環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

第166回通常国会の議論から⑳ 自動車NOx・PM法改正案 その4 流入車対策② 排出抑制計画など

2007-04-29 07:28:59 | 大気汚染
2007年4月29日 
 昨日に引き続き、流入車対策に関する議論にふれていきます。

3.排出抑制計画を策定しない事業者への対応策
 2.でみた周辺地域の範囲、事業者の所有台数、指定地区への流入回数が政令などで決まりますと、この基準に基づいて、流入車対策の対象となる周辺地域内事業者は、みずからの事業活動に照らして、排出抑制計画などを作成し、知事に計画を提出することになります。

 『さて、一方で、法の適用を受ける以上の台数、流入回数の実績がある事業者であるにもかかわらず、排出抑制計画を策定しない事業者があるかもしれません。法律の適用の公平性を確保する観点からも、このような事業者をどのように把握し、適正な対応を求めていこうとお考えなのか、その具体的な対応策についてお伺いします。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)

 『改正案におきましては、指定地区に係る実態調査などを踏まえまして、都道府県知事が周辺地域内事業者に対しまして、使用する自動車の台数でありますとか、また指定地区における運行の状況等の報告を求め、また立入検査を行うことができるということになっているところでございます。これによりまして、該当する事業者を把握し、必要な対応を求めていくことと考えております。また、こうした対象者に対しましては、都道府県知事による指導や勧告などの措置を厳正に実施することによりまして、義務の履行を確実に確保してまいりたいと考えております。』(環境省水・大気環境局長)

 『実際のところ、貨物自動車運送事業者の提出状況、平成15年度でも70.4%と、約3割がこれを提出していない。実態をやはりきちっと把握していかないと、私たちが今回法改正をしても実効性というのはなかなか上がらないと思うんですね。行政として、指導それから勧告などを厳正にやはり実施していかないと流入車対策が進まないんじゃないか、私はその点を非常に心配いたしますし、対象となる事業者をまず的確に把握すること、それから、義務を確実に履行させることが何よりも重要だというふうに考えますが、その点についてどう手を打っていかれるつもりか。環境省、お答えいただけますか。』(田島一成代議士/民主党)

 『事業者の方からの、現行法の取り組みでございますが、特に貨物の運送事業者について7割ということで、我々、この課題について、中央環境審議会の方からも、しっかりと厳正にこの法律を運用するようにという御指摘もいただいております。私たち直接でないところが残念でございますが、所管でございます国土交通省とも緊密に連絡をとりまして、実効が上がるように努力していきたいと思っております。』(環境省水・大気環境局長)

4.改正法の適用を受けない運送事業者や一般車両の指定地区への流入対策
 中央環境審議会の答申において、「容易に車両が自動車NOx・PM法上の車種規制に適合した車か否かが識別可能なステッカー制度等を構築する必要がある。」との提言がなされているように、制度全体の公平性を確保していくためにも、改正法の適用を受けない規模の運送事業者や一般車両の指定地区への流入対策が問題となります。

 『・・・・・・一目でわかる適合車ステッカー制度は、わかりやすい、非常に有効な施策だと考えております。そして、一般への適合車の使用の促進につながるとも考えております。ステッカー制度について、今後、環境省としては、関係省庁などと連携し、どのような制度の実現を図っていこうと考えておられるのか、環境大臣のお考えをお聞かせください。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)

 『ステッカー制度は、車両が自動車NOx・PM法上の車種規制に適合しているか否かということとを容易に識別可能とするという意味では大変効果があるものと考えておりまして、中央環境審議会での意見具申を踏まえまして、この提言をどのように実行していくか、検討したところでございます。このステッカー制度は、流入車対策の実効性を担保するとともに、自動車輸送業者による適合車の使用を促していくという効果も期待できるわけでございますので、環境省としては、具体的な枠組みづくりにつきまして、今後、国土交通省や関係事業者等と連携、相談をして、効果的にこのステッカー制度を実現させていきたいと考えております。』(若林環境大臣)

 『ステッカー制度ということに対して、政府はどのようにお考えなのか。何か難しいところがあるとか、必ずしもがっと行っている感じではないんですが、ステッカー制度というのは非常にわかりやすいし、それぞれのトラックの主要業者あるいは委託をしている業者、特に主要業者さんのいろいろな使用計画の提出等々も必ずしも十分に守られていないところもあるようです。そういうことを考えると、ステッカーによって、ステッカーもうそをつけばつけるのかもしれませんが、やはりそのステッカーによってわかりやすいという、みんなで監視するというかチェックする、こういうのは非常にいいと思うんですが、いかがでありましょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『中央環境審議会でも、意見具申の中で具体的な提言がされておりますので、この点については、流入車対策の実効性を担保する意味でも非常に大きいですし、自動車輸送業者による適合車の使用を促すものになると思いますし、そういう意味で、ぜひ具体的な方向を探っていきたいと思っております。環境省と国土交通省としっかりと連携していくことが大事だと思いますし、今後、また事業者がやりやすい、実行しやすい方法を連携して相談していこうと考えております。また、一般の人も本当に目で見てわかる、これは非常に制度としてはいいと思いますので、しっかりと進めてまいりたいと思います。』(土屋副大臣)

 『特に委員会というようなモダリティーについてまで詰めておりません。しかし、これは実態的に、先生御指摘のとおり、ステッカー制度というのは非常に有効なものであるということで、実質的に私ども行政の範囲で実施が可能というように考えておりまして、国土交通省、もう既に担当者レベルではいろいろな意味でコミュニケーション、連絡をとったりしてきておりますので、これからまた引き続き国交省など関係する方面とも連絡調整をしっかりとやっていきたいと思っております。』(環境省水・大気環境局長)

5.ロードプライシングとの関係
 ロードプライシングは、大都市の交通量を抑制し渋滞や自動車公害を緩和する経済的手法のひとつで、道路の使用に対して直接的に料金を課す制度です。①特定の道路や車線を対象に料金を徴収する線的ロードプライシング、②一定の区域に入ってくる自動車から料金を徴収する面的ロードプライシングなどがあり、シンガポールやノルウェーでは②の例が取り入れられています。

 『流入車の対策、その流入車を含めてすべての車が出す、そういう排ガスを実質的に抑制していかなくてはいけないというふうに思うんですが、その点についてはどうでしょうか。ロンドンとかシンガポールなど、ロードプライシング等々が導入されて排出ガスを減らしていく、そういうような措置も各国でさまざま試みがあるようでありますが、いかがでありましょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『中央環境審議会の意見具申の中でも、先生御指摘のございましたロンドン、シンガポール等で導入がなされているロードプライシングについては、大変流入抑制対策としても有効である。一方で、いろいろなその導入に当たっての有効性であるとか社会的受容性、技術的な問題とか等々、こういったものの検討をする必要がある、こういう御指摘でございまして、私どもも、経済面への影響であるとか公平性の確保、合意形成の進め方など、いろいろな知見をそれこそ集約していきたいと思っておりまして、さらに検討を進めていく必要があると私ども思っております。同時に、いろいろな形での、ロードプライシングに加えて、効率的な物流システムの構築とかモーダルシフト、基本的に交通量を抑制するようなそういう対策もあわせて講じていきたいと考えているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)

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【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.21
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.21