環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

号外 第166回通常国会環境関連法案の審議状況⑨

2007-04-14 08:23:17 | 大気汚染
2007年4月14日号外
【衆議院環境委員会】
 13日、衆議院環境委員会(第6回)は、『自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域におけ  る総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第74号)』を、附帯決議を付して、原案のとおり可決しました。附帯決議及び議論の詳細につきましては、『第166回通常国会の議論から』
でお伝えする予定です。

※本号では、第166回通常国会の議論から ⑭築地市場移転と土壌汚染対策法、を掲載しております。

第166回通常国会の議論から ⑭築地市場移転と土壌汚染対策法

2007-04-14 08:18:12 | 土壌汚染
2007年4月14日 
 4月3日の衆議院環境委員会では、築地市場の豊洲移転問題に関し、土壌汚染対策法に関する質疑がなされています。

1.法の不遡及と豊洲問題
 法の不遡及(ほうのふそきゅう)とは、実行時に適法であった行為を事後に定めた罰則により遡って処罰すること、ないし、実行時よりも後に定められたより厳しい罰に処すことを禁止した、近代刑法における原則です。
土壌汚染対策法では、附則第3条において、『法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地については、この法律を適用しない』としていますが、築地市場の豊洲移転に関し、この解釈をめぐる議論が展開されました。

 『一般的な行政指導とか指導助言をする権限は持っているが、法的に、豊洲に東京の築地卸売市場が移転することに関する規制する法律を環境省は持っていないということについて、私は甚だ不思議だなというふうに思いまして、いろいろ調べてみましたらば、土壌汚染対策法が平成14年に成立をしておりますね。その平成14年に成立した土壌汚染対策法附則3条にわざわざ、法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地については、この法律を適用しない、土壌汚染対策法を適用しないと書いてある。だから、豊洲のこの対象地が土壌汚染対策法の対象にならないことになってしまったわけでございます。しかし、この土壌汚染対策法の法律のたたき台になった中央環境審議会の「今後の土壌環境保全対策の在り方について」という平成14年1月に取りまとめられた文書の3ページを見ると、「調査の契機」というところに、調査をするのは「工場・事業場の廃止時や用途の変更時に調査を行うこと。」というふうに出ております。工場、事業場の廃止時やまたは用途の変更時に調査を行うこととなっています。 私は、この答申に沿って法律を起案するのであれば、この土壌汚染対策法附則3条というのは必要なかったのではないか。この附則3条がなければ、この豊洲の土地は土壌汚染対策法の対象になるわけです。わざわざ附則3条を入れているというのは、これは答申には書いていないことですよ。なぜこんなことをされたのか、わざわざ附則3条を入れられているということについての御説明をまずいただきたいと思います。』(川内博史代議士/民主党)
  
 『国家あるいは公共団体が公的権力関係によって一般の私的な権利関係にかかわっていくという場合には規制裁量であるべきだ、さかのぼってこれを適用するというのは、よほどの事情がなければさかのぼって適用することはしない、そういう法の原則に基づいてこういう附則が設けられているものと私は理解をしているんですけれども、おかしいんでしょうか。』(若林環境大臣)

2.土壌汚染対策法立法時点での豊洲問題の認識
 『それでは、平成14年の3月の時点で、環境省はこの豊洲の土地について問題があるということを既に知っていたということも確認させてください。』(川内博史代議士/民主党)

 『14年3月時点で、豊洲の土地、これがガスを製造する事業の土地であり、それが既に事業の廃止をされているということは承知いたしておりました。』(若林環境大臣)

 『ちょうど法律が議論をされているときに、環境省も知っているにもかかわらず、わざわざ附則三条を設けた、適用対象外にするということを設けた。しかも、それは答申には全く書かれていない。だれが、いつ、どこで、この附則3条を入れるということをお決めになられたんですか。』(川内博史代議士/民主党)

 『繰り返しになりますけれども、法施行前の有害物質使用施設が廃止された工場、事業場について、これを調査義務を発生させるということになりますと、それは、施行前に廃止というのはいつまで、ずっと昔の場合もあり得るわけで、これを過去にさかのぼって一律に調査を義務づけるということになりますと、廃止の施設の把握が困難で、公平な対応が法的には実施、確保しにくい、円滑な法施行が確保できなくなるおそれがあるというようなことから、これはもうこの新法、この法律をつくったわけで、その法律をつくった以降の廃止に限定してしっかり適用する、こういうふうに定めたものと理解をいたしております。』(若林環境大臣)

 『それでは、土壌汚染対策法の適用を豊洲のこの土地がもし受けるとすれば、附則3条がないとすれば、この土壌汚染対策法は豊洲を対象とするわけです。とすれば、豊洲を対象とすれば、この豊洲の土地は、今、東京ガスあるいは東京都が行っているような対策をとったとしても、土壌汚染対策法上の指定区域、いわゆる土壌汚染が残っている、土壌汚染が続いている、土壌が汚染されている土地として、指定区域としてずっと残るということを大臣から御答弁をいただきたいと思います。』(川内博史代議士/民主党)

