惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

『万引き家族』

2018-06-18 21:14:40 | 映画

 大阪の地震を知ったのは、朝食をはさんで録画視聴していたサッカーW杯ブラジル対スイス戦が終わった時のこと。ビデオを止めると、ついさっきの地震の情報を伝えているところでした。
 あのあたりには知り合いがかなりいるのですが、さいわい怪我をした人はいない模様。でも、棚(特に本棚――みんな蔵書家なのです)のものが床上に散乱し、大変なことになっているみたい。お見舞い申しあげます。

 サッカーの試合は、1-1の引き分け。ネイマール選手がシュートを外した後、足を痛そうにしている時は「大丈夫だろうか?」と心配しましたが、たいしたことはなかったみたいで何より。
 見なかったのですが、その前のドイツ対メキシコ戦は0-1でメキシコが勝利。メキシコ国内は大変な騒ぎになっているそうです。

 市民農園では、大根、キュウリ、シシトウなどを収穫。
 収穫した大根の葉っぱに巨大なアブがとまっていました。

 体長3センチほどもあったでしょうか。一部では「最強の昆虫」ともいわれるシオヤアブのようです。畑にいる他の虫を狙ってきたのかな。

 午後は駅前のシネコンで是枝裕和監督『万引き家族』。奇妙な「家族」の謎にみちた関係をめぐる人間ドラマ。

 リリー・フランキー演ずるおっさんと城桧吏の少年がスーパーで万引きをしての帰り道、肉屋の店頭でコロッケを、これはおカネを出して買い、齧りながら歩く途中で、マンションのベランダの内側にいる寂しそうな女の子を見かけて「保護」。自分たちの家族の一員とするところから話が始まります。
 この「家族」、お祖母さんとおっさん、おばさん、女子高生(に扮して風俗で働く少女)に小学生ぐらいの少年という、一見、3世帯同居のように見えながら、実はまるで違うということが、だんだんとわかってくる。この結びつきというか、人と人のつながり方が困ったものでありながら、魅力的。血のつながった家族と、そうでない人たちの寄り添う疑似家族と、どこがどう違うのか、考えさせられます。

 映像は、ここ数作の是枝作品のようにきっちりとした美学で構築されたものではなく、ドラマの中身に集中するかのように、割と無造作なタッチ(とはいえ、しっかり計算されています)。しかし、その「無造作な」感じがなおさらに人間味をあふれさせているように感じました。

 いくつも忘れがたいシーンがあります。
 樹木希林さんが海を眺める表情。安藤サクラがソウメンのお代わりをとりに台所に立った時の、艶っぽいというのとも美しいというのとも違う、存在感のある、なんとも魅力的な肢体。ビルの谷間のボロ家を見下ろす俯瞰図(CG?)。
 何度も反芻したくなる傑作でした。