米国の反トラスト(独占禁止)当局は4日、音楽の作り手に対するロイヤルティー支払いに関する規定について、見直しの必要はないと判断した。ユニバーサル・ミュージック・パブリッシングやソニーなど、音楽著作権管理会社にとっては痛手となる。
米司法省の反トラスト部門は2年に及ぶ調査の結果、数十年前に合意が成立している現行規定は音楽のユーザー側に恩恵をもたらすと共に作り手への報酬も確立されているとして、変更は追求しないとの判断を下した。音楽著作権管理会社側はこれまで、パンドラ・メディアといったストリーミング配信の普及に合わせて規定の修正が必要だと主張していた。
現行規定では、米国作曲者作詞者出版者協会(ASCAP)とブロードキャスト・ミュージック(BMI)の2団体が、音楽の作り手や出版社を代表してロイヤルティーの徴収・支払いを行っている。司法省は2014年、この規定を再検討していると発表。ASCAPとBMIがロイヤルティー支払いをめぐるパンドラとの訴訟を受け、再検討を要請していた。
ASCAPとBMIは、ラジオやテレビ、生演奏やデジタルメディアなどで作品が使用されるたびに音楽の作り手にロイヤルティーを支払う。ソニー/ATVなどの音楽著作権管理会社は、ASCAPやBMIとの取り決めから「一部撤退」し、個別の作品使用許可をパンドラのようなサービス提供会社と直接交渉できるように規定を修正するよう求めていた。パンドラは修正に反対していた。
今回の判断から恩恵を受ける見込みのパンドラからは、これまでコメントを得られていない。4日のニューヨーク市場で同社株は前日比1%高の13.82ドルで終了。ソニーの米国預託証券(ADR)は0.8%高の32.60ドル。ソニーは3月、故マイケル・ジャクソン氏の遺産を管理する財団と折半出資する音楽出版会社ソニー/ATVを完全子会社化することで合意した。
ソニー/ATVのマーティン・バンディア最高経営責任者(CEO)は今回の判断について「間違っている」とコメントした。