一般社団法人「発明学会」(東京)が主催する「第20回身近なヒント発明展」で、久留米工業大(福岡県久留米市)の池鯉鮒(ちりふ)悟教授(大野城市)が考案したトイレットペーパーホルダーが優良賞を受賞した。使いやすい向きになるようホルダーが回る仕組みで、特許を出願している。
池鯉鮒教授によると、2年ほど前からトイレのペーパーホルダーから紙を引き出すのに不便を感じるようになり、解消策を考え始めた。ホルダーは便座に座って横の壁に据え付けられているケースが多く、壁に対して垂直に紙を引き出すようになっているため、便座やホルダーの位置によっては使い勝手が悪いという。
そこでホルダーを回転させることで、便座に座っている人が正面から紙を引き出せると考え、試作を始めた。球状の金具二つをねじでつなぎ、水平に回転するホルダーを考案。回りすぎないように、金具の間にゴムのパッキンを挟んで動きを安定させた。
試したところ、便座に向かって最も使いやすい角度で紙を引き出せるため、ストレスを感じることなく利用できた。板状の土台を使ったタイプも作製。毎日使っても支障がないよう、強度も問題ないレベルに仕上げた。
今回の発明展には全国から1353点が出品され、1次審査を通過した約100点が昨年10月に東京で行われた発明展に展示され、来場者の投票と審査で大賞1点、特別賞5点、優良賞10点が選ばれた。九州からの入賞は池鯉鮒教授の作品のみで、昨年12月18日に東京で表彰式が行われた。
「発明や工夫が趣味」という池鯉鮒教授は、20歳代の頃から発明に取り組み、発明展には毎年のように出品している。「暮らしのなかで不便に感じたり、いらっとしたりすることが発明の卵になる。課題を解決するため考えることが楽しい。これからもアイデアを練っていきたい」と話している。