環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

平成20年度予算編成の動向 23環境省 環境立国・日本の創造・発信 その5 

2007-09-06 07:07:28 | 情報公開
2007年9月6日 
 平成20年度環境省の概算要求第5回は、環境から拓く経済成長と地域活性化の道筋、に関する施策です。

5.環境から拓く経済成長と地域活性化の道筋
(1)環境技術の展開と経済のグリーン化による環境と経済の好循環
(ア)環境技術の戦略的な開発・普及
①ナノテクノロジー等急速に発展している環境技術について、早期の実用化を図るための研究開発を進める。
②地域固有の環境問題に関し、産学官連携の下で、地域資源を活かした解決方法の調査と地場産業等の活用による優良技術の実用化を進める。
③我が国の環境研究・技術開発について、ホームページ等により国民へのわかりやすい情報の提供と世界への戦略的な発信を進める。
④2010 年開催の上海国際博覧会における環境技術の展示等について具体的な検討を行う。
【主な予算措置】 百万円
・ナノテクノロジーを活用した環境技術開発推進事業 700( 453)
・地域の産学官連携による環境技術開発基盤整備モデル事業 58( 48)
・(新)環境研究・技術開発の戦略的発信事業 20( 0)
・(新)上海国際博覧会推進費 10( 0)
・環境技術開発等推進費[競争的資金] 1,600( 881)

(イ)グリーン購入やグリーン契約等を通じた環境配慮型経済への転換
①消費市場や資本市場における環境に配慮した行動を促進するため、消費者や投資家に企業や製品の環境負荷に関する情報を的確に提供する「見える化」を進める。また、金融を通じて環境保全への国民の意欲を環境ビジネスに結びつけるための取組を引き続き推進。
②グリーン契約法に基づき、国等の取組の推進と地方での取組拡大を図る。
③建て替え時期となっている中古の集合住宅やオフィスビルにおいて、LCA(ライフサイクルアセスメント)を活用した評価を行い、省エネ改築・改修と建築物の長期利用を促進。
④気候変動等の長期的環境変動を展望し、その影響と必要な対応を明らかにするとともに、経済活動と環境の関わりについての状況及び動向を継続的に調査分析し、発信。
【主な予算措置】 百万円
・(新)環境関連商品購入促進方法調査事業 48( 0)
・(新)企業活動の環境影響見える化手法調査 20( 0)
・(新)国等における環境配慮契約等推進経費 62( 0)
・(新)建築物等エコ化可能性評価促進事業 19( 0)
・(新)経済活動と環境に関する調査分析 50( 0)

(2)自然の恵みを活かした活力ある地域づくり
(ア)多様な主体の参加と協働による地域づくり
①我が国を代表する自然であるとともに地域の観光資源ともなる魅力的な国立公園づくりのため、国、地方自治体、地域住民、民間企業、NGO 等広範な関係者が協働して公園管理やモニタリングを行う仕組みづくりや、必要な施設整備を進める。
②美しい自然、歴史、文化が一体となった魅力ある温泉地づくりを進める。また、国民が安心して温泉を利用することができるよう、温泉施設等の安全対策や適正な情報の提供を進める。
③エコツーリズム推進法の制定を受けて、地域の取組の推進や人材育成、普及啓発等によりエコツーリズムの定着・発展を図る。
④光やかおり、音などの人の五感を重視した街作りのための人材育成、手法開発等を進める。
⑤地域コミュニティを構成する多様な主体が参加して地域の活性化にも資する環境保全活動を進める場合において、コミュニティファンドを通じた支援を行う。
⑥地域における環境影響評価に係る体制の構築・強化や事業者への効果的な環境情報の整理提供手法の検討等を進め、平成19 年に策定されたガイドラインを踏まえた実効ある戦略的環境アセスメントを推進するとともに、環境影響評価制度の見直しを引き続き進める。
⑦地域特性に応じた総合的な施策展開に向け、地域環境政策ビジョンの策定等を進める。
【主な予算措置】 百万円
・広範な関係者の参加による魅力的な国立公園づくり推進事業 41( 18)
・自然公園等事業費(公共)(再掲) 14,211(11,767)
・温泉の保護及び安全・適正利用推進費 41( 25)
・エコツーリズム総合推進事業費 180( 129)
・(新)良好な感覚環境形成のための街作りの推進調査 50( 0)
・コミュニティ・ファンド等を活用した環境保全活動促進事業(一般会計・エネ特会) 111( 111)
・(新)戦略的環境アセスメント導入促進費 34( 0)
・環境影響評価体制強化費 64( 1)
・地域環境政策ビジョン策定推進費 35( 20)

