あの山は神だ。
遠い昔から大和の人は語り継いできた。
三輪山の麓、奈良、大神神社。
脈々と受け継がれた祈りは、今日も何ひとつ変わらない。
本殿は無い。青き山こそ「神」そのもの。
人は山に神を想い、山は人と神を結ぶ。
ぞくぞくするほど荘厳で美しいCMでしたね。
でっ "いま、ふたたびの奈良へ" そして大神神社(おおみわじんじゃ)へ。
奈良へ戻って来た。 昨日と同様、夏の陽に容赦なく射られて茹だるような暑さだ。
桜井線は奈良を起点に和歌山線の高田まで至る。
三輪、香久山、畝傍、駅名を聞くだけで桜井線が歴史舞台を走り抜けているのが分かる。
1番線に入線してきた2両編成に乗車する。この碧は「和歌山色」だ。
京終(きょうばて)、帯解(おびとけ)、長柄(ながら)、難読かつ趣深い駅名を幾つか数えると、
30分ほどの乗車で三輪駅に到着する。大神神社を控えながら小さな小さな無人駅だ。
駅近く「三諸杉」の今西酒造は、酒造り発祥の地とされる三輪に今では唯一残った酒蔵。
三輪山の伏流水を仕込み水に、三輪産の米に拘って酒を醸している。
大神神社の御祭神は国造りの神様、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)。
高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)が御祭神の神力で美酒を醸したことから、
酒造りの神様としても広く信仰を集めている。
毎年11月には全国中から蔵元・杜氏が集まり「醸造祈願祭(酒まつり)」が行われるそうだ。
大神神社には本殿が無い。 御祭神の大物主大神がお山に鎮まるために、
拝殿の奥にある三ツ鳥居を通して三輪山を拝するという原初の神祀りの様を今に伝える。
お参りが終わったら門前で冷たい "三輪そうめん" など。
次の高田行きまでは1時間以上あるので、まずはキンキンのスーパードライ。
メニューには無い冷製のつまみを美味しくいただく。
酒はよく冷えた "吟醸新酒 三諸杉" をいただく。
お姐さんが鳥羽漁港から良い "活たこ" が入ったというので、さっそく盛っていただく。
愉しい昼下がりの一杯。〆は当然に "三輪そうめん"、冷たく