2007年4月2日
3月23日の衆議院環境委員会では、3月15日から17日にポツダム(ドイツ)で開催されたG8環境大臣会合に関する若林環境大臣の報告と質疑が行われました。
1.G8環境大臣会合の概要
G8環境大臣会合は、主要先進国の環境担当閣僚が一堂に会し、国際社会が直面するさまざまな問題につき意見交換を行うもので、例年、G8議長国において開催されており、G8サミットに環境面から貢献を行う重要な会合です。今回は主要途上国であるブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ各国からも環境担当閣僚が参加し、気候変動とエネルギー及び生物多様性について議論がなされました。
気候変動とエネルギーに関しては、気候変動が及ぼす影響や、本問題に対してG8各国が果たすべき役割などについて議論が行われました。日本からは、①京都議定書における6%削減約束を果たすことへの決意表明、②自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で気候を安定化させるためには中長期に世界全体の温室効果ガス排出量を半分以下にまで削減することが必要、③そのためには、主要排出国が参加する実効される枠組みの構築が重要、との主張がなされました。
2.途上国の対応
今回のG8環境大臣会合では、主要途上国であるブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ各国からも環境担当閣僚が参加し、地球温暖化に関する議論がなされています。若林環境大臣は、先進諸国と途上国との基本的な認識の違いについて、次のように報告しています。
『途上国の皆さん方は、温暖化に関して言えば、この100年、産業革命以来、先進国は豊かさを求めて地下資源をどんどんと活用して成長を確保し、そして幸せな、豊かな生活を獲得することができた。しかし、その結果として、エネルギーの使用に伴う温室効果ガスの排出など、地球環境に対する多くの負荷を与えてきた。これは大変だということで、全体にこういうエネルギー使用に抑制をかけていく。そういう先進国のことが強まってくると、途上国だって、これから開発を進め、経済成長をし、そして国民が豊かになるということを求めていく権利があるんだ、その権利を先進国が抑制する、抑圧するというのはおかしいじゃないか。まことに基本的な問題でありますが、会議冒頭から、そういうことをめぐりまして激しいやりとりがあったわけでございます。先進国側は、さはさりながら、途上国の中にもいろいろなステージがあるわけでして、途上国側も温室効果ガスの削減に、その途上国の置かれた立場に応じてやはりさらに一層の御努力をお願いしないと地球自身を守れないじゃないか、こういうことを申し上げ説得をした、こういう場面でございました。』
G8環境大臣会合での先進国・途上国の対立軸をめぐる具体的なやり取りとしては、ブラジルの熱帯雨林の伐採問題、②中国の経済成長をめぐる問題などが議論されました。若林環境大臣は、次のように報告しています。
『ブラジルはアマゾンの熱帯雨林を多く抱えているわけでありますが、この熱帯雨林が伐採が進みますと、当然、温室効果ガスの吸収源が少なくなるというようなことから、温暖化に対して非常に影響がある。先進国側からは、こういう伐採を抑制しろ、削減しろということを強く言われる。しかし、これはブラジル側からすると、国の貿易政策とも非常にかかわり、材木の輸出が難しくなる、あるいはまた、材木産業、伐採産業にかかわる労働者の雇用の問題がある、失業がふえる。そのために、ここ数年、思い切った伐採制限をした結果として経済問題が大きな問題になってきた。こういう問題に対して、先進国側が生物多様性の問題も含めましてもっと理解と支援をお願いしたい、お願いというよりも、当然の権利として、先進国側はその義務を果たすべきであるというような強い意思表示がございまして、私は、難しい問題だな、しかし大事な問題だな、こういう印象を受けたところであります。』
『中国は、著しい経済成長をいたしておりまして、大変なエネルギーの使用が増加しておりますから、それに伴いましてCO2など温室効果ガスの排出もふえているわけでございます。しかし、中国は、気候変動枠組み条約に加入をもちろんしているわけですが、自分たちはその条約に基づいて途上国としての義務は十分果たしているんだ、具体的ないろいろな例を挙げながらそれを大変強調しておりまして、将来の行動については、我々も努力はするが、引き続き先進国側が率先して排出削減に取り組むべきだ、そういうかねての姿勢は中国は変わっておりませんでした。』
【官報ウオッチング】
号外第68号
温室効果ガス算定排出量の報告等に関する命令の一部を改正する命令(内閣府・総務・法務・外務・財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境・防衛省令第1号/平成18年内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省令第2号の一部改正)
権利利益の保護に係る請求の方法において、特定事業所排出者及び特定輸送排出者が提出することとされている「書類」を「請求書」に改めるとともに、その様式をそれぞれ規定した。
施行日:平成19年4月2日
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.3.31
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.3.31
