旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

アナベルと金婚と東村山音頭と 西武国分寺線・多摩湖線を完乗!

2024-07-13 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

羽根沢信号場から恋ヶ窪駅へ延びる直線区間をレモンイエローの6両編成が駆けてくる。
やはり国分寺駅が単式ホームだから、国分寺を出発する列車と到着する列車はここで行き交うことになる。
ニュースが熱中症への注意を叫んでる休日、国分寺線に乗って呑もうとやってきた。

ブリヂストンの工場を右手に見て小川駅、国分寺線はここで拝島線とX字に交差する。
平面交差になっているので、先発の小平ゆき(拝島線)が行手を遮るように横切って右奥に消えていった。

右から新宿線の複線が近づいてきて、レモンイエローは工事の防音壁に囲まれた2番線に到着。
国分寺を発ってからわずかに10分、国分寺線の旅はアッという間に終わりを迎える。

終点の東村山駅付近は連続立体交差事業が進行中、5つの踏切が解消されるらしい。府中街道の渋滞も酷いもの。
駅の反対側には、えっと言うような26階建てのタワーマンションが聳えている。

そして駅前広場では、大きな欅の木陰で「アイーン」ポーズの志村けんさんが暑さを凌いでいる。
昭和な少年たちの土曜日は、草野球から帰って夕飯を済ませると、『8時だョ!全員集合』にかじりついた。
もっともボクはだんだんと『オレたちひょうきん族』に心変わりしていったのだが。

煙突の高さも誇らしげに “金婚” の豊島屋酒造が江戸前の酒を醸している。
実はこの旅のスタートラインへ向かう車中、Googleマップでどうやら東村山に酒蔵があることを知った。
まぁ呑み人の旅はそれくらい行き当たりばったりなのだが、知ったからには訪ねない訳にはいかない。

滝のような汗を流して15分、ショップ「KAMOSHI no BA(かもしのば)」で試飲を愉しむ。
定番の “金婚” や “屋守(おくのかみ)” の他に、なかなか尖った酒をお造りの印象を受けた。
蔵元でしか買えない無濾過生原酒 “純米大吟醸 NEON(PINK)” と “純米吟醸 MELLOW(BLUE)” を仕込んで、
この先の旅、左手に提げた袋がカチャカチャとリズムよく音を立てるのだ。

駅前に戻ったら「ますも庵」の暖簾をくぐる。まだ陽は高いけど今日の一杯を。
この店は豊島屋酒造さんで「東村山で金婚が飲めるお店は?」と尋ねて、紹介してもらったのだ。

とは言えこの暑さ、先ずはキンキンに冷えた “大人の⭐︎生” を一杯。アテは何も捻らず “冷奴” がステキだ。

そして “金婚 純米酒” を升に溢してもらう。やや甘めの飲み口がスッキリした酒だ。
お供するのは “身欠きニシンの甘露煮”、蕎麦前のうちでは好みの一品だ。

〆の一枚は “肉汁うどん” に変更して、甘い肉汁、コシのある歯ごたえと喉ごしを愉しむ。
うどんは埼玉県さんの地粉と言うからまさに武蔵野うどん。西武線シリーズでははや3度目なのだ。

志村けんさんに別れを告げたらもう一路線乗っておく。
3番線でガラんとして発車を待つレモンイエローは2000系4両編成の西武園行き。冷房が心地よい。
列車がガタンと動き出すなり『次は終点西武園っ』の乾いた車内放送、そう西武園線はたった1駅の乗車なのだ。

黄色い西武電車を背景にして、抜けるように白く、満開の “アナベル” が美しい。
沿線の「北山公園」は、水辺を楽しめる静かな公園で、数千本の花菖蒲と紫陽花が盛りを迎えている。

線路の向こう側は『となりのトトロ』でメイが迷い込んだ七国山のモデルと言われる八国山緑地。
東村山と所沢の市境(都県境)にある緑地は、ハイキング トレイルやバードウォッチングのできる池がある。

競輪の開催がない日は閑散とした西武園駅、レースがある日ならばメインスタンドで呑んでも良かったなぁ。
隣接する西武園ゆうえんちプール、聞こえてくる女の子や子どもたちの歓声が夏を感じさせる。
っと、西の空に夕立を予感させる灰色の雲が広がり始めていることに気付く。
慌ただしく折り返すレモンイエローの電車に乗って、国分寺線・西武園線の旅を終えよう。

西武鉄道 国分寺線 国分寺~東村山 7.8km 完乗
西武鉄道 西武園線 東村山~西武園 2.4km 完乗

東村山音頭 / 三橋美智也&下谷二三子



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