先日(11月16日)経済学者M・フリードマンが死去した。
ノーベル賞を受賞し、米国はじめ各国の経済政策に大きな影響を与えた米経済学者ミルトン・フリードマン氏が16日、米カリフォルニア州サンフランシスコの自宅で死去した。94歳。
財政で経済成長を促すケインズ学派に対抗、通貨供給など金融調節による政策運営を提唱した「マネタリスト」の巨頭。自由な市場構築に向けた規制緩和や減税による「小さな政府」の理論的な支柱となり、その学説は故レーガン大統領ら歴代の米共和党政権、英サッチャー政権の経済政策、日本の行財政改革などに反映された。
生徒が学校を自由に選べる「教育バウチャー制度」も提唱した。
ニューヨーク市出身。コロンビア大で博士号を取得、シカゴ大教授などを務めた。1957年に「消費の経済理論」を出版。将来にわたり恒常的に得られる所得予想に基づき消費は行われるとし、財政出動による一時的な所得上昇の効果は限定的と主張した。
このほか、「資本主義と自由」(1962年)、「選択の自由」(80年)などで市場の重要性を唱え、民間企業の力を引き出すため政府に規制緩和を求めた。
1976年に金融理論などへの貢献でノーベル経済学賞を受賞。大統領選でニクソン氏に協力したほか、レーガン大統領の経済顧問を務め「レーガノミクスの生みの親」と言われた。
1986年に日本政府から勲一等瑞宝章を受けた。(2006年11月17日17時55分 共同)
「私は自由主義者として、もっぱら所得を再配分するための累進課税については、いかなる正当化も認めることは出来ない。」
「私に最良と思える個人所得税の構造は、ある免税点を越える所得にたいする均一率の課税である。」
「食品や医薬品に対する安全規制は技術進歩を遅らせることによって社会に弊害をもたらす。」
「最低賃金法が雇用を疎外している。」
「資本主義の世界では、儲かる時に儲けるのがジェントルマンなのだ。」
で、このオッサンの弟子たち(シカゴボーイズ)がやったこと。
1973年、チリでCIAの支援による軍事クーデターが発生します。アウグスト・ピノチェト将軍は、民主的に選出された左派大統領のアジェンデ大統領を含め7000人以上もの市民を虐殺し政権を奪取したのでした。
ピノチェト将軍によるチリの市場原理主義革命の実験を担ったのが、マネタリズムの教祖であるシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授とその弟子たちでした。そして、フリードマンはチリでの実験の「成功」とされる怪しげな物語を踏み台にしてその権威を高め、ノーベル経済学賞も受賞し、ついにレーガン政権においてその教義を米国でも実施させることに成功したのです。以来、ウォール街・IMF・米国財務省は、フリードマンの教義を強制的に世界に広め、今日における世界の惨状を生み出したわけです。 (『金で買えるアメリカ民主主義』グレッグ・パラスト著より)
より具体的には・・・
価格規制の撤廃、関税引き下げ、貿易の自由化、税制のフラット化、財政支出の削減、公的年金や医療保険の民営化、最低賃金の撤廃、労働組合への弾圧、労働規制の緩和、外資規制の緩和、金融取引の自由化・・・などなど
その結果・・・
ピノチェト政権下で人口に占める貧困者層の比率は大きく増え、好景気であった87年でさえ、45%、国民の半数近くが貧困層になった。最下層20%と最上層20%の所得格差は軍政以前、12倍であったものが20倍以上に拡大した。一部の富裕層と外国資本が莫大な富を得ることに成功した。
89年にピノチェト軍政が終焉し(シカゴボーイズ逃走)、新政権(コンセルタシオン)により以下の政策が実行された。
社会支出を5年間で50%も増額し、教育助成金の引き上げ、学校給食制度の充実、高齢者向け福祉年金の充実、低所得者向けの住宅援助、労働組合の結成の自由、標準労働時間の短縮や最低賃金の引き上げ、配当や利子への累進課税の導入、脱税の徹底的な取り締まり。
で、結果・・・
90年~98年の経済成長率は年平均で7.8%を記録し、貧困層は22%に半減し、所得格差も23倍から15倍程度まで改善された。(『悪夢のサイクル』内橋克人著 参照)
日本のシカゴボーイズと言えば今は(政権に)亡き竹中平蔵であるが、コイツに今後は注意しなければならないだろう。
まだまだ、闘いは続くぜ。
ノーベル賞を受賞し、米国はじめ各国の経済政策に大きな影響を与えた米経済学者ミルトン・フリードマン氏が16日、米カリフォルニア州サンフランシスコの自宅で死去した。94歳。
財政で経済成長を促すケインズ学派に対抗、通貨供給など金融調節による政策運営を提唱した「マネタリスト」の巨頭。自由な市場構築に向けた規制緩和や減税による「小さな政府」の理論的な支柱となり、その学説は故レーガン大統領ら歴代の米共和党政権、英サッチャー政権の経済政策、日本の行財政改革などに反映された。
生徒が学校を自由に選べる「教育バウチャー制度」も提唱した。