(イ)水辺地や水生生物も含めた豊かな水辺づくり
①様々な魚介類等が生息し、人々がその恵みを将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな海(里海)を創生するため、先端的なモデル地域での取組支援等を行う。
②赤潮の発生や魚介類の減少が深刻化している有明海・八代海において、底質環境の定期調査や環境悪化が進んでいる区域の重点調査を進め、再生方策の実施に役立てる。
③湖沼におけるヨシ群落の保全再生等により、水質に加え、水辺の植生や水生生物の観点も含めた健全な湖沼づくりを行う。
【主な予算措置】 百万円
・(新)里海創生支援事業 50( 0)
・(新)有明海・八代海再生フォローアップ調査費 50( 0)
・(新)多様な生物を育む健全な湖沼づくり事業 30( 0)

(3)環境を感じ、考え、行動する人づくり
①「21 世紀環境教育プラン~いつでも、どこでも、誰でも環境教育AAAプラン~」に基づき、家庭、学校、地域、企業等における質の高い環境教育・環境学習の機会の多様化を図る。
② 持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development )について、ESDサポーターの配置等による地域における取組の推進、大学での環境教育プログラムの開発等、高等教育機関における展開を図る。
③国立公園や農山漁村での子ども宿泊自然体験プランをとりまとめ、情報提供するなど、五感で自然を感じる原体験を推進し、自然の恩恵や人との関わりなどを次世代に伝える。
④地域のアイデアを掘り起こし、NPO、市民等との協働による環境政策づくりや企業のCSR
活動を進めていくとともに、持続可能なまちづくりのためのパートナーシップ形成手法の開発、実証、普及を図ります。
【主な予算措置】 百万円
・(新)発達段階に応じた環境教育の「ねらい」等策定に関する調査研究 16( 0)
・(新)21世紀子ども放課後環境教育プロジェクト 59( 0)
・(新)未就学児を対象とした環境教育 30( 0)
・(新)企業等が取り組む環境教育推進プロジェクト 21( 0)
・国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10 年促進事業 135( 42)
・(新) 「五感で学ぼう!」子ども自然体験プロジェクト(再掲) 47( 0)
・(新)協働による環境保全型地域活性化ツールの開発・実証事業 25( 0)

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
国土交通省
航空輸送統計速報(平成19年4月分)

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「8月27日から9月2日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.9.2
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「8月27日から9月2日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.9.2
◆「産業廃棄物委託契約」Q&A事例研究」を追加しました/ 2007.9.2
◆「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」Q&A事例研究」を追加しました/ 2007.9.2


企業ホームページと環境

2007-07-23 06:30:59 | 情報公開
2007年7月23日 
 小中学生にとっては待望の夏休みに突入し、いよいよ夏本番。7月22日のフジサンケイ・ビジネスアイでは、夏休みの自由研究のテーマに環境問題、とくに省エネを扱ってみては? と、次のような記事が掲載されています。

 『今夏、ぜひともお勧めしたいテーマが「環境」。6月にドイツで開かれた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で、2050年度までに二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスの半減を検討することが決まったからだ。温暖化対策を進めるには、エネルギー問題のあり方や省エネ活動の重要性を理解しておくことが不可欠。幸いにも、エネルギー関連団体・企業のホームページは子供向けのコンテンツが充実しており、これを有効活用すれば自由研究もすいすいとこなせるかも。』

 上記の記事が指摘しているように、最近、各企業や業界団体のホームページの充実ぶりには目をみはるものがあります。ちょっとした調べものは、関連企業のホームページをヒントにすると、確かに早く結論にたどり着くことができます。
 しかしここで重要なことは、ネット検索を鵜呑みにしないことではないでしょうか。無料で情報を提供する、あるいはPRのために情報を提供する、という場合など、提供目的にあわせたバイアスがかかっている可能性は否定できません。また、課題⇒結論の構造ではなく、本来は⇒に隠されたプロセスこそ重要である、という場合もあるでしょう。それに気がつかないと、わかったようでいて結局はなにも分からない、という結果になってしまいます。
 
