◆首相の諮問機関である地方制度調査会の専門小委員会が道州制の区割りや権限移譲など道州制の導入について、最終答申を近々首相に提出する予定。
◆答申案では、区割り案を3案理事しており、権限移譲のリストも21項目を例示している。移行時期は、「必要な経過期間を設けた上で、全国において同時に行うことを原則とする」とし、具体的な導入時期の明示は見送られた。ただし、北海道道州制特区などの先行実施は容認しているとのこと。
◆現在、北海道では、「北海道道州制特区」が検討され、今国会での「北海道道州制特区推進法案」の提出も検討中である。新聞報道(日経新聞2月17日)をみる限り、地方制度調査会の案では、権限移譲の項目が21項目とさらに広がり、第二種空港の管理、旅行業、ホテル・旅館の登録、自動車登録検査、危険物規制、労働相談などが加えられている模様。
◆北海道特区では、約6,500人の北海道開発局の取扱い、他府県に比べ嵩上げされている補助率など「北海道特例」の取扱いが焦点となる。北海道の場合、本来都府県が維持管理するいわゆる3ケタ国道(「国道426号」など3ケタ番号の国道のこと)も開発局が維持管理するなど、北海道が他都府県と同じレベルでの維持管理を行っていない現実がある。また、今後、10年で約6,000人の定員削減目指す道庁に北海道開発局の職員を受け入れる隙間があるのだろうか。北海道特例についても、2005年度の北海道開発予算の事業費ベースでみると、7,320億円のうち嵩上げ額が907億円も達し、直ちに北海道特例をなくすことは北海道経済の「崩壊」に直結していると言っても過言ではない。つまり減り続けている北海道の建設業界の売上がさらに約15%減になる訳で、地域経済を支える建設業に壊滅的な影響を及ぼすと言える。
◆一方、国サイドは、どこもまだまだ省益にこだわっているようである。一部報道によると、厚生労働省は、自民党の試案に載っている権限移譲リストの中で挙げられているハローワークなどの権限移譲について、「引き続き国が責任をもって行うべき業務」と主張している。いくら良い案を出しても、国側が権限の温存を前提にして、門前払いを続けているようでは議論が深まっていかないと思うのだが・・・。
◆長期的には、市町村合併の進展や支庁制度改革など北海道の自治システムは大きく転換していく中で、道州制を推進していくことは必要と考えるが、北海道経済の安定、道民の雇用・生活を守るためのセーフティ・ネットを設けてソフトランディングしていく仕組みを作らなければ安易に受け入れることはできないと思う。