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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

種苗の保護が急務だ

2016-08-24 09:53:54 | 日記

農林水産物の輸出が増える中、日本国内で品種改良を重ね開発された種苗の知的財産保護が急務となっている。種苗が不正に国外に持ち出され、日本発のイチゴやブドウが無断で海外生産されている事例が既に見つかっている。農林水産省は保護に向け、種苗業者らによる海外での品種登録を後押ししていく方針だ。

静岡県が開発したイチゴ「紅ほっぺ」、国内の研究機関が育成したブドウ「シャインマスカット」。いずれも国内で人気が高く輸出実績もある品種だが、昨年から今年にかけて中国で無断栽培・販売されていることが相次ぎ発覚した。静岡県の担当者は「(不正に栽培されたものと)県産品が輸出先で競合しないか心配だ」と語った。

政府が農林水産物・食品の輸出額を年1兆円に拡大する戦略を描く中、品質が高くブラド力がある青果物への期待は大きい。ただ、無断栽培品が海外で広まれば、日本産の価値が低下しかねず、知財保護は喫緊の課題だ。国内の場合、新しい植物品種は国に登録すれば育成者の権利が保護され、権利侵害には罰金など刑事罰が科される。しかし、日本の品種は国内で登録されていても海外では膨大な手間と費用がかかるため、未登録のケースが多い。例えば、欧州連合(EU)で柿の新品種を登録するには、現地で栽培試験を行うため原則として7~8年の時間が必要。約250万円の審査料も大きな負担で、登録に二の足を踏む種苗業者は多かった。


 農水省は、各国・地域に対し日本の審査結果を活用し、登録までの時間を大幅に短縮するよう要請。既にEUやオーストラリアなど9カ国・地域と覚書を締結し、他国との交渉も急いでいる。秋にまとめられる2016年度第2次補正予算案には海外での登録審査料の補助事業費を計上し、中小業者などにも海外での品種登録を促していく考えだ。