33 「世界の現状と今後の日本の課題」の描き方 -11-
■まとめと考察
⑴掲載事項 5/5 各社への疑問3 ~まとめ表再掲~
■各社への疑問 ~評価はしない~
3 「今後の、日本と世界の関わり方」の描き方
以下の4社は妥当なものだと思う。
●育鵬社「世界中の人々が平和で幸せに暮らしていけるように国際貢献」、自由社「人類の発展と平和に貢献」、帝国書院「歴史的経験を世界の人々に発信し、共有することで、共に生きていく社会を築き、世界に貢献」、清水書院「国際協調の維持」、「世界の人びととの交流や対話」、「核兵器のない世界平和の実現と普遍的な人権の確立,途上国の発展への援助,地球環境問題への対処など、人類共通の課題の解決に努めめていかなければならない。」
しかし、教育出版には大きな疑問を持つ。
●教育出版⑴ 「…世界のあらゆる地域に住む人々の人権や文化を守るために,私たちが積極的な役割を果たすことも大切です。」
「あらゆる地域の人権や文化を」?・・・冷戦終了後の唯一の超大国:米国でさえできなかった(しなかった)ことを、"全局面で(相対的に)後退”しつつある日本が、できるはずがない。”口先だけできれいごとを言う” のは、もうやめましょう。
●教育出版⑵ 「現在,世界や日本が抱えている,貧困や紛争,地球環境問題,少子高齢化などの課題について,世界のさまざまな国や地域,人々と知恵や力を出し合いながら解決していくモデルを示すことが,日本には求められています。」
日本は(※世界ではなく)、解決すべき、世界レベルの深刻な「貧困や紛争」は抱えていないと思うが…? 中学生は、日本は「貧困国」「紛争国」だと誤解するのでは?
こんなずさんな表現は不適切だろう。
4 「平等」という表現
●日本文教⑴ 「…あらゆる人々に公平で平等な社会をきずいていくことが必要です。」
●日本文教⑵ 「…日本はもとより世界のすべての人々が平等で平和な社会を築いていかなければなりません。」
「あらゆる人々、すべての人々が平等…」? 「平等」をどんな意味で使っているか不明だが、一般的な「…みな、等しいこと」という意味だとすれば、たとえ「法の下の」のという条件をつけたとしても、実際にはほとんど ”口先だけのきれいごと” にすぎない。そもそも原理的に、ヒトに個性を認める限り、原理的に、《人は生まれたときから不平等》だろう。
こんなずさんな、甘ったるい表現は、中学生の世界認識や人間認識をゆがめ、人生での選択場面で失敗する可能性さえあるだろう。
5 「日本の民主主義」はいつから?
●日本文教 「1945年の敗戦の翌年,日本国憲法が公布され.日本は民主主義のもとに再出発しました。」
上記「民主主義」が、「国民主権」という用語なら理解できるが…? 大日本帝国憲法下の日本は、「非民主主義国家」ですか?
「選挙をもって民意を反映する政治体制の国が、民主主義国」という定義を是とすれば、明治・大正・《「大政翼賛会」以前の昭和初期》の日本は、民主主義国家だ。
~次回から、⑵冷戦終了後の、日本の軍事的国家安全保障の描き方~
<全リンク⇒1へ> <33現状と課題691・692・693・694・695・696・⑴掲載事項697・698・699・700・701 ⑵軍事的国家安全保障>
・著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》※記事の不備等に関するお願い…《ブログ「やおよろずの神々の棲む国で」の記事》が原典。他に2つのサイトに同時に投稿中。不備等の後日修正は原典のみで実施中ですが、事情により原典ブログではコメント機能を止めています。ブログの内容に疑問がある場合は、投稿中の2つのサイト<AまたはB >へのコメントで教えてください。