夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

虹の舞より

2006-10-22 15:19:07 | 小説「新・人間革命」
そして、何よりも人びとの関心がモノやお金に向かい、心が荒廃してきているように思います。特に、子どもたちの心は荒んできています。青少年の非行も、最近では目に余るものがあります」壮年の幹部が、上間の言葉を受けて言った。「祖国復帰への期待が大きかっただけに、いざ実現してみると失望も大きいようです。私たちは、山本先生にご指導いただいた通り、“平和も幸福も、外から与えられるもの
ではなく、自分たちの手で築き上げていくものだ。そのためには、この人間革命の大仏法を広宣流布する以外にない”と結論しています。


広宣流布を進めるうえでも、常に新しい挑戦を忘れてはならない。『月月・日日につよ(強)り給へ』(御書一一九〇ページ)です。リーダーは、どうすれば新しい局面が開け、新時代に対応できるのかを考え、手を打ち続けることです。


片時たりとも時間を無駄にはすまい――それが彼の信念であった。決意は、行動にあらわれる。さらにいえば、限られた時間に何をなすかに、決意が本物かどうかが、端的にあらわれるのである。


継者の育成は、ただ個人に任せるのではなく、地域をあげて取り組まなければならない課題です。これは信心の世界でも同じです。後継の世代の育成は組織をあげて取り組むことです。わが地域の未来部員は、わが子、わが弟・妹と思って励まし、育てていくんです」地元の幹部の一人が、口を開いた。「よく、『子は親の背を見て育つ』と言われますが、信心も親の影響は非常に大きいですね」「そうです。親は、子どもの模範となる信心を心がけることです。と同時に、ただ、『背中を見よ』と言って、放置していてはだめです。子どもと真正面から向き合い、手塩にかけて、教えるべきことを教え、心血を注いでいってこそ人間は育つ。親としてやるべきことを怠り、手を抜いていれば、それなりの結果しか出ません」


今はまだ苦しいかもしれないが、あなたは既に勝っているんです。負けないということは、勝つということなんです。これからは、このヤシの木をご主人だと思って、お子さんと一緒に希望の年輪を刻んでいってください。ご主人は、じっと見ていますよ。信心し抜いていくならば、最後は必ず幸せになる。すべて、そのためのドラマなんです」彼女は、声をあげて泣き始めた。「大丈夫だ。大丈夫だよ。御本尊がついているじゃないか。私が見守っています


この製法には知恵があるし、昔の人が、こうして砂糖をつくった苦労を忘れてはならないと思います。伝統文化を保存するということは、郷土の歴史と精神を伝え残すことにもなり、大事なことだと思います。しかし、たいていの若者たちは、そんなことには見向きもしない。そのなかで学会の青年たちが中心になって、地域のために、伝統文化の保存に立ち上がってくれたことはすばらしい。


学会の青年は、山本先生の指導のもと、地域のために、いかに貢献するか真剣に考えている」青年が育つことが、地域を活性化させることであり、未来を開くことになる。「若い世代のエネルギーのなかにこそ、良い変化をもたらす原動力があると、私は信じています」(注)


創価学会の運動の根本をなすものは何かについて述べていった。「それは一言すれば、どこまでも相手のことを思いやる『利他の一念』です。この利他の心を人びとの胸中に打ち立てることこそ、平和建設の要諦となります。自分の利益ばかり考える生き方では、このところ取り沙汰されてきた悪徳企業のように、結局は世の中をかき乱してしまうことになる。海外各地で、日本の経済活動が嫌われているのも、策や目先の計算ばかりが目立ち、『利他の精神』が欠如しているところに、その要因があるといえます」創価学会は、民衆の心に「利他」という生き方の柱を打ち立ててきた。

メンバーの多くは、病苦や経済苦、家庭不和など、苦悩の解決を願って信心を始めた。いわば、自らの救済を求めての入会といえる。しかし、御書に「我もいたし人をも教化候へ」(一三六一ページ)と仰せのように、日蓮仏法は「自分も信心に励み、人にも仏法を教えよ」と説く。つまり、人びとの幸福を願い、広宣流布に生きてこそ、わが幸福が築かれるというのである。

そこには、「自行」と「化他」の融合がある。自分自身の煩悩が、広宣流布という最極の菩薩行を推進する活力源となるのだ。そして、その「利他」の実践によって、「利己」に凝り固まり、汲々としていた、小さな生命の殻が破られ、自らの境涯が大きく開かれていくのである。まさに、この「利他の一念」こそ、「境涯革命」「人間革命」を成し遂げる、生命の回転軸なのである。

友の幸せを祈り、懸命に弘教に走る同志の胸中には、歓喜が込み上げ、勇気がうねり、希望が広がっている。病苦や経済苦などの、さまざまな悩みを抱えながらも、あたかも波乗りを楽しむかのように、悠々と乗り越えていくことができる。 信心の本当の大功徳とは、この「境涯革命」「人間革命」である。自分の境涯が変わるから、依正不二の原理で、環境も変化し、一切の問題が解決できるのである。


“自分に縁した人は、すべて学会の理解者にしよう”というのが、伸一の決意であった。それが、外交の心である。