淫戒(一)
一、満腹して暖かいと淫欲を思います。
万悪は淫を始めとなします。
物質生活があまりにも裕福になると、かえって反対の効果が出てきます。
以前の人は粗末な食生活でしたが、健康で長寿でした。
現在の人は海のもの、陸のもの、空のものを食べ尽くし、かえって不健康です。
お腹一杯食べるといろいろな妄念が生まれます。
加えて目前のますメディアの発達によって大いに誇張され、悪い事をし尽くし、にえたぎるように流れ続ける万丈の紅塵の中で誠に憐れです。
以前白楽天が鳥巣禅師にこう聞きました。
木の上で眠って落ちませんか。
白楽天は、かえって自分が万丈の紅塵の中にあって落ちるかと考えたことはありませんでした。
二、食べて死ぬ人や遊んで死ぬ人はいますが、かえって修行して死んだ人はいません。
三、宇宙の中で最も人を束縛するのは「淫」です。
あらゆる毒薬と比べてさらに害があります。
もし切り捨てることができなければ、代々にわたって輪廻します。
四、三世諸仏は淫欲を最も汚い事だと見ています。
菩薩道を修める以上は、この方面は自ら抑制しなければなりません。
淫を戒めることは夫婦関係を断絶する事ではありません。
夫婦関係は正淫となり、礼を以て節制します。
夫婦以外の男女関係は邪淫となります。
例えば金銭取引や結婚以外の情などは一切の社会問題の源になっていて、戒め除かなくてはなりません。
五、淫慾が一旦発生すると、親族を念頭にいれず、一切の人倫、綱常、道徳、法律に背き、古えの山の中の修道者のように、甚だしきに至っては猿や羊などの動物と関係を生じます。
六、淫慾は火の如く、一旦火がついたら収拾が尽きません。
もし根本治療をしたいなら、人心の浄化から始めるべきです。
内心より平息しなければなりません。
平常はお腹一杯食べてはいけません。(満足と暖かさは淫慾を思います。)
家にいる時は裸足になって脚を涼しくしておくことが最も好いです。
そうすれば火気を降下させることができます。
淫慾を離れたいなら、一切の容易に思いを引き起こすもの、例えば書物、小説、雑誌、映画、牛肉場などのようなものから離れるしか方法はありません。
目を悪に染めないことが最もよいことです。
男性はこれらのことを見るのが好きな為に目から先に爛れます。
平常多くの経を読み、お経を暗誦して、一旦淫慾が起こったなら、いそいで経文を暗誦してそれを降伏すれば、自然とだんだん薄れていきます。
慾を断つのは牛の筋肉を切るが如く、はなはだ容易ではありません。
(1)凡夫俗子は欲望から逃れることが難しいですが、しかし節性はしなくてはなりません。
夫婦は天地倫常の根本であります。
互いにお客様のように尊敬し、平常は心霊を以て互いに交流しなければなりません。
もし、ただ放縦な淫慾を知っているだけだったら、鳥や獣と違うことがあるでしょうか。
初一日、十五日仏菩薩の聖誕の日に夫婦関係は宜しくありません。
先祖や家族が亡くなったら、四十九日間戒める必要があります。
(2)夫婦関係、これは短い間の快楽だけと思い、永久の快楽ではありません。
身体の健康やうまく家庭を営むことを重要だと思わなければなりません。
つまり夫婦関係は生活の中の付属品に過ぎず、主要なことではないのです。
人は礼を守ります。
礼があって家庭の秩序が維持できます。
(3)淫慾は生死の根本です。
もしこの関門を未だ断つことができなければ、永久に生死輪廻の中にいなくてはいけません。
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