2007年11月7日
第168回国会の議論から第4回は、地球温暖化をめぐる議論から、森林吸収、CO2の見える化、環境報告書、環境税に関する議論をみていきます。
1.森林吸収
『京都議定書運用ルールに基づく森林のCO2吸収量とその評価額、これを県別に見てみました。・・・・・・山は一年三百六十五日、土曜日、日曜日なしに一年じゅうCO2を吸収して、そしてCO2を排出している県のために奉仕しているわけです。県別のこのばらつき、これを計算してみました、いろいろな環境省、農水省からのデータをいただいて。これを見て、どの県からどの県にそういう森林交付税を支払うか。私の表現で言いますと、山に給料を払うべきだと思うんです。・・・・・・私は、地方の活性化のためにも、日本の緑を守るためにも、環境税という大きな構想もあるでしょうけれども、ぜひこうした県別の、CO2をたくさん出しているところと一生懸命吸っているところ、この不公平というものをこういう新しい制度で、そして日本じゅうの人に山を見るたびに感謝の念がわいてくるような、そういう心と金とが一致した政策というものが必要ではないかと思います。御所見をお願いします。』(岩國哲人代議士/民主党)
『今まさに、森林の吸収量、こういうようなことについては、これは金額換算について、例えば森林経営から生まれる吸収量を対象にした排出量というようなことの取引が行われているというような実態はないわけでありますので、なかなか今すぐに現実的に、ではどの程度交付税をどうするかという話というのは難しいんだろうというふうに思いますけれども、先生おっしゃるように、森を守るというようなことにおいては、まことにそのとおりでありますので、今のところは林野庁と連携をして、吸収源の確実な確保、こういうようなことに努めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、よりそれを意識してもらうという意味においては、先生おっしゃるようなことも今後検討をするということについては、多分、これは各自治体あるいは林野をつかさどっている当局、こういうようなところと十分ないろいろな検討が必要なんだろうというふうに思います。』(鴨下環境大臣)
2.CO2の見える化
『・・・・・・CO2の見える化、カーボンディスクロージャー制度を強く訴えているわけですが、その一部として、環境省としても、電化製品の中の省エネ、つまり電気使用量などを記載してはどうかということが検討されているという記事が出ていました。実際に、そのことの是非、本当かどうかということが一点目。そして、私たち民主党は、それぞれの電化製品というものだけではなくて、家全体、家や工場全体の電気使用量の検針票の横にCO2の排出量などを記載していくべきだ、つまり、一個一個の電化製品ではなく、家トータルのCO2の排出量が見える方がはるかにこういった削減効果があるのではないかと考えているわけですが、大臣はどのように考えられますでしょうか。』(村井宗明代議士/民主党)
『まず、地球温暖化対策推進法でございます。これにつきましては、先ほどの七大臣会合の中で、鴨下大臣の方から、その見直しを行っているという旨を話をしたところでございます。その一環といたしまして、CO2排出量のいわゆる見える化ということを進めたいということでございます。これは、委員御指摘のとおり、一定規模以上の工場につきましては、この温暖化対策推進法の中で、既にCO2をどれだけ出しておるかということについての政府への報告を義務づけておりますし、政府としましても、既に第一回の報告が来ておりますので、できるだけ早い機会にその結果を発表したいと思っております。ただ、それに加えまして、例えば、製品ごとに、そもそもつくるのにどれだけCO2を使ったのか、あるいは、電気製品であれば、使えばどれだけCO2を出すのかとかいうことも課題でございます。それから、家庭におけるさまざまな活動によるCO2の排出量をどういうふうに把握するか、そういった形で、製品の購入、使用、あるいはいろいろな活動がCO2でわかるということをできるだけ制度にしていきたいと考えております。 どこまで制度にできるかは今後の検討でございますけれども、やはり各人が、自分の行動がどういう形でCO2を出しているかということがよりわかるようにしていくことが理解を求めて対策を進める前提だということで、検討しているところでございます。』(環境省地球環境局長)
『こういったCO2の見える化について、私たち民主党は、家全体でのCO2の排出量をしっかりとわかるようにするべきだと考えています。もちろん、環境省で一個一個の電化製品についてのCO2排出量を書くのは結構なんですが、その上で、例えば、電気の検針票の横にCO2の排出量を記載することはそれほど難しいことではありません、係数を掛け算すれば簡単に出せるわけなんですが、そういった、家全体でもCO2の見える化を進めるべきだと思うんですが、大臣は検討する気はありますか。どうですか。』(村井宗明代議士/民主党)
『見える化の話は、国民運動という意味において、あるいは業務・家庭部分の排出抑制という意味において、私は極めて重要なツールの一つだろうというふうに思います。そして、国民の皆さんが協力してくれなければ、ある意味で六%削減目標というのはなかなか難しいわけでありますから、そういう運動を進めるということは重要だというふうに思います。ただ、そのときに、では、法的にあるいは何らかの義務化をするというようなことまでやるかどうかというようなことについては、これはそれぞれ世論もあるでしょうし、いろいろな調整が必要なんだろうというふうに思います。ただ、自発的にそういうことをやっていただくということについては、私は大いに結構だというふうに思いますし、ぜひ国民の皆さんにも協力を呼びかけたいというふうに思います。』(鴨下環境大臣)
