から『全頭殺処分』が望ましいとの意見がだされ、現在に至っています。
 この問題で考えてしまうのは、人間の身勝手さです。台湾ザルを連れてきたのも、逃がしてしまったのも、みな人間の責任です。現在生息している混血ザル自体には、何の責任もありません。もちろん、ほかの種類のサル同様、農作物を荒らしたりといった有害獣としての側面をもっていることも事実ですが、それを差し引いても、『全頭殺処分』というのは彼らにとって、寝耳に水のことでしょう。

 これら2つの対照的なニュースから改めて感じたことは、生態系を守るのも壊すのも人間である、ということです。地球上で、生態系に対して決定的な影響を与えることができるのは、人間しか存在しません。人の健康被害の問題を考える際に、予防原則が不可欠であるように、私たちの1つひとつの行動が、将来の生態系に対してどのような影響をもたらすのか、それを忘れずにいなければならないと思います。

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