 とは言え、やはりホームページによる各企業の情報提供はすばらしいと思います。私は小学生の頃の自由研究で、手漉き和紙に関する調べものをした経験がありますが、当時は図書館で関連する本を探したり、旅行先で話を聞くのが精一杯でした。現在であれば、このテーマなど、製紙会社のホームページをみればそれこそ消化不良になりほどの情報があふれています。
 特に各企業の環境への取組みについては、大きな項目として扱われていることも多く、情報を集めるのは他のテーマより比較的簡単かも知れません。環境報告書の作成もさることながら、時代を担うこどもたちに向けてこうしたコンテンツを提供していくことは、たいへん意義のあることだと思います。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
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【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.22
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月16日から7月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.7.22

環境省『環境報告書ガイドライン』改訂の行方 ③改訂のポイント―基本的事項

2007-02-04 10:36:54 | 情報公開
2007年2月4日  
環境省『環境報告書ガイドライン』改訂の行方、第3回は、今回の検討会の改訂のポイントについてふれていきます。

5.環境報告書記載項目の枠組み
前回の『環境報告書ガイドライン(2003年度版)』では、環境報告書に記載することが重要と考えられる『環境報告書の記載項目』を大きく5つの分野に分け、さらにこれらを25項目に細分化していました。今回の素案では、これらの項目を整理したうえで、新たな項目を追加し、5分野29項目に分類されています。そして、これらの項目ごとに記載する情報・指標が列記されています。記載する情報・指標は、さらに、①全ての授業者に共通して重要性があると考えられる環境情報・指標、②報告書の基本的機能を踏まえ、持続可能な社会の構築に向けて、必要に応じて記載することが期待される情報・指標、の2段階の構成となっています。以下、分野ごとにみていきます。

(1)基本的項目(BI)
①基本的構成
 BI―1:経営者のコミットメント
 BI―2:報告にあたっての基本的要件
  BI-2-1:報告の組織対象・期間・分野
  BI-2-2:報告範囲の環境負荷の捕捉状況
 BI-3:事業の概況(経営指標を含む)
 BI―4:環境報告書の概要
  BI-4-1:主要な指標等の一覧
  BI―4-2:事業活動における環境配慮の取組に関する目標、計画及び実績の総括
 BI-5:事業活動のマテリアルバランス(インプット、内部循環、アウトプット)

②主な改訂点
□BI―1:経営者のコミットメント
 経営者の責任を明確にするために、従来の『緒言(総括及び誓約を含む)』が『コミットメント』に改められました。コミットメントはISO規格でも使用されている用語で、単に宣言するだけでなく、結果について責任をとる、という意味合いが含まれています。また、それに伴い、『報告範囲や報告内容の信頼性等の考え方にも現言及する必要がある』との一文が追加されています。

□BI―2:報告にあたっての基本的要件
 環境報告書の継続性に着目し、『前回報告からの変化や経緯等について記載』することが求められることとなりました。また、情報記載に当たっての留意点として、①報告対象組織の明確化、②準拠したガイドライン等との比較表、③連絡先の明記、が追加されています。
 新規項目として、『BI-2-2:報告範囲の環境負荷の捕捉状況』が加えられました。これは、環境保全から環境経営へと進化していくなかで、財務会計報告にならい環境報告書の範囲を原則として連結決算対象組織とし、報告対象を限定した場合の措置について言及されています。検討会の議論のなかでは、『国内外に事業所等がある場合には、環境パフォーマンス指標は合算ではなく、わけて記述するべき』との意見がだされました。

□BI-3:事業の概況(経営指標を含む)
 この項目においては、財務データ等の経営関連指標の整理がなされました。また、情報記載に当たっての留意点として、①過去5年程度の売上額、生産額、従業員数の記載、②事業者の生産品目の記載において、主要な原材料の採掘先、調達先、営業・販売実施地域の特定、が追加されています。

□BI―4:環境報告書の概要
 『BI-4-1:主要な指標等の一覧』が新規項目として追加されました。これは、事業の概況、環境に関する規制の遵守、温室効果ガス等の大気への排出量、廃棄物等総排出量、廃棄物最終処分量、事業活動にとって重要と考えられる項目について、サマリーを作成するものです。これも環境報告書の継続性に着目し、事業者における重要な環境負荷の推移を時系列に評価できることを目指しての改訂であるといえます。