『自発的にやっていただくのは結構だとおっしゃられたんですが、その上で、電気使用量の横にCO2の排出量を掛け算して出すということ、それからガス使用量の横にガスから基づくCO2の排出量を記載してもらうということは、自発的にはなかなかできません。それはやはり、環境省の方から電力会社やガス会社に呼びかけなければできないと思うんですが、大臣はどのように考えられますか。』(村井宗明代議士/民主党)
『CO2削減に対して何が一番効果があるか、あるいは国民の皆様がどれが一番協力をしてくださるか、こういうようなことについて、例えば、省エネ家電を買っていただく、あるいは、村井委員がおっしゃるように、見える化で、家全体でそういうようなメーターをつける、さまざまな方法があるんだろうというふうに思いますけれども、その中の優先順位を、我々としては、ある意味で、費用対効果といいますか、そういうようなことを勘案して、一番効果があって、しかも皆さんの御協力をいただける、こういうようなことを一つ一つやっていく、こういうようなことなんだろうというふうに思います。』(鴨下環境大臣)
3.環境報告書
『今、環境報告書はたくさん出ているんですが、これも前から議論しているとおり、みんなばらばらの基準になっているわけです。そして、しかも、記載の仕方も提出も任意になっている中で、有価証券報告書への記載を入れるだけで完全にすべて見える化になっていくわけなんですが、有価証券報告書への記載を検討する気はありますか。大臣、どうでしょうか。』(村井宗明代議士/民主党)
『有価証券報告書にCO2の排出量といったものをきちんと位置づけることはできないか、こういう御指導でございました。それにつきましては、これは、有価証券報告書に環境情報をどのように入れるかということにつきましては、金融の実態等についてやはり調査をする必要があるんだろうということでございまして、どのような環境情報をどのような形で提供するということは、これは、元来の有価証券報告書は投資家に向けたものでございますから、投資家のニーズにも即して、企業にとっても過度の負担にならないでやれるのかということについて、実態に即して把握することが必要だということでお答え申し上げました。私ども、必ずしもこの点、詳しくございませんので、その後、公認会計士協会の関係者とか投資顧問会社、いろいろな方にも聞きまして、どういうような調査をすると、例えば企業にアンケートを出すとか、どういうようなことをしたら対象とか範囲とか項目とか検討できるんだろうかというようなことを少し勉強してまいりまして、近く実地の調査にもかかりたいというふうに思っております。本年度内にもそういう実地の調査をまとめた上で、御指導いただきました点もいろいろと検討していきたいというふうに考えております。』(環境省総合環境政策局長)
4.環境税
『日本経団連は今環境税に反対をしているようなんですが、先日マスコミで、経済同友会の桜井代表幹事が環境税の効用を記者会見されました。そしてまた、そのときに、排出権取引についても容認する発言をされたと報道されているわけですが、大臣はそれについてどのようにお考えでしょうか。』(村井宗明代議士/民主党)
『それぞれの経済団体がいろいろなことをおっしゃっているのは承知しております。そういう中で、私たちは環境省の立場ですから、もちろん、六%削減のためにはさまざまな行政ツールを使わなきゃいけない。それは法的なもの、あるいは税制、さらには国民の皆さんの協力、こういうようなことではあらゆる方法を動員しないといけないと思っています。そういう中で、先生がおっしゃるように、環境税あるいはキャップ・アンド・トレード、こういうようなものについても私たちは主張をしてまいりたいし、今回のこの暮れの税制論議についても、環境税はぜひということで訴えてまいりたいというふうに思っています。ただ、経済界の中にはいろいろな御意見もありますから、そういう意味でいうと、政府全体の中では、例えば中環審、産構審、こういうようなところでの総合的な御審議をいただいて結論が出てくるんだろうと思いますが、環境省としては、環境税については、ぜひお願いしたいというようなことは引き続き言い続けてまいります。』(鴨下環境大臣)
【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会(第4回)の開催について
平成18年度容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集及び再商品化の実績について
第9回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)の開催について
「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律施行令」の一部改正に対する意見募集について(お知らせ)
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について
国土交通省
「1人1日1kgのCO2削減」応援キャンペーンの協賛企業について(お知らせ)
自然再生事業実施計画等の公表及び自然再生専門家会議の開催について
厚生労働省
第28回石綿に係る疾病の業務上外に関する検討会議事概要
薬事・食品衛生審議会化学物質調査会平成19年度第6回議事要旨
資源エネルギー庁
ガス事業生産動態統計(平成19年4~6月期(四半期報))
簡易ガス事業生産動態統計の概況(平成19年7月分)
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【
ISO14001】
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月29日から11月4日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.11.04
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月29日から11月4日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.11.04