3月23日の衆議院環境委員会では、3月15日から17日にポツダム(ドイツ)で開催されたG8環境大臣会合に関する若林環境大臣の報告と質疑が行われました。
1.G8環境大臣会合の概要
G8環境大臣会合は、主要先進国の環境担当閣僚が一堂に会し、国際社会が直面するさまざまな問題につき意見交換を行うもので、例年、G8議長国において開催されており、G8サミットに環境面から貢献を行う重要な会合です。今回は主要途上国であるブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ各国からも環境担当閣僚が参加し、気候変動とエネルギー及び生物多様性について議論がなされました。
気候変動とエネルギーに関しては、気候変動が及ぼす影響や、本問題に対してG8各国が果たすべき役割などについて議論が行われました。日本からは、①京都議定書における6%削減約束を果たすことへの決意表明、②自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で気候を安定化させるためには中長期に世界全体の温室効果ガス排出量を半分以下にまで削減することが必要、③そのためには、主要排出国が参加する実効される枠組みの構築が重要、との主張がなされました。
2.途上国の対応
今回のG8環境大臣会合では、主要途上国であるブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ各国からも環境担当閣僚が参加し、地球温暖化に関する議論がなされています。若林環境大臣は、先進諸国と途上国との基本的な認識の違いについて、次のように報告しています。
『途上国の皆さん方は、温暖化に関して言えば、この100年、産業革命以来、先進国は豊かさを求めて地下資源をどんどんと活用して成長を確保し、そして幸せな、豊かな生活を獲得することができた。しかし、その結果として、エネルギーの使用に伴う温室効果ガスの排出など、地球環境に対する多くの負荷を与えてきた。これは大変だということで、全体にこういうエネルギー使用に抑制をかけていく。そういう先進国のことが強まってくると、途上国だって、これから開発を進め、経済成長をし、そして国民が豊かになるということを求めていく権利があるんだ、その権利を先進国が抑制する、抑圧するというのはおかしいじゃないか。まことに基本的な問題でありますが、会議冒頭から、そういうことをめぐりまして激しいやりとりがあったわけでございます。先進国側は、さはさりながら、途上国の中にもいろいろなステージがあるわけでして、途上国側も温室効果ガスの削減に、その途上国の置かれた立場に応じてやはりさらに一層の御努力をお願いしないと地球自身を守れないじゃないか、こういうことを申し上げ説得をした、こういう場面でございました。』
G8環境大臣会合での先進国・途上国の対立軸をめぐる具体的なやり取りとしては、ブラジルの熱帯雨林の伐採問題、②中国の経済成長をめぐる問題などが議論されました。若林環境大臣は、次のように報告しています。
『ブラジルはアマゾンの熱帯雨林を多く抱えているわけでありますが、この熱帯雨林が伐採が進みますと、当然、温室効果ガスの吸収源が少なくなるというようなことから、温暖化に対して非常に影響がある。先進国側からは、こういう伐採を抑制しろ、削減しろということを強く言われる。しかし、これはブラジル側からすると、国の貿易政策とも非常にかかわり、材木の輸出が難しくなる、あるいはまた、材木産業、伐採産業にかかわる労働者の雇用の問題がある、失業がふえる。そのために、ここ数年、思い切った伐採制限をした結果として経済問題が大きな問題になってきた。こういう問題に対して、先進国側が生物多様性の問題も含めましてもっと理解と支援をお願いしたい、お願いというよりも、当然の権利として、先進国側はその義務を果たすべきであるというような強い意思表示がございまして、私は、難しい問題だな、しかし大事な問題だな、こういう印象を受けたところであります。』
『中国は、著しい経済成長をいたしておりまして、大変なエネルギーの使用が増加しておりますから、それに伴いましてCO2など温室効果ガスの排出もふえているわけでございます。しかし、中国は、気候変動枠組み条約に加入をもちろんしているわけですが、自分たちはその条約に基づいて途上国としての義務は十分果たしているんだ、具体的ないろいろな例を挙げながらそれを大変強調しておりまして、将来の行動については、我々も努力はするが、引き続き先進国側が率先して排出削減に取り組むべきだ、そういうかねての姿勢は中国は変わっておりませんでした。』
【官報ウオッチング】
号外第68号
温室効果ガス算定排出量の報告等に関する命令の一部を改正する命令(内閣府・総務・法務・外務・財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通・環境・防衛省令第1号/平成18年内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省令第2号の一部改正)
権利利益の保護に係る請求の方法において、特定事業所排出者及び特定輸送排出者が提出することとされている「書類」を「請求書」に改めるとともに、その様式をそれぞれ規定した。
施行日:平成19年4月2日
【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。
【ISO14001】
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.3.31
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.3.31