夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

「渋味」を「甘味」に――「苦」を「楽」に 11/6

2011-11-06 22:51:42 | 名字の言
 「柿むく手 母のごとくに 柿をむく」(西東三鬼)。たわわに実った秋の味覚に、母と過ごした郷里を思い出す人も多かろう▼渋柿は渋味が強く、とても食べられない。タンニンと呼ばれる成分のためだ。だが柿を日光に触れさせたり、ヘタの部分を焼酎につけて寝かすことで、タンニンの渋味が抑えられ、おいしく味わうことができる。「渋味」を「甘味」に――「苦」を「楽」に転じゆく人生のドラマに重ねたくもなる▼岩手・釜石市に“地域のお母さん”と親われる友がいる。89歳。これまで実った弘教は100世帯を超える。米も買えないほどの経済苦、長女の末期がんも、全て信心根本に乗り越えてきた。だが今回の津波は、自宅も、50年以上経営してきた飲食店も一瞬で奪った▼それでも婦人はほほ笑む。「苦労したから強くなれたし、折伏もできた。幸せですよ。信心のおかげ。次の目標? 震災を乗り越えて、信心の力を証明すること」。仮設住宅に住みながら、訪れる友に仏法を語る日々だ▼「苦楽ともに思い合せて南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ」(御書1143ページ)。苦も楽も味わってこそ、人の喜び悲しみが分かる。信仰の偉大さは、そこにある。「渋」が「甘」に変わる日が必ず来る。(之)

新幹線の安全は“神話”ではない 11/5

2011-11-06 22:50:08 | 名字の言
 東海道新幹線の開業から約半世紀。これまで、事業者側に責任のある乗客の死亡事故はない。しかし開業から数年は、あわやの事態の連続だった▼1967年、運転車両部長の齋藤雅男氏はある駅を視察し、助役2人と面会した。1人に非常時の対応を問うと、20以上もの項目を全てそらんじた。もう1人も伝令方法について、暗記内容をすらすら答えた▼だが齋藤氏は、暗記の努力を褒めるどころか、チェックリストを指し、強く言った。「これに従ってやれば、ミスはない。憶えることは絶対に禁止する」。非常事態は突然起こる。人間の心も“非常”の状態になる。マニュアルを記憶していても、正しく判断できるものではない。氏は、慢心に陥りがちな人間の性質を指摘したのだ(『新幹線安全神話はこうしてつくられた』日刊工業新聞社)▼76年の秋、池田名誉会長は、学会本部周辺を牙城会員と一緒に巡回した。「責任感を体で覚えさせ、生命に刻ませたかった」「どんな事故にも、前触れとなるような兆しが必ずあることを教えたかった」と▼無事故とは、過信を排し、真剣に対策を重ねた上にある。齋藤氏も、新幹線の安全は“神話”ではないと言う。家族、同志、地域を守る心構えを新たにしたい。(行)

福光55

2011-11-06 22:48:36 | 小説「新・人間革命」
 山本伸一は、仏法の厳しき因果の理法を知ってほしいと願いながら、信仰者の生き方について語っていった。

 「信心三十年の私の結論は、信仰という根本の生き方においては、あくまでも純粋に、真面目に、御書に仰せのままに、突き進んでいかねばならないということであります。

 また、人生を大きく左右するのは、福運です。その福運を積むうえで大事なのは、感謝の一念です。

 同じように学会活動をしていても、不平不満を言いながらでは、福運を消してしまう。

 それに対して、“今日も仏の使いとして働ける!”と、御本尊、大聖人に感謝し、信心を教えてくれた学会に感謝していくならば、歓喜の世界が開かれる。そして、その心が、功徳、福運につながるんです。

 私は、東北の皆さんを尊敬しております。それは、どんな困難にも負けない粘り強さ、不屈の“負けじ魂”があるからです。皆さんには、大難、大苦に、打ちひしがれることなく、広宣流布のために、敢然と立ち上がる真性の強さがある。その力が、自身を三世にわたって永遠に輝かせ、愛する郷土を寂光土へと転じていく“福光”となります。

 私は、かつて広宣流布の総仕上げを東北の皆さんに託しました。いよいよ“負けじ魂”を燃やし、総仕上げの旗頭として、威風堂々と立ち上がってください。時は“今”です」

 それから伸一は、一人ひとりに、視線を注ぐように、場内を見渡しながら言った。

 「私は、わが同志が一人も漏れなく、『学会員として、悔いなく、最高に有意義な人生を生き抜いた』と胸を張って言える、人間革命と幸福生活の実証を示していただきたいと、日々、祈り念じております。それが、私の最大唯一の願いなんです。

 そのために私は、いかなる努力も、苦闘も惜しみません。皆さん方を守るために、命を張って戦います。働いて働いて、働き抜きます。皆さんの今までの労に報いたいんです」

 伸一の心を知り、皆が瞳を潤ませた。