□BI-5:事業活動のマテリアルバランス(インプット、内部循環、アウトプット)
 従来は、事業活動そのもののマテリアルバランスの記載が求められていましたが、今回はそれに加えて『事業エリア内における循環的資源利用量(エネルギー、廃棄物、水資源等)』もあわせて記載することとされています。
 また、マテリアルバランスの整理が行われ、『事業者の製造活動と非製造活動のいずれも対象としますが、アウトプットについては有形の製品と放出物・廃棄物のみを表現するものとします。無形のアウトプットであるサービスや役務等は、別途製品・サービスの環境負荷の状況及びその低減対策にて記載』することとされました。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「1月29日から2月4日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.2.3
◆「環境法令管理室」に「1月29日から2月4日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.2.3
◆「環境・CSR・法令管理サポート」のコーナーを新設しました/2007.1.30
◆「環境法令管理室」に「第166国会(常会)提出予定環境関連法案・条例一覧(閣法)」をアップしました/2007.1.27

環境省『環境報告書ガイドライン』改訂の行方 ②誰のためのガイドラインか?

2007-02-03 11:28:16 | 情報公開
2007年2月3日  
 環境省『環境報告書ガイドライン』改訂の行方、第2回は、本ガイドラインは誰のためのものか、について検証します。本ガイドラインの想定読書については、検討会のなかで議論された事項でも重要な部分であると思います。

4.環境報告書の読者とガイドラインの利用者
 本検討会では、本ガイドラインの利用者は誰か? という視点について、かなり時間を割いて検討が重ねられました。『環境報告書ガイドライン(2003年度版)』では、『このガイドラインは、環境報告書を作成する全ての事業者を対象としていますが、特に上場企業やそれに相当する大規模事業者(従業員数500人程度以上)にあっては、このガイドラインに示した項目や情報を盛り込んだ環境報告書を作成することが期待されます。また、環境報告書の作成を始めたばかりの事業者や、中小事業者(工場等のサイト単位を含む)にあっては、このガイドラインを参考に、可能なところから、可能な範囲で段階的に取り組んで行っていただければ良いと考えています』として、主対象を大規模事業者(従業員数500人程度以上)としています。これに対し、日本企業のほとんどを占める中小企業にまで広げていくのか、というのが1つ。それから、作成された環境報告書を利用する投資家等のステークホルダーが、当該環境報告書を読みこむための指針として活用できるものにすべきではないか、というのがもう1つの論点です。
(1)中小企業を対象とするか?
 『中小企業を対象とするのか』については議論が分かれ、『そもそも大企業向けと中小企業向けを1つのガイドラインで提示することには無理がある』、『中小企業はエコアクション21の枠組みを活用すればよい』、『大規模事業者(従業員数500人程度以上)のすみわけ自体があいまいではないか。従業員規模500人と499人で違いがあるとは思えない』などの意見が出されています。
 先日の記事で書いた通り、現在、環境報告書の作成・公表は、基本的に企業の自由意志によります。平成16年に制定された環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)では、①独立行政法人や国立大学等の特定事業者に対して、環境報告書の作成・公表を義務付け、②大企業に対して、環境報告書の公表その他のその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、その公表を行うときは、記載事項等に留意して環境報告書を作成することその他の措置を講ずることにより、環境報告書その他の環境配慮等の状況に関する情報の信頼性を高めるように努めるものとする、とされ、努力義務規定ながらも環境報告書の作成が求められています。
 一方、中小企業に対しては、環境報告書に対する主体的な規定は置かれておらず、『国は、中小企業者がその事業活動に係る環境配慮等の状況の公表を容易に行うことができるようにするため、その公表の方法に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする』として、環境配慮情報の開示に対する国がサポートすべきことを規定しています。
 前述の議論及び環境省のスタンスからすると、中小企業国の環境配慮情報の開示に対する国のサポートには『エコアクション21』の枠組があることになりますが、これは無料でできるわけではありません。ISO14001の認証登録に比べれば経済的とはいえ、審査費用・登録費用が発生します。この論理からすると、大企業は環境省のガイドラインに則して(無料で)作成できるのに対し、中小企業は有料で作成しなければならないことになり、不公平なような感じがします。もっとも、現段階の本素案では『また、環境報告書の作成を始めたばかりの事業者や、中小事業者(工場等のサイト単位を含む)にあっては、このガイドラインを参考に、可能なところから、可能な範囲で段階的に取り組むことが望まれます』とされていますので、中小企業であっても環境省のガイドラインに則して(無料で)作成することが拒まれているわけではありません。
 中小企業であっても大企業に負けない立派な環境報告書を作成している企業はたくさん存在します。また、現在、環境報告書を作成していない中小企業であっても、ガイドラインに沿った環境報告書を作成する能力が劣っているとは思えません。問題なのは、見た目の綺麗な報告書を作成するには、それなりの費用がかかるという現実なのではないでしょうか。中小企業に対してのガイドラインの困難さを議論するより前に、この点について議論をすべきであると考えます。少なくとも、検討会の委員として、中小業関連者を加える配慮があってもよかったのではないでしょうか。

