環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

第166回国会の議論から ⑪戦略的環境アセスメントの法制化をめぐる議論

2007-04-05 05:45:29 | 環境行政一般
2007年4月5日 
 3月23日の衆議院環境委員会では、戦略的環境アセスメントの法制化へ向けた質疑がなされています。戦略的環境アセスメントについては、平成9年の環境影響評価法の制定時に、その制度化について検討を進めるという附帯決議がなされ、研究会形式による議論が継続されてきました。そして、昨年4月に策定された第三次環境基本計画において、共通的ガイドラインの作成及び制度化に向けて取り組みを進めることが、閣議決定されています。これを受けまして、昨年8月から、戦略的環境アセスメント総合研究会が設置され、共通のガイドラインの取りまとめなどに向けて検討が重ねられています。

1.戦略的環境アセスメント法制化への道のり
 民主党の近藤昭一代議士は、戦略的環境アセスメントガイドラインについて一定の評価を与えつつ、海外での事例を引き合いに出し、将来の法制化の可能性について質問しました。

 『環境省の方で頑張って、戦略的なアセスメントの導入に向けての動きが出ている、これはいいことだと思うんです。ぜひ、省庁間の壁を越えて、国際的な評価にたえ得る戦略的アセスメント導入に邁進していただきたい、こういうふうに思うわけであります。ですから、今ガイドラインということでありますが、ガイドラインというだけではなく、近い将来の法制化に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えておるわけでありますが、大臣、この点につきまして、いかがでしょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『今後、この共通的ガイドラインを踏まえまして各省で取り組みの具体化を進めていただくわけでありますが、その進行を見ながら、戦略的環境アセスメントの導入がさらに大きく進展をするということを期待しているところでございます。これを法制化するということにつきましては、やはり具体的な事例の積み重ねを待って、それぞれ、道路だとか、河川だとか、いろいろこれから始めるわけですから、そういうような積み重ねを待って、その法制化はそれらの結果を踏まえた上で検討をすべきことだというふうに考えております。』(若林環境大臣)

 『この問題は、国際的には戦略的環境アセスメントというのは随分と導入をされていて、日本はかなりおくれていると私は思うんですね。そういう意味で、それに向けて取り組んでいくという御答弁ではあるのかもしれませんが、少し急がなくてはならないと思うんです。大臣、どうなんですか。環境の観点からすれば、もうすぐにでもやるべきだと思うんです。ところが、大臣もいろいろとお考えになっての御発言のような気がするんですが、なかなかそれをすぐにということにいかないような、何かいろいろと、抵抗といいましょうか反対といいましょうか御懸念というか、そういうのがあるんでしょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『戦略的アセスメントにつきましては、実は、今までも検討しておりましたけれども、第三次基本計画の中で、戦略的環境アセスメントに関する共通的なガイドラインの作成をする、そういうことをして導入していこうという道筋が示されておりますので、その道筋に従ってきっちりやっていこうと。今、戦略的アセスメントの総合研究会ということをやっております。その議論が大詰めに来ておりますので、それの議論できちんと共通的なガイドラインをつくってもらう、それを関係の省庁で具体化していく、そういうことで進めたいということで取り組んでいるところでございます』(環境省総合環境政策局長)

2.事業計画中止と戦略的環境アセスメント
 戦略的環境アセスメントの特色は、事業アセスメントよりも早期の上位の計画段階で、環境への負荷につぃて検討する点にあります。近藤代議士は、その戦略的環境アセスメントの機能から、事業計画自体の中止という選択があるか、質問しました。

 『これから戦略的ということで申し上げますと、環境アセスを行った結果、事業を行わないというふうな選択もやはりあるべきだと思うんですね。どちらかというと、今までは、事業をやる、それの中でのアセスであって、私は、そうではない、戦略的アセスというのは事業を行わないという選択もあるべきだというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。』(近藤昭一代議士/民主党)

 『御指摘のとおり、戦略的アセスメントは、事業アセスよりももうちょっと早期の、上位の計画の段階でやっていこうということでございますので、話が全部煮詰まってしまってからやるということではなくて、その前に早期に環境を配慮していくということでございます。今申し上げました研究会で検討いただいております導入ガイドラインの中でも、そういうことで、複数案を比較評価を行うというところに力を入れて記述されておりまして、これは、今パブリックコメントに付されております、もうすぐ煮詰まってくると思っておりますが。その中で、事業を行わない案ということにつきましても、それが現実的である場合、それから他の施策の組み合わせ等により対象計画の目的を達成できる案を設定する場合、そういった場合には、そういう事業を行わない案ということも複数案に含めるものとするというようなことを記載されておりまして、これが研究会でまとまってまいりますので、そういった記載が盛り込まれまして、先生御指摘の事業を行わない案というようなことも含めた複数案を含む戦略的ガイドラインということがつくられればいいな、こういうことで期待をしておるところでございます。』(環境省総合環境政策局長))

 戦略的環境アセスメントの法制化については、各省庁の思惑も絡むことから、全体的なコンセンサスを得て、法制化されるまでにはまだまだ相当の時間を要するものと思われます。しかし、第三次環境基本計画策定以降、着実に議論が積重ねられていることに間違いはありません。今後の展開に期待をしたいと思います。

【官報ウオッチング】
号外第71号
〔省令〕
消費生活用製品安全法施行規則の一部を改正する省令(農林水産省・経済産業省令第1号/昭和49年農林省・通商産業省令第1号の一部改正)
 消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知つた際には、当該消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量の主務大臣へ報告することとされている。その期限を、重大製品事故が生じたことを知つた日から起算して10日以内とし、報告様式(様式第一)を規定した、など。
施行日:平成19年5月14日

〔告示〕
政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(環境省告示第28号)
 地球温暖化対策の推進に関する法律第20条の2第2項の規定に基づき、政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について
定めたもの。政府の実行計画に盛り込まれた措置を着実に実施することにより、平成13年度を基準として、政府の事務及び事業に伴い直接的及び間接的に排出される温室効果ガスの平成22年度から平成24年度までの総排出量の平均を8%削減することを目標とする。また、この目標は、関係府省の取組の進捗状況や温室効果ガスの排出量の状況などを踏まえ、一層の削減が可能である場合には適切に見直すこととする。


【行政情報ウオッチング】
環境省
「地球温暖化対策の推進に関する法律第21条の3における権利利益が害されるおそれの有無の判断に係る審査基準について」の取りまとめ等について
「地球温暖化防止のための環境学習プログラム」の配布について
小型哺乳類の高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況の検査結果及び傷病猛禽類の高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況調査の実施について(クマタカから検出されたH5N1亜型)

経済産業省
鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表速報(平成19年2月分)

国土交通省
排出ガス対策型建設機械の指定について

厚生労働省
石綿に係る疾病の業務上外に関する検討会第23回開催について
石綿に係る疾病の業務上外に関する検討会第22回開催について

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.3.31
◆「環境法令管理室」に「3月26日から4月1日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.3.31