起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

株式分割の会計処理

2005-04-18 22:54:41 | 会計
株式分割がちょっと前に話題になっていましたが、遅ればせながら、会計処理に絡めて書いてみたいと思います。

株式分割とは、1株の株式を2株とか1.2株とか複数の株式に分けることをいいます。
最近は、1株を100株というように大量に分割することも行われているようです。

最近そのような分割が活発に行われてきている背景には、証券取引所が株式の売買単位を引下げるように要請していることもあるようです。
つまり、1株100万円していた株式が100分割すると(1株が100株になると)、1株当りの価値は100分の1になりますから、理論上1株1万円になるわけです。
したがって、1単元(売買単位)が1株の場合、1株購入するのに100万円の資金が必要だった株が1万円で購入することができるようになります。
このように売買単位が引下げられると個人投資家が株式投資に参加しやすくなるので、株式市場が活性化するということで、証券取引所が売買単位の引下げを要請していたのです。


それでは、株式分割を行った会社の株式を保有していた場合、その会計処理はどうなるのでしょうか?
株式分割を行っても保有している株式の価値は変わりませんから、仕訳を新たに行う必要はありません。

ただし、株式数が増えるわけですから、取得価格はそれに伴って減少させる必要があります。
つまり、1株が2分割すると(1株が2株になると)、株式数を2倍、取得価格を2分の1にする必要があります。
なお、期末には、「その他有価証券」に分類される場合、評価替が必要になりますので取得価格と時価との比較が必要になってきます。


ここで、株式分割の場合、権利付最終日、割当日(権利確定日)、効力発生日というものがあります。
たとえば3月末に分割する場合、具体的には、権利付最終日・・・3/25(金)、割当日・・・3/31(水)、効力発生日・・・5/20(金)というスケジュールになると考えられます。

割当日・・・この日までに株主名簿に株主として記載されていれば分割を受ける
権利を得られる日付
権利付最終日・・・この日の大引けまでに証券会社で株式を購入していれば、株主名簿に株主として記載されるため、株式分割の権利を受けられるという日付
効力発生日・・・実際に新株が交付される日付(約2ヵ月後)

なお、割当日と権利付最終日にタイムラグがあるのは、証券会社で購入すると名義書換に5営業日タイムラグがあるためです。
また、権利付最終日の翌日を権利落日といったりもします。


それでは、上記の場合、株式が増えるのはいつになるのでしょうか?
実際に株式が交付されるのは効力発生日(5/20)ですが、権利落日(権利付最終日の翌日)には新株交付の権利を受けているので、既に株式数は増えているとするべきであると考えられます。

権利落日以降に株式を売却しても効力発生日には新株の交付は受けられますからです。
2分割した場合、権利落日には株価は2分の1になっているはずです。



ここで、昨今問題となっている株式分割の問題点に気付かれた方もいらっしゃると思います(知っている人は知っていると思いますが。。。)。
つまり、株式分割を行うと、分割による新株は2ヵ月後にしか交付されません。
したがって、新株の売却を行うためには2ヶ月待つ必要が出てくるんですね。
3/30に株式を全部売りたいと思っても全部は売れません。分割前の株は売れますが、分割後の新株は5/20にならないと売れませんから。
つまり、市場に売りに出てくる株式が少なくなってしまうので、株価が上昇してしまう傾向にあるといえます。特に大量分割をしますと、市場に売りに出てくる株が極端に少なくなってしまうので(100分割すると通常の100分の1しか売りに出てきません)、株価が高騰してしまう可能性が出てくるのです。
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