(5)儒聖孔子(じゅせいこうし)の證道(しょうどう)
一貫して伝わっている天道は妙理を伝え、天機の秘宝を至(もっと)も微(び)としている。
広大の理を細密の義及びその体用をすべて網羅(もうら)し尽くしている。
物に本末有り、事に終始有るのは当然で、其の先後を知ってこそ天道に近づいたと云えるものである。
人の神(こころ)を知れば定着を得て清浄のになり、安心立命から仁慈的深慮(じんじてきしんりょ)に進んでやがて大完成を得られるであろう。
心の在り処を知らずに只修めるだけでは私の曰(い)った「天命之れ性と謂い、性に率(したが)うを之れ道と謂う。」の理(ことわり)が解せないだろう。
天機は朗(あき)らかに書(しょ)に洩らしているが明師に遇(めぐ)り会わなければ心得(しん得)は不可能である。
若し今直ちに心を低くして天道を求めなければ異類(いるい)に彷徨(さまよ)い続けて魂は超(すく)われないだろう。(中略)
究局(きゅうきょく)の明徳を明らかにし、至善の極所に達し、大理学(だいりがく)の道に至れるのは斯の時だけで、天命を畏れ遵(したが)ってこそ大同の世が促進され一人一人が親民(しんみん)となれよう。
緡蛮(めんばん)の黄鳥(おうちょう)でさえ落ち着いた安全な丘や森を求めて棲(す)もうとするのに人間と為(な)って小鳥に劣るとはどうしたことか。
わが天性の帰宿(きしゅく)と還源(かんげん)を計る為に吝(やぶ)さかであってよかろうか。
当(まさ)に天道降世に備え、逸早(いちはや)く意(こころ)を決して、日に新たに、日々新たにして人々を同化すべきである。
己れの本性の在り処を会得(え得)した暁(あかつき)にこそ、物欲、邪見を格徐(かくじょ)して意が誠となり、心が正しくなり、身が修まり、家が斎(ととの)い、而して国治まり、天下は太平になるだろう。
天道はすべての条件を叶(かな)えてくれるが、伝えられる時期はそう持続されないだろう。
速やかに道を行い、遅れることなく、私の列国伝道に習って、大いに伝播(でんぱ)し、真理を探究し、功徳を立て一番と奔走して貰いたい。
私の道を学ぶ人は切に此の点を重視し、且つ精勤することを願うものである。(後略)