ニューヨーク市出身。コロンビア大で博士号を取得、シカゴ大教授などを務めた。1957年に「消費の経済理論」を出版。将来にわたり恒常的に得られる所得予想に基づき消費は行われるとし、財政出動による一時的な所得上昇の効果は限定的と主張した。
このほか、「資本主義と自由」(1962年)、「選択の自由」(80年)などで市場の重要性を唱え、民間企業の力を引き出すため政府に規制緩和を求めた。
1976年に金融理論などへの貢献でノーベル経済学賞を受賞。大統領選でニクソン氏に協力したほか、レーガン大統領の経済顧問を務め「レーガノミクスの生みの親」と言われた。
1986年に日本政府から勲一等瑞宝章を受けた。(2006年11月17日17時55分 共同)
「私は自由主義者として、もっぱら所得を再配分するための累進課税については、いかなる正当化も認めることは出来ない。」
「私に最良と思える個人所得税の構造は、ある免税点を越える所得にたいする均一率の課税である。」
「食品や医薬品に対する安全規制は技術進歩を遅らせることによって社会に弊害をもたらす。」
「最低賃金法が雇用を疎外している。」
「資本主義の世界では、儲かる時に儲けるのがジェントルマンなのだ。」
で、このオッサンの弟子たち(シカゴボーイズ)がやったこと。
1973年、チリでCIAの支援による軍事クーデターが発生します。アウグスト・ピノチェト将軍は、民主的に選出された左派大統領のアジェンデ大統領を含め7000人以上もの市民を虐殺し政権を奪取したのでした。
ピノチェト将軍によるチリの市場原理主義革命の実験を担ったのが、マネタリズムの教祖であるシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授とその弟子たちでした。そして、フリードマンはチリでの実験の「成功」とされる怪しげな物語を踏み台にしてその権威を高め、ノーベル経済学賞も受賞し、ついにレーガン政権においてその教義を米国でも実施させることに成功したのです。以来、ウォール街・IMF・米国財務省は、フリードマンの教義を強制的に世界に広め、今日における世界の惨状を生み出したわけです。 (『金で買えるアメリカ民主主義』グレッグ・パラスト著より)
より具体的には・・・
価格規制の撤廃、関税引き下げ、貿易の自由化、税制のフラット化、財政支出の削減、公的年金や医療保険の民営化、最低賃金の撤廃、労働組合への弾圧、労働規制の緩和、外資規制の緩和、金融取引の自由化・・・などなど
その結果・・・
ピノチェト政権下で人口に占める貧困者層の比率は大きく増え、好景気であった87年でさえ、45%、国民の半数近くが貧困層になった。最下層20%と最上層20%の所得格差は軍政以前、12倍であったものが20倍以上に拡大した。一部の富裕層と外国資本が莫大な富を得ることに成功した。
89年にピノチェト軍政が終焉し(シカゴボーイズ逃走)、新政権(コンセルタシオン)により以下の政策が実行された。
社会支出を5年間で50%も増額し、教育助成金の引き上げ、学校給食制度の充実、高齢者向け福祉年金の充実、低所得者向けの住宅援助、労働組合の結成の自由、標準労働時間の短縮や最低賃金の引き上げ、配当や利子への累進課税の導入、脱税の徹底的な取り締まり。
で、結果・・・
90年~98年の経済成長率は年平均で7.8%を記録し、貧困層は22%に半減し、所得格差も23倍から15倍程度まで改善された。(『悪夢のサイクル』内橋克人著 参照)
日本のシカゴボーイズと言えば今は(政権に)亡き竹中平蔵であるが、コイツに今後は注意しなければならないだろう。
まだまだ、闘いは続くぜ。
これお・ぷてらと申します。
TB有難うございました。たまたまでしょうか、同じ人物を私も取り上げていました。この巨人の死でもって、新自由主義もおしまいにしたいものですが・・・
とはいえ、世界に目を転じるととくに中南米の反・新自由主義の波が絶えないようです。
「誰のための改革か」。これは今日、たいへん重い言葉となりました。
今後ともよろしくお願いします。
マスコミはなぜ、フリードマンを批判的にもっと取り上げないのでしょうか。
貴ブログは以前から読んでいました。これからもよろしくお願いします。
でしたね。この世界はありとあらゆる多様性に満ち、
それぞれの国家は固有の文化や伝統に生きています。
それを、バクチ的な金の横行する市場性だけに特化
して、その他の価値や有用なものが排斥されていく世
界。これはフリードマンが世界の歴史に与えた悪影
響でした。
日本もケインズの有効性はとっくに過ぎているとい
う言い方が蔓延していますが、これこそ新自由主義世
界統一宗教の陰謀です。フリードマンはカルト宗教の
教祖でした。その洗脳から覚めないと日本も他の国々
も幸せにはなれません。
なるほど、フリードマンはカルト宗教ですか。為政者は国民の洗脳を解くどころか、増々ある方向に洗脳しようとしているかのうですね。
とくらさんへ、英語を私に聞かれても・・・(笑)。