洩出眞機天命傳 眞機を洩出(えいしゅつ)して天命を傳(つた)え
漏顕分明辨収圓 顕(あきら)かに漏(もら)し分明(ぶんめい)させて収圓(しゅうえん)を辯(べん)す
天意應時仁風挽 天意は時に応じて仁風(じんぷう)を挽(ひ)き
機會難逢非偶然 機会は逢い難く偶然に非ず
解:
現在天道がこの世に降されて、その眞機を漏らし、人々が得られるのも、天命によって伝えているのです。
そして貴い三宝も漏らし道理が明らかになるのも、済度を速やかに行い、円満に収める為です。
天意は斯の時に応じて仁風を播(ま)き、人々の心をもとの純善に挽回するためであるから、この佳(よ)い機会に逢うのは二度となく、また偶然でもないのです。
金剛経第六分正信希有(こんごうきょうだいろくぶんせいしんきゆう)で世尊は云うに『後(のち)二千五百年にこの正法を得られて修持(しゅうじ)する人は、一佛二佛三四五佛もの長い間に種(う)えて来た善因よるものだ』と言っています。
一、道をあれたのは幾世を歴(へ)て種(う)えて来た仏縁よるもので、その人の善根厚いからす。
求道した後に幸いにも天機の三宝 得られたので、応(まさ)に厳守居なければりません。
所謂(いわゆる):伝道の明師は天より選び、豈(あに)人の間で妄(みだ)りに伝心するや。
天機は洩らすべからずに非ず。唯(ただ)明師なる人方(はじ)めて伝う。
二、犯しやすい缺点(けってん)
1,言語を慎まず:三宝を漏洩し、天機の密宝を隋意(ずいい)に談(かた)り、道を求める時に誓った言葉を忘れている。
2、人が言えば又言う:三宝はもう洩らしたからと思い、自分も談(かた)れば天機の作用は失われてしまう。
他人(ひと)が漏洩すればその人は罪過(ざいか)を担い。吾が洩らせば自分がその罪過をになわなければならない。
3,三密の眞伝は天命の眞伝を含んでいて、並びに道統の眞伝と連なり、また直指見性(じきしけんしょう)、見性成仏(けんしょうじょうぶつ)の心法も含まれている。
故に文章による漏洩は只(ただ)文字名相(もじめいそう)のみで、眞道の実相は文字には漏らせない。故に語るべからず。
4,三宝はその外面の名相音声(めいそうおんじょう)を視(み)るだけでなく、その価値を判断しなければならない。
天機の意義はもと悟ると悟らずの間に在りて、能く悟れる者は天機は天機に非ず。
悟れずの者は『心を引いて心を会(さと)らす』こと能(あた)はずして、やはり天機は天機である。
はじめて道を求め三宝を得るのは『引導法』で、是は一種の必ず経過する形式で、已(すで)にさとり得た者は、まさに自性の眞佛を悟り、心は太虚(たいきょ)を体(さと)し、始めて代々の祖師、諸々の聖佛の以心伝心(いしんでんしん)の妙法が知れるのです。
故に言語を慎み事にあたるのが、誠(まこと)の修道者です。
続く