 『仮に、豊洲市場の予定地、ここが市場として利用されるような事態になったということを前提といたしまして、そういう意味で、その土地に不特定多数の人が出入りをするというような状況になった場合には、これは土壌汚染対策法の対象ということになりますので、指定区域がその限りにおいて解除はされていないというふうに理解しています。』(若林環境大臣)

3.遡及の是非
 『今からでも遅くない。この土壌汚染対策法が対象とする土地、土壌というものの対象範囲を広げて、環境省としてもしっかりそれにコミットしていくということをしていかなければならないのではないかというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。』(川内博史代議士/民主党)

 『今の時点で法律改正をしまして、過去にさかのぼって、そういう法規制下になかったものについてこのような法を適用するかどうかということについては、私は、非常に困難ではないか、困難である、こう思っております。』(若林環境大臣)

 『特別な事情がある場合には、あるいは、特にその汚染の状況がひどいというか、相当程度汚染されていると想定されるような土壌については、その特別な事情があるのではないかという趣旨の御発言をされた。私は、そういうものについては、そういう一団の土壌については、本法の対象となるような改正に向けて環境省としても検討を始めるべきであるというふうに思います。』(川内博史代議士/民主党)

 『いや、立法時点で、この法律をどう適用するかというような場合に、どこまでさかのぼって適用するのか、その当否の判断のことを申し上げたわけでありますが、法制としてもうスタートを切っておりますし、それを前提に世の中が動いているわけですから、そういう状況になったときに、過去のその部分を規制することをねらいとしてそういう不利益立法を講ずることができるか、その場合の特別の事情というのは、今委員がおっしゃられたようなことが特別な事情に当たるかどうかということについて私はコミットしたわけではございません。』(若林環境大臣)

4.豊洲移転問題への現実対応と土壌汚染対策法の射程
 『この地を、もし生鮮食料品の卸売市場として利活用するということで、そのことによって危険があるというようなものであるとすれば、これは、御承知のように、卸売市場の開設者は東京都知事でございます。と同時に、この卸売市場の開設の認可は、農林水産大臣が認可権者でございます。その認可に当たっては、食料品としての特殊性、それを取り扱う特殊性というようなことから、安全の上にも安全を期して判断をするというような仕組みになっているわけでございますので、土壌がそういう状態に、汚染された状態がある、これについて今、東京都及びそれを卸売市場として認可をする場合の農林水産省が安全な土壌改良を行おうとしているわけでございますので、それが行われればそういう心配はないわけでございます。その意味で、生鮮食料品を取り扱う卸売市場としてこれを利用するという前提で、どこまで土壌の対策が行われるか。これは、土壌対策を行うということを、東京都知事もそのことをアセスで言っているわけですから、それが十分であるかどうかというのは、農林水産大臣が第一義的にそこで判断される。もちろん、農林水産大臣の方から、土壌の立場でどうだ、こういう意見を求められれば、当然我々も農林水産省と一緒に、この土壌の安全性について調査、検討、結論を出すということになると思います。』(若林環境大臣)
 
 『最後に、大臣に確認しておきたいのは、安全、安心を確保するというふうに大臣はおっしゃられたが、土壌汚染対策法は、食料品の安心、安全までをも、要するに、中央卸売市場に集積する食料品の安心、安全を担保する法律ではない、現在の土壌汚染対策法では、中央卸売市場に集積する生鮮食料品の安全、安心までをも担保するものではないということを、明確に環境大臣として答弁をしていただきたいと存じます。』(川内博史代議士/民主党)

 『委員のおっしゃるとおりでございます』(若林環境大臣)

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
アジアの市長による環境的に持続可能な交通に関する国際会議の開催について
神栖市A・Bトラック地区外縁部モニタリング孔の調査結果等について
イオン株式会社と環境省との「循環型社会の構築に向けた取組に関する協定」の調印式について
平成19年版環境統計集の発行について
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWG合同会合(第8回)の開催について
「平成18年度京都メカニズムクレジット取得事業」の結果について
平成19年度エコ燃料実用化地域システム実証事業の採択案件について

経済産業省
世界の石油化学製品の今後の需給動向(平成18年度版)
「平成18年度京都メカニズムクレジット取得事業」の結果について
商業販売統計確報(平成19年2月分)

国土交通省
「底質のダイオキシン類対策技術資料集」のとりまとめについて
自動車アセスメントの結果発表会を開催~自動車アセスメント結果の優良車両を一般公開するとともにNASVAが自動車アセスメントグランプリの受賞車を発表~
第4回 中長期的な展望に立った海岸保全検討会の開催について
石綿(アスベスト)含有建材データベース(平成19年3月版)の公表について

資源エネルギー庁
電力調査統計を更新

東京都
アスベストを含有した車両部品の使用について

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「4月2日から4月5日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.8
◆「環境法令管理室」に「4月2日から4月5日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.8