29 日米関係 -221- 《戦後》Ⅺ 占領期(1945-52)-55-
■まとめと考察 ⑻主権回復 4/n
~考察と評価2/n(未評価)~ ※現段階の色字は、調査・検討するための強調です。
1 「締結した米国の意図・動機・理由」の描き方を評価する
⑴ 各社はどう描いているのか。 → 前回:656
⑵ 「締結した米国の意図・動機・理由」は、なんだろうか? ~学び舎以外の7社の内容を検討する~
この場合、端的には、米国の最高決定機関であるトルーマン大統領のそれ、ということになる。しかし、前回も書いたように、原理的にヒトの内心は他者には分からない。したがって、さまざまな歴史資料から〝推理″するということになる。(※大統領本人が言ったり、書いたりしたものでも、そのまま信用するわけにはいかない。日記でさえも。)
とは言え、私は歴史学者ではないので、《一次資料をもとに研究する》のは無理なので、さまざまな2次・3次資料に書かれていることをもとに推理するしかない。・・・ これまで読んできたさまざまな資料により、米国が日本の主権回復(経済復興・自衛力の保持)を意図した理由を、妥当性が高いと推理できる順に並べれば、
① ソ連(東側陣営、共産主義勢力)との冷戦構造のなかで、日本を有力な味方にするため。あるいは、有力な手下にするため。
=7社:育鵬社、自由社、東京書籍、(帝国書院)、教育出版、日本文教、清水書院。(※文脈的解釈を採用すれば)
② 日本人(国)が、米国などに対抗して「アジアの覇権」を目指す可能性はない、と安心したから。
③ 日本人(国)が、永久的な「米軍の駐留」を認めた(あるいは、願った)から。※「安全保障条約」の締結と一体。
④ 占領を続けるための、経済的(あるいは道義的)な責任・負担を逃れるため。
ほかにもたくさんあるようだが、主要なものは以上だろう。①~③は一体的なものだと言える。
では、7社(除:学び社)の描き方は合格なのか・・・未熟な中学生の読解力を前提にすれば、そうは言えない。 → 次回につづく
~おもしろい資料を見つけたので紹介します。筆者は、スタンフォード大学 フーヴァー研究所教授 西鋭夫さん~
「名目的な独立はさせても実質的な占領は続ける」by 元米国国務長官ジョン・F・ダレス ~日本独立の3つの条件と現在も残るアメリカによる占領~
1951(昭和26)年9月8日サンフランシスコ
日本の首相である吉田茂は、日本独立を約束した「サンフランシスコ平和条約」にサインをした。しかしアメリカが吉田にサインさせたかったのは、平和条約ではなかった…
それまで、7年間の日本占領期間で、GHQは日本の文化、日本の強さを徹底的に破壊し、日本が二度と立ち上がれないようにするつもりだった。しかし、その目算はすぐに狂った。
日本の目と鼻の先で「朝鮮戦争」が勃発した。
平和憲法9条の名の下に、日本を二度と再軍備させないつもりだったアメリカの戦略は、朝鮮戦争により崩壊。マッカーサーは自ら作った憲法9条を新しく「解釈」し、日本を朝鮮戦争の軍事基地にするよう方針転換をした。そこに日本国民の意思など微塵もない。
軍事基地として、共産圏からの砦とするためには、日本を独立させてある程度、経済的にも軍事的にも強くなってもらった方がいい。日本の独立は全て、アメリカの都合、アメリカの外交戦略によるものだった。事実、独立交渉に、日本人は一人も参加していない。
現代の私たちや、私たちの子供達が「普通」だと考えている情景。それらは、アメリカが作り上げた「異常な」情景であった。しかし、小学校から大学まで、徹底的に教育された私たちは、その「異常さ」に気付くことすらできなくなったのか。
終わらない沖縄基地問題、取り戻せない北朝鮮の拉致被害者たち、北方領土、実効支配されてしまっている竹島、明らかに奪い取られても何もできない尖閣諸島。これらは全て、本質的な原因が語られることはなく、表面的なことばかりではないだろうか。
70年経っても、アメリカの支配は終わらない。それは、目に見えない形で続く。一般国民が気づくことは、ほとんどない。誰もが目に見えて気づいて、異常だったインドの植民地支配は、250年続いた。気づくことが難しい、アメリカの日本支配は、いつまで続くのだろうか?
歴史を知らなければ、それは永久に続く。
歴史を学ばなければ、私たちは、植民地の奴隷のままではないか。
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《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》
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