起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

売上の計上基準 2

2005-03-16 00:35:13 | 会計
ITサービス企業の会計監査を厳格にという記事が3月13日の日経新聞に掲載されていました。


ポイントは、売上計上の基準を明確にするということです。
この記事によれば、2005年3月期には基準の設定は間に合わないので、2005年3月期はアメリカの基準を参考に・・・と書かれています。
実際、2005年3月期にアメリカの基準を参考にしてくる会社があるのかどうか不明ですが、今回はアメリカの基準がどうなっているのか、紹介したいと思います。


以前にも「売上の計上基準」で紹介させていただきましたが、今回はアメリカの基準を簡単に書いてみたいと思います。

アメリカで売上に関して公開されている基準には、

SAB第101号 <米国証券取引委員会(SEC)職員会計公報(SAB)第101号「財務諸表における収益認識」>があります。

なお、SAB101は、当初1999年12月に公表され、その後、数回の改定・FAQが公表され、最終的に2003年12月にSAB104として公表されていますが、このSAB104を含め、SAB101と呼んでいるようです。

なお、純額表示の話は、EITF指針99-19「代理人としての純額表示に対する当事者としての純額表示」の公表で、SAB104からは削除されています。


この中で、日本でも影響があると考えられるものは、【収益の認識基準】と【収益を総額で認識するか準額で認識するかの基準】であると考えられます。



【SAB101で示されている実現・稼得の条件】(「週刊経営財務」No.2694 P11より)
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①取り決めが存在しているという説得力のある証拠が存在する。
②製品等が引渡されている、またはサービスが履行されている。
③販売価格が固定または決定可能である。
④回収が合理的に保証されている。
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この要件によれば、売上は出荷基準は認められないことになり、引渡基準を採用しなければならないと考えられています。
特に、売買の基本契約で所有権の移転が相手先の検収時になっている場合には、検収基準を採用しなければならなくなってしまいます。
実務的には、得意先に引渡したか検収したかどうかということを確認することは非常に困難だと思いますので、対応に苦労するのではないでしょうか。
出荷基準なら自社でデータ管理が可能ですので簡単なのですが。。。。


【総額表示・純額表示を判断する際の考慮点(EITF指針99-19)】(「週刊経営財務」No.2694 P16より)
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①取引の当事者であるか否か
②商製品の所有権を有するか否か
③たとえば回収リスク、配送リスク、返品リスクといった所有に伴うリスクと便益を保有しているか否か
④実質的に代理人またはブローカーとしてサービスを提供する場合も含めて、手数料ベースで報酬を受取るような代理人またはブローカーとして活動するか否か
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総額か純額かは上記の事項を考慮して行いますので、いわゆる商社のような取引は、純額で表示しなければならないようです。(大手商社は純額表示に変更しているようです。)
この表示の基準で一番影響を受けるのは、商社だと思います。また、IT関係企業、ゼネコンもそうでしょう。

ゼネコンも、発注先からの工事を下請企業に流している場合が多いので、このような取引は、純額表示(手数料分だけ売上計上する)しなければならなくなると考えられるからです。



特に表示の問題は、場合によっては、売上高が激減(10分の1とかに)する可能性がある話ですから、アメリカの基準を参考にといって、簡単には会計処理を変更できるかどうかは微妙です。

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