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夕張市の財政再建団体入りにみる地方自治とは?

2006-06-27 10:02:21 | 行政

■地方自治とは、一般的にいうと、「地域の住民生活と直接関係を持つ公共、共同の事項に関して、住民の意思、責任及び負担によってこれを処理・運営していくこと」であり、「住民自治」と「団体自治」の側面があると言われている。「住民自治」とは「地方の運営はその地方の住民の意思によって行うべきという概念」であり、「団体自治」とは、「地方の運営を国とは別の、独立した、自治権を持つ自治組織により行うべきという概念」である。ちょっと難しい表現ですけど、ほとんど受け売りです・・・。

■今回の夕張市の再建団体入りは、このような概念に照らしてどう考えるべきだろうか。まず、これほどの借金を背負うことに住民間のコンセンサスつまり「住民自治」という面からはどうだったのだろうか。

■夕張市は炭坑閉鎖が相次ぎ人口が激減しはじめた頃から様々な雇用安定策を講じてきている。石炭の歴史村はその先駆けであり、民間企業が撤退の際に、市が買い上げ第三セクターに運営させる手法を乱用していた。普通に考えれば誰もが財政的に厳しくなっているとわかっていたはず。今回、さらに明るみにでた「ヤミ起債」問題も予算を見ればおそらく通常の起債以外に起債制限を超えて起債をおこしていることは少し気をつけてみれば市議の方でもわかったのではないか。いやわかっている議員の方もいたと思う。このように考えると、ここまで極端な赤字であったという認識はないにしろ、かなり「ヤバイ」という意識は住民の中にもあったと思う。

■次に「団体自治」という面からだが、独立した自治権を地方自治法上保障された「市」という地方自治体である夕張市。前市長が6期連続当選という長期政権であったという事情はあるにせよ、市議会が運営され実際の自治運営を行っていることを考えると「団体自治」は当然あったと考えられる。

■つまり、住民自治が完全ではないにしろ行われ、団体自治による運営を行った上で、このような事態を招いたことの評価をどう考えるかである。まず、出てくるのは、「自己責任論」である。既に「国への甘え」があったのではないかという論調も出ている。次に出てくるのは、「自治体未熟論」である。やはり自治体は国がに入り祭にいり指導していかなければやっていけないのだという論調。これは国の官僚からもうすぐ出てくるであろうし現在の地方分権の流れに水を差す動きになってくると思う。更に主張されるとは、極論で、「過疎地域不要論」、「都会礼賛論」であろう。これは経済効率などを全面に押し出した論旨になると思う。

■夕張市の問題はヤミ起債問題発覚という局面を迎え、今や財政問題というレベルを超え、北海道の旧産炭地域における自治法制が、当時の社会情勢に照らして適切だったという議論までさかのぼる必要があるのではないかと思う程だ。つまり、立法論的に考えて、人口が短期間で10分の1にまで減ってしまうという極端な事態に直面した自治体がその地域を守るあるいは維持しようとしたとき、どんな手だてがあったのか。そこを評価してみて、やはり自己責任論的な整理になるのか、実はこうなることがある程度必然で、国の地方自治法制にも不適当な面があったのかを総括する必要があると思う。そうしないと、これら産炭地域の市町村に対して、単に「財政再編団体」という枠をはめてみても、そこに住む住民だけがもがき苦しみ、他の人たちは知らんぷりというに悲惨な結果になる可能性もある。

■現時点の報道では、総務省は申請を待たず、今年度から再建計画を策定し具体的な取組にかかるよう促していく方針のようで、住民の不安解消という面では適切な措置と言えよう。

■夕張市を含めこれから道、国が入っていく中で、様々な想定外の事実が出てくるかもしれない。新聞、TVなどメディアにはそれらの事実をセンセーショナルに報道するのではなく背景や制度論を含めた深い報道を望みたい。

→夕張市長が再建団体申請を表明

→夕張市が「財政再建団体」の道を選択へ

→夕張市の巨額負債問題が発覚!


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