若生のり子=誰でもポエットでアーティスト

文字さえ書ければ、ポエット
感覚次第で、何でもアート
日日を豊かに遊び心

『門付』について『日本の演劇史に脱落した、芸術になってやらぬ芸能の系譜』

2021-03-09 | Weblog
厄払い芸系目次
厄払(やくはら)い、ちょろけん、胸叩(たた)き、節季候(せきぞろ)、婆等(うばら)、すたすた坊主、狐舞(きつねまい)、風神(かぜのかみ)送り、鉢叩き。節分にやってくる厄払いを除くと、年の暮れに旧年の厄を払うために訪れるものがほとんどである。

祝福芸系目次
松囃子(まつばやし)、懸想文売(けそうぶみう)り、千秋万歳、猿回し、傀儡子(かいらいし)、物吉(ものよし)、春駒(はるこま)、ほめら、鳥追い、福俵、大黒舞(だいこくまい)、お福さん、かせどり。初春は門付芸人の稼ぎどきであるため、古風を残す芸種がやはり集中している。

御祓い芸系目次
獅子舞(ししまい)、太神楽(だいかぐら)、半田稲荷(いなり)、わいわい天王、住吉踊、神事舞太夫(たゆう)、鹿島(かしま)の事触れ、鳥足行人(ちょうそくぎょうにん)、淡島願人(あわしまがんにん)。この種にも正月にやってくるものが多いが、淡島願人のように季節にかかわりなく、女性の病気を治す御祓(おはら)いをして晒(さらし)布を売り歩くものもあったようで、かなり近世的な色が濃くなってくる。

祭文・説教芸系目次
祭文(さいもん)語り(山伏祭文、歌祭文、説教祭文、浮かれ節、ちょんがれ節、でろれん祭文など)、瞽女(ごぜ)、歌念仏、門説経、八挺鉦(はっちょうがね)、間(あい)の山、門談義、葛西(かさい)踊、虚無僧(こむそう)、琵琶(びわ)法師、四つ竹、あるき巫女(みこ)。ほとんど季節とは関係がなくなり、大道芸と称したほうがぴったりの芸種である。

 祭文や説教といった信仰に深く根ざした世界から近世を経て浪花節(なにわぶし)や講談、落語といった大衆娯楽芸能を生み出した日本人は、江戸時代に多くの「物乞(ものご)いの芸能」を生ぜしめた。謎(なぞ)解き、大道講釈、太平記読み、辻(つじ)謡曲、乞食芝居(一人二役俄(にわか)芝居)、よいやなァ、独り狂言、声色(こわいろ)遣い(役者物真似(ものまね))、笠(かさ)人形、長松(ちょうまつ)小僧、藁(わら)人形、丹波(たんば)の荒熊、船頭、可愛(かわ)いがって、一人相撲(ずもう)、腕香(うでこう)など、その数は枚挙にいとまがないほどである。明治の法界屋や近代の流しの演歌師などにまでその伝統は受け継がれたが、広場としての大道を失い、高層化して門をもたなくなった現代、そのほとんどを失ってしまったようである。
 日本大百科全書のつづき
[織田紘二]

最新の画像もっと見る

コメントを投稿