●たまたま読んだ日経新聞の記事にこんなものがありました。「市制返上で「夕張町」の手も」(窮迫地方財政)」です。岩手県に、人口5万人を超える村があり、市にはならないというもの。市になると、福祉事務所の設置など様々な事務処理が義務づけられるが、村なら県の事務としてやってももらえるので、市には昇格しないとしないというポリシーとのこと。
●内容は、夕張市も例えば、市制を返上して身の丈にあった行政事務を取り扱うようスリム化するのも一つの手段ではないかというものでした。「なるほどな」と思いつつ、市町村制度の欠陥でもあるのかなと思ったりもしました。一旦「市」になってしまうと、様々な事務を処理する必要に迫られますが、市民にとっては、身近な「市」が市民ニーズに合わせて行政を行ってもらえれば、それはプラスと言えます。ただし、それは、本来の「市」という規模があってこそのもの。人口が減り実質的に「市」とはいえない規模になってしまった自治体が「市」として行政を行えば、大なり小なり歪みは生ずるもの。今までは、それを交付税が補ってきました。
●三位一体改革で、一気のこの欠陥が吹き出したと言っても良いでしょうね。その意味で、三位一体改革は、ハードランディング路線だとも言えるでしょう。
●三位一体改革を進める過程では、このようなことは起こりうる訳で、自治体の破綻法制を含めた地方自治制度改革は、本来、三位一体改革と併行して進めるべきだったんだと思います。
●さて、その人口5万人を超える「村」とは、滝沢村です。村のホームページを見ると、村の「行政経営理念」や「村政経営に係る村長方針の展開」を定め、行政には珍しく、マネジメント意識の高い自治体のようです。
●今回、市制に移行しないのも、「分権の時代にそぐわないが、財政面での国の締め付けが厳しいから」と村長は語っています。この辺が「県」、「市」、「町」、「村」という現在の画一的な地方自治制度の問題点のようです。住民自治の観点から住民がどのようなレベルの行政水準を望むか、それに合わせた自治体経営が行うことができるようにしても良いのかもしれません。
●道州制も新たな自治行政の枠組みという意味では同様だと思います。
●さて、高橋知事も22日の記者会見で財政危機を迎えている歌志内市などについて、「市から町になることも検討の余地あり」とのコメントを残しています。今後、この問題がどんな展開をしていくか見守りたいと思います。
【夕張市関係】
【道州制関係】