(2)ステークホルダーの指針としてのガイドライン
 ステークホルダーが環境報告書を読む際の指針として活用できるガイドラインとする、という論点は、環境に対する取組を企業価値として捉え、ステークホルダーが投資・融資の指標を客観的に把握できる内容としようとするものです。
 この視点は、本検討会の基本方針の1つとされ、議論が進められてきました。投資という観点からは、上場企業が主対象となりますが、融資という観点からは上場企業以外であっても主対象となりえます。本素案においては、改訂のポイントの1つとして金融のグリーン化を掲げ、整理が行われています。金融機関では、環境関連のプロジェクトに対する融資案件なども検討されはじめ、実効に移されているケースもあります。
 検討会の議論のなかでは、本素案の段階では、環境報告書を作成する事業者を意識した内容に偏重している、という意見も出されており、中間報告書案の段階ではこの点の整理がなされることとなりました。

【官報ウオッチング】
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【行政情報ウオッチング】
環境省
宮崎県新富町における高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例への対応について
中環審廃リ部会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会、産構審会環境部会廃リ小委員会容器包装リサイクルWGプラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会合同会合(第1回)の開催について
「21世紀環境立国戦略」の策定について
温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に関する意見の募集(パブリックコメント)について

経済産業省
乗用車等の新しい燃費基準(トップランナー基準)に関する最終取りまとめについて
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について

国土交通省
平成19年度グリーン物流パートナーシップ推進事業の募集について
乗用車等の新しい燃費基準(トップランナー基準)に関する最終取りまとめについて
総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会自動車判断基準小委員会・交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会自動車燃費基準小委員会合同会議中間取りまとめに関するパブリックコメントの募集結果について

厚生労働省
水道の基本統計

資源エネルギー庁
電気事業者による温対法に基づく事業者別排出係数の初期値試算への協力について

東京都
東京都下水道事業「経営計画2007」を策定

【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
◆「環境法令管理室」に「第166国会(常会)提出予定環境関連法案・条例一覧(閣法)」をアップしました/2007.1.27
◆「環境法令管理室」に「1月22日から1月28日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.1.27
◆「環境法令管理室」に「1月22日から1月28日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.1.27
◆「無料相談・研修会」に1月19日実施の研修会資料をアップしました/2007.1.20
◆「環境・CSR・法令管理サポート」のコーナーを新設しました/2007.1.30

環境省『環境報告書ガイドライン』改訂の行方 ①『環境』から『CSR』への壁

2007-02-02 08:03:31 | 情報公開
2007年2月2日
 2月1日、『第3回 環境報告書ガイドライン改訂検討会』が開催されました。前回までの議論を踏まえた中間報告の素案が提示され、その内容について4時間を超える議論が展開されました。環境法令ウオッチングでは、本日から数回にわたり、その検討内容についてレポートしていきます。

1.環境報告書の現状  環境報告書は、レッドデータブック入り?
 日本企業による環境報告書は、1990年代頃から作成されはじめたものと思われます。ISO14001の発効が1996年、環境庁による『環境報告書作成ガイドライン~よくわかる環境報告書の作り方』が策定されたのが翌1997年のことで、この頃から大企業を中心とした環境報告書作成の動きが本格化します。これを受け、環境省は2000年に『環境報告書ガイドライン(2000年度版)~環境報告書作成のための手引き~』を策定。2003年に『環境報告書ガイドライン(2003年度版)』へと改訂されています。
 『環境報告書ガイドライン(2000年度版)~環境報告書作成のための手引き~』の序章には、『現在、我が国においては、上場企業及び比較的従業員数が多い(500 人程度以上)企業・事業者は約6000 社ほどありますが、この内、環境報告書を作成・公表している事業者は約300 社程度に過ぎないと推定されます』と記述されており、当時の環境報告書の発行数は約300社であったことが伺い知れます。昨日の『第3回 環境報告書ガイドライン改訂検討会』で配布された素案の該当部分では、この数が1,000社へと拡大しています。上場企業及び従業員500人程度以上規模の企業・事業者数は約6,000社とされていますので、環境報告書の作成率は約17%ということになります。
 しかし、近年、『環境報告書』から企業の社会的責任全般について報告する『社会・環境レポート』や『CSRレポート』へ移行する企業も多く、純粋な『環境報告書』の数は減少傾向にあると言えます。

