環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

第166回通常国会環境関連法案の審議状況⑪ 海洋汚染防止法改正案、衆議院環境委員会で可決

2007-04-28 09:29:33 | 水質汚濁
2007年4月28日号外 
27日の衆議院環境委員会において、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第73号)は、附帯決議を付して、原案のとおり可決されました。詳しい審議の模様は、第166回通常国会の議論から、で掲載する予定です。

※本号では、自動車NOx・PM法の審議のうち、流入車対策に関する議論を取り上げておりますので、そちらもご覧ください。


第166回通常国会の議論から⑲ 自動車NOx・PM法改正案 その3 流入車対策① 基本的な考え方

2007-04-28 09:20:17 | 業務日誌
2007年4月28日 
 4月13日の衆議院環境員会では、参考人への質疑ののち、本格的な法案審議となりました。本日から、重要な改正点ごとの審議内容を拾っていきます。

【流入車対策】
1.流入車対策の基本的な考え方
 本改正法案の根拠となる2月23日の中央環境審議会答申『今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について』では、①流入車対策については、対策地域外からの車両が無規制であるということは制度全体の公平性の面から問題である、②対策地域全体において排出量抑制を図ることが必要である、と指摘されています。この意見具申を踏まえると、流入車対策はNOx・PM対策地域全域について実施されてもよいとの考えが成り立ちます。しかし、本改正案では、NOx・PM対策地域の中に設定される重点対策地区の箇所から環境大臣が指定した箇所を指定地区に定め、流入車対策を適用することとされています。

(1)基本的考え方
 『対策地域内に使用の本拠を有する自動車につきましては法規制により代替が進められるのに対して、対策地域外の事業者に関しては、自動車の平均使用年数が延びていることもあって、代替が進んでおりません。一方で、対策地域内における流入車の交通量割合を見ますと、例えば平成17年度の貨物車で18%を占めているわけでございます。この流入車対策の実施に当たりましては、対策地域内と対策地域外の自動車について、それぞれへの影響なり双方のバランスをきめ細かく考慮して、大気環境の改善を進めていくことが重要でございます。今回の改正案で講じようとしている流入車対策の内容、それから対象者がどのような対象者なのか、さらにコスト負担などによって事業者の対応が困難とならないのか、環境省のお考えをお伺いしておきます。』(江田康幸代議士/公明党)
 
 『今回導入いたします流入車対策でございますが、まず、対策地域に隣接いたしました周辺地域において自動車を一定台数以上保有している、またその自動車を指定地区において反復継続して走行させる事業者を対象といたしまして、窒素酸化物などの排出抑制に関する計画を作成していただき、提出していただく、また定期的に報告をすることなどを義務づけるものでございます。この計画の具体的内容でございますが、例えば、貨物自動車の積載率の向上などを通じました車両使用量を削減するとか、またエコドライブの実施に当たりまして具体的に職員の研修を進める、そしてまた低公害車など計画的な導入を図る、こういったものを、事業者の可能な範囲での取り組みを促すものでございます。そういう意味では、過大な負担を伴うことなく実効性を上げることができるものというように考えているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)

(2)車庫飛ばしへの対応
 『規制がかかっているところに本拠があるというか主体がある、そうでないところに車が置いてあるところが規制の区域に入っていくことには規制がない。いわゆる不公平、またそういう中で車庫飛ばしというような問題も起こってきている。これについて、今回の法案の中でも少し触れられているわけでありますが、どのように対応されていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『対策地域外から規制がかからない車の流入、そして対策地域内の事業者との競争の不公平感等も含め、いわゆる車庫飛ばし等への対応と思うのでありますけれども、現行の自動車NOx・PM法におきましては、対策地域内に使用の本拠の位置を有する自動車は、対策地域内を走行する蓋然性が高いため、汚染物質の排出抑制を図る必要性がより高いと認められることから、車種規制は対策地域内に限定して実施してきたものであります。そこで、今回の改正案では、対策地域の外の事業者であっても、対策地域内の局地において流入車を走行させる一定の事業者は計画策定等の義務を課し、これに基づき排出抑制の取り組みを促すこととしたものであります。こうした取り組みの実効性を上げるべく、今後とも努力をしていきたいと考えております。また、今委員御指摘のいわゆる車庫飛ばしについてでありますが、これは自動車の保管場所の確保等に関する法律等で禁じられております。これにより、このような行為が起きないように、警察庁や国土交通省などの関係省庁との連携を今後とも密にとりながら、引き続き対応していきたいと考えております。』(北川大臣政務官)

(3)指定地区の考え方
 『なぜ、このままでは環境基準の達成が難しいと考えられます重点対策地区全域を指定地区とし、流入車対策を実施されないのか、その理由をお聞かせください。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)

