旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日はローカル線で 富士宮焼きそばと静岡麦酒と身延山久遠寺と

2015-03-21 | 日記・エッセイ・コラム

 製紙工場群から白い煙が上がる東海道本線の富士駅、ここから始まるのは富士川を遡る身延線の旅だ。
複線区間が終わる富士宮で早々に途中下車をするのは、富士山本宮浅間大社を訪ねておこうと思ったから。

富士山本宮浅間大社の本殿右手には武田信玄公お手植えの枝垂れ桜、すでに見頃を迎え艶やかな姿を見せている。

社殿東側には富士の霊水が湧出する湧玉池があって、冷たく清冽な水を豊かに湛えている。
ここ流れ出る御手洗川では何が釣れるのか、釣り人たちが富士山を背景に釣り糸を垂れるね。

社殿西側には1831年創業の富士高砂酒造が蔵を構えている。この環境だから当然に美味い酒があるだろう。
女将に勧められ、吟醸、純米、あらばしり、山廃仕込と試飲をさせていただいた。
っで、"あらばしり" と "高砂ヨーグルト酒" を土産にして、車中酒には "純米吟醸生酒" を仕込むのだ。

富士宮と言えばB-1グランプリで名を馳せた「富士宮やきそば」が盛り上がっている。
朝食も食べていないから、お宮横丁で “昔ながらのやきそば” をいただく。もちろん生ビールは “富士麦酒” だ。

身延線は富士側と甲府側でそれぞれ区間運行は多いけど、全線を直通する普通列車は極端に少ない。
と言い訳しながら、富士宮から身延までは反則の特急「ワイドビューふじがわ」に乗車してしまった。

身延は言わずと知れた身延山久遠寺の最寄駅、ここから路線バスに15分ほど揺られると門前に至る。
但し本数も少ないし、必ずしも電車との連絡も良くないのでご注意を。

三門を潜ると本堂へと続く287段の石段「菩提梯」が行く手にあたかも壁の如く立ちはだかっている。
上りきると涅槃に達するらしいのだけれど、一段一段が高くて厳しい。途中、何度息を整えたことか。

石段を3分の2ほど上ると紅い五重塔が見えて来たね。本堂が姿を現すのは287段を上り切ってから。
仏殿前には有名な枝垂れ桜があるのだが、今日のところは残念ながらまだ蕾のままなのだ。

門前に戻ったら平多屋食堂で “湯葉そば” をズズッといただく。美味しい。湯葉は身延の名物でもある。

旅の後半は、身延15:45発の3633G甲府行きでさらに富士川を遡る。たっぷり1時間半の旅になるのだ。

電車がガクンと動き始めたら、富士宮で仕込んだ "高砂" 純米吟醸生酒のスクリューキャップを切る。
幸いクロスシートの一角を占める。窓枠に300mlを置いて、至福の呑み鉄旅を愉しむ時間なのだ。

身延線は富士川支流の扇状地や谷をトンネルで繋いで鰍沢口で漸く視界が開ける。甲府盆地だ。
善光寺、金手と中央本線と並走すると、舞鶴城の石垣を仰ぎ見るように甲府駅の5番ホームに終着する。
駅前広場に出ると、夕陽に照らされた武田信玄公が軍扇を手に市中に睨みをきかせているのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
湖の決心 / 山口百恵 1975年 



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