ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノテクノロジーは燃料電池の性能を高める(続き)

2011-10-17 | 日記
電極で用いる触媒をナノ粒子化する試みはすでに広く実施され成功を収めている。陽極での水素のイオン化に比べて、陰極での水素と酸素の反応は速度が遅い。したがって、陰極用の触媒の性能改良が有効である。

Nanowerkのデータベースによると、Bing Energy社は触媒に白金を用い、少ない白金量で高い出力が出せる陰極を発売している。QuantumSphere社は、種々の新しい触媒を開発し発売している。たとえばパラジウムは、白金に比べて価格が70%であるが、ナノ粒子を用いると白金より高性能が得られる。日本でも、日立マクセルが、陰極触媒としてナノサイズの白金に鉄、コバルト、ニッケルを加えるとさらにその性能が高まるとしている。九州大学の研究グループは、ニッケルが触媒として白金以上の性能を発揮すること示している(昨日の記事で陰極触媒にニッケルと記したのは誤りで白金と記すべきであった)。

イオン交換膜には導電性の高い酸化物や高分子が用いられている。イオン交換膜をナノ粒子で加工することによって、燃料電池の性能を高めることが出来る。たとえば、Blue Nano社は、炭素に付着させた白金ナノ粒子をイオン交換膜に混入することによって発電効率が上昇すること見付け、触媒付のイオン交換膜を発売している。

メタノール燃料で動作する持ち運び可能な小型燃料電池(Smart Fuel Cell AGより発売中)から、自動車用など大型燃料電池まで、燃料電池に対する期待は大きい。2020年には日本での市場規模が約8000億円と言われている。白金やパラジウムなど高価な金属の必要がなくなるよう、安価なナノ粒子触媒の発見が望まれる。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