 『ただいま御指摘いただきました指定地区の考え方でございますが、この指定地区というのは、流入車対策を講ずる上での一つの要件として構成をしておるところでございます。したがいまして、交通量全体に占める流入車の割合が通常よりも相当程度高い地区を指定地区として対象とするということとしております。したがいまして、こうした考えのもと、環境省におきまして、重点対策地区のうちから流入車の割合等を勘案しまして指定地区を決定することとしております。したがいまして、必ずしもすべての重点対策地区が自動的に指定地区として指定されることとは限らないわけでございますが、いずれにしても、局地汚染対策また流入車対策、あわせて実効のあるものとするように私どもも努めてまいりたいと考えております。』(環境省水・大気環境局長)

(4)荷主への対策
 『自動車を運行する事業者そして荷主に対して、今回、努力義務を課すことになりました。この努力義務の規定に基づく取り組みの内容について、私自身、見ておりますと、もう少し荷主に対しても強力な措置というものを講じていくべきではないかなというふうに思うわけですけれども、その点について、環境省、いかがか、お答えください。』(田島一成代議士/民主党)
 
 『荷主に対する努力義務を今回新たに導入したところでございます。努力義務の規定に基づく取り組みに関しまして、自動車を運行する事業者については、対策地域内を走行する際には、自動車NOx法に基づく排出適合車を使用するよう努めていただく。また、今委員御指摘のありました、荷主につきましては、運送事業者に対する貨物運送の計画的な発注によりまして、まとまった貨物を少ない頻度で運送させる、そういうことを内容としてございまして、詳細につきまして、今後関係者と調整をしていきたいと思っております。また、流入車対策として、この努力義務に加えまして、もう既に御案内のとおりでございますけれども、事業者の排出抑制計画の提出義務を課しまして、新たな対策をさらに講じて、総合的な対策の一助として、また、主要な柱として、今後、地域の環境基準早期達成に向けて努力をしてまいりたいと思っております。』(環境省水・大気環境局長)

2.NOx等の排出抑制計画書提出義務が課される周辺地域事業者の要件
 今回の法改正による流入車対策では、NOx・PM対策地域の外側の周辺地域に本拠地がある運送事業者などで、一定以上の台数を使用し、かつ指定地区内を一定回数以上運行する事業者が流入車対策の対象となっており、そのような周辺地域の事業者は、NOx等の排出抑制計画を作成し、計画書を知事に提出する必要がある、とされています。

 『法の適用の対象となる事業者の所有する車両の台数や指定地区内への流入回数は、それぞれ政令、省令で定めることになっておりますが、さて、環境省としては、この台数、回数について、具体的にどのような数値を定めようとしておられるのか、お伺いします。また、それぞれの指定地区ごとに周辺地域の範囲は省令で定めることになっていますが、指定地区の隣接地域からどの程度の範囲を周辺地域に指定しようとお考えなのか、この点についてもお聞かせください。』(近藤三津枝代議士/自由民主党)
 
 『まず最初に、所有する自動車の台数の要件についてでございますが、政令で定めることとしておりますが、周辺地域内の一つの都道府県内に所有している自動車の台数が30台以上とすることを現時点で想定しておるところでございます。また、指定地区におきます自動車の運行回数の要件につきましてですが、継続的かつ頻繁に指定地区を運行するような事業者を義務づけの対象とするということを想定しておりまして、具体的な水準については今後検討をさせていただきたいと思っておるところでございます。 また、周辺地域の具体的な範囲につきましては、今後、指定地区が定まり次第、当該指定地区において運行されている流入車の登録地につきまして調査を行った上で定めていくこととしているところでございます。』(環境省水・大気環境局長)

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
第1回「みどりの式典」について
自然公園法50周年記念事業について(みどりフェスタ&国立公園フェア及び国立公園巡回写真展の開催)
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく学識経験者の選定及び公表について
廃棄物処理法に基づく廃棄物の輸出確認及び輸入許可(平成18年)について
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(平成18年)について
「平成19年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査・対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の募集について
国際生物多様性の日に係る記念行事の実施について
中央環境審議会「21世紀環境立国戦略特別部会」第8回会合の開催について

経済産業省
産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルワーキング・グループプラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会合同会合(第5回)
平成18年の特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況について(お知らせ)
平成19年度「原子力エネルギー安全月間」について
鉱工業生産・出荷・在庫指数速報(平成19年3月分)
資源・エネルギー統計速報(平成19年3月分)
機械統計速報(平成19年3月分)
化学工業統計速報(平成19年3月分)
窯業・建材統計速報(平成19年3月分)
繊維・生活用品統計速報(平成19年3月分)
紙・パルプ・プラスチック製品・ゴム製品統計速報(平成19年3月分)
鉄鋼・非鉄金属製品・金属製品統計速報(平成19年3月分)
石油統計速報(平成19年3月分)

国土交通省
土砂災害警戒避難ガイドラインについて
第1回「みどりの式典」について
建設工事受注動態統計調査(大手50社)(平成19年3月分)
建築着工統計調査報告(平成19年3月分)
建設労働需給調査結果(平成19年3月調査)
平成18年度国土交通白書について

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.21
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.21