2.環境報告書の位置づけ  法的に強制される環境報告書もある
 環境報告書の作成・公表は、基本的に企業の自由意志によります。しかし、平成16年に、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)が制定され、独立行政法人や国立大学等の特定事業者に対して、環境報告書の作成・公表が義務付けられました。また、大企業に対しては『環境配慮等の状況の公表を行うように努めるとともに、記載事項等に留意して環境報告書を作成すること等により、作成した環境報告書等の信頼性を高めるように努める』こととされ、努力義務規定ながらも環境報告書の作成が求められています。
 海外の目を向けると、オランダ、デンマーク等では、環境報告書の作成を義務づける制度が設けられており、また、EU では、環境報告書の作成・公表も盛り込んだ、環境管理監査制度(EMAS )が実施されています。
 また、1997年には、持続可能性の相互に関連する各側面―経済的、環境的、社会的―を報告するための共通の枠組みを設計するため、NGOとしてGRI (Global Reporting Initiative)が設立されています。GRIは、企業の報告を対象に、最初の開発作業を進め、2000 年6 月に『持続可能性報告ガイドライン』を公表。その後、2002年、2006年と改訂が進められています。上記でみたように、現状では純粋な環境報告書は少ないため、ガイドラインとして使用される率は、環境省のものより、GRIのもののほうが多いのが現状のようです。

3.環境省ガイドラインの壁
 環境省のガイドラインは、2003年版においてはじめて『環境』の壁を超え、『社会的取組の状況』について、言及しました。これは、先にみたように環境報告書から社会・環境報告書やCSRレポートなどへの移行を視野に入れたものでした。環境省のガイドラインを『使えるもの』とするためには、重要な措置であったと思います。
 今回の改訂議論のなかでも、もっとも白熱してのが、この部分の更なる進化についてでした。素案では、『「社会的取組状況」を表す情報・指標(案)』とされ、記載することが望ましい情報・指標として、①労働安全衛生に関する情報、②雇用に関する情報、③人権に関する情報、④地域社会に対する貢献に関する情報、⑤企業倫理及び公正取引に関する情報、⑥個人情報保護等に関する情報、⑦広範な消費者保護及び製品安全に関する情報、⑧その他の社会的項目に関する情報、が掲げられていました。しかし、委員からは『記載する情報として明確に位置づけるべき』等の意見が出され、さらなる進化が求められました。
 これに対し、環境省は、『縦割り行政の限界であり、環境省として責任を持てるのは、記載することが望ましい、と提示するまでが精一杯』である旨の回答がなされました。読書の利便性を考慮すれば、各委員が指摘したように社会・環境報告書やCSRレポート的な枠組みへの変更が必要なことは明確です。しかし、あくまで環境報告をメインにすることが環境省の使命であり限界であることが現実のようです。
 結局、先に閣議決定された第三次環境基本計画では、『環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上』が明確に謳われていることから、社会的取組状況を拡大していく予定であることをメッセージとして入れてはどうか、との意見に収斂され、環境省において再度、検討することとして、この日の結論となりました。
 よりよいガイドラインを作成するにも、このような壁が存在することは、何とも割り切れない感じがします。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
宮崎県日向市における高病原性鳥インフルエンザ発生の野鳥調査の実施について
化学物質をめぐる国際潮流について
グリーン購入法に係る特定調達品目及びその判断の基準等の見直しの概要(案)に対する意見募集の結果について
「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の一部変更について
改正フロン回収・破壊法「対象者別説明会」の追加開催(東京)について
「国別登録簿の利用に関する説明会」の開催について
平成18年度自主参加型国内排出量取引制度 取引参加者の採択結果について
第1回 日本・モンゴル環境政策対話の結果について
「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示の一部を改正する告示(案)」に関する意見の募集について
化学物質をめぐる国際潮流に関する国際シンポジウムの開催について(第2報)
カエルなど両生類に感染するツボカビについて

