ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

科学・技術は多くの人々に理解される必要がある

2011-10-15 | 日記
昨日のフジプライムニュースの「理系・文系の溝、我々は科学を理解出来るか」は大変面白かった。ゲストの岸田一隆氏が科学者とはどういう人種であるかを明確に語ってくれたように思われる。以下、技術という観点を加えて私見を述べたい。

第一に、一般の人々に必要な科学・技術に関する知識は、その危険な側面であろう。医薬品の副作用については最近詳しい記述がなされるようになってきた。今後は、ナノ粒子の人体に対する作用が問題になりそうである。

しかしながら、一般の人々が知り得る知識には限界がある。科学・技術の安全性を確保するのは、科学者や技術者の責任である。技術の進歩によって事故による災害を最小限に食い止めるよう努力すべきであり、国には、それを管理する義務がある。今回の福島原子力発電所の事故も、もし非常用発電機が水没しない場所に設置されておればもっと軽微なものであっただろう。原子力に関しては、制度の上では原子力委員会、原子力安全委員会、原子力安全・保安院と万全の措置がとられていたはずである。これらが機能しなかったのは、制度に欠陥があるかまたは当事者の怠慢としか言いようがない。

昨日の議論で、岸田氏が国の定める放射線量の基準値に疑問を抱いていたが、全く大賛成である。メディアが基準値以下である食料品などが全く安全であるかのように報じるが、これは誤りであろう。むしろ、福島産食料品については、出来るだけすべてに放射性物質含有量を明示するべきではなかろうか。すでに多くの人々は十分な知識を持っている。育ち盛りの子供を持つお母さん方は含有量の大きいものを買わないであろう。子孫を残す可能性のない年配の人々は、たとえ基準値を越えていてもそれほど多くない放射性物質を含む食品を口にしてもあまり問題ではなかろう。また、飲料水についても放射性物質含有量を明示すべきであろう。

昨日は議論の対象にはならなかったが、私は科学・技術の普及が必要なもう一つの理由を示しておきたい。科学・技術の中には、その発達によって経済を促進し雇用を創成し得るものがある。また、人々の福祉に貢献出来るものもあろう。このようなことは、科学者や技術者だけでは達成することが出来ない。政治家、企業家、投資家、福祉家など多くの人々に託さなければならない。さらに、中学生や高校生が新しい科学・技術に関する知識を持つことによって、科学・技術に興味を抱き、進路を決める手助けとなるかもしれない。

科学技術の普及にはメディアの責任が大であると思われる。メディア関係者が文系の人々だけであると言うのも奇妙な話である。日本のメディアは科学・技術に弱いようである(9/2-4参照)。たとえば、朝日新聞では、ナノテクノロジーに関する記事は最近1年間に約30編、ニューヨークタイムスでは、最近1ヶ月間に22編であった。

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