経済産業省
CDM/JIプロジェクト政府承認審査結果について(申請者:三菱UFJ証券株式会社、丸紅株式会社、三井物産株式会社)
「国別登録簿の利用に関する説明会」の開催について
改正フロン回収・破壊法「対象者別説明会」の追加開催(東京)について
NO!トラブルのための情報サイト「消費生活安心ガイド」の公開について
「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)シンポジウム ~APPの現在と将来について~」の開催について
温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に関する意見の募集について

資源エネルギー庁
「水のヒミツ」「地球のヒミツ」
温対法に基づく事業者別排出係数の初期値の試算及び報告について
石油情報報告に関する情報発信サイト


【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「第166国会(常会)提出予定環境関連法案・条例一覧(閣法)」をアップしました/2007.1.27
◆「環境法令管理室」に「1月22日から1月28日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.1.27
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環境配慮促進法と環境報告書 経営・営業ツールとしても積極的活用を

2006-09-27 11:49:08 | 情報公開
2006年9月27日 
 京都大学が環境報告書を公表したというニュースがありました。トップコミントメントとして、①大学の活動が与えるすべての環境負荷を小さくすること、②環境マインドを持った人材を輩出すること、③①②の情報を積極的に開示すること、を掲げられています。また、環境パフォーマンスに該当する部分については、①二酸化炭素(CO2)年間排出量は、2005年度で132,000,000kg-CO2/年。一人あたりでは、3,900kg-CO2/年であり、家庭生活における 一人あたり平均排出量(1,300 kg)の3倍、②エネルギー消費量24億メガジュール、③水使用量150万立方メートル、④コピー用紙消費量(A4判換算)1億枚、などの数値が報告されています。
 環境報告書は、大企業を中心にステークホルダーへの説明責任のためのツールとして作成されはじめ、今ではCSR報告書などのかたちをとるものもではじめています。こうした背景を受け、政府は『規制改革推進3 か年計画(2002年3月29 日閣議決定)』において、環境報告書の普及及び信頼性のための措置を講じることが盛り込み、2004 年5 月には、特定の公的事業を行う者に対して環境報告書の作成・公表を義務づけること等により、環境に配慮した事業活動の促進を図ることをも目的とした「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」が成立しました。
 本法においては、事業者による環境報告書の作成・公表を促進するため、環境報告書に記載し、又は記録すべき事項及びその記載や記録の方法を定めることとされており、事業者、学識経験者、あるいはこうした方々によって組織された団体等からの意見も踏まえて、平成17 年3 月に「環境報告書の記載事項等」が策定、告示されています。また、独立行政法人や国立大学等を特定事業者と位置づけ、特定事業者に対しては、上記記載事項に従って環境報告書を作成し、公表するよう努めることとされているほか、民間の大企業者(中小企業者以外の事業者。特定事業者を除く)においても、記載事項等に留意して環境報告書を作成するように努めることとされており、今後は、本法の記載事項等が環境報告書の基礎的な要素となり、幅広い事業者が環境報告書を作成・公表する際に活用されていくことが期待されます。
 一方、環境マネジメントシステムでは、ISO14001はその規格において環境報告書の作成・公表を要求事項としていませんが、エコアクション21などは、環境報告書に準じた情報の開示を定めています。
 環境報告書の作成は手間のかかるものではありますが、①その作業過程を通して経営に必要な情報を収集・整理できること、②ステークホルダーへの説明責任を果たすツールとなること、③作成方法によっては、営業的ツールとしても有効に機能すること、などの利点が考えられます。民間企業に対する規制などはまったくありませんから、簡単なものからでもよいので作成を考慮してみてはいかがでしょうか。

官報ウオッチング
〔告示〕
厚生労働省告示第518号
労働安全衛生法第57条の3第1項に規定により届出があった新規化学物質の名称の公表。
平成18年9月27日告示

【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会総合政策部会第14回公害防止計画小委員会の開催について
「浄化槽の日」関連行事等について

経済産業省
産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会第39回容器包装リサイクルワーキング・グループ

厚生労働省
第1回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会資料
平成17年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

東京都
不正軽油撲滅強化月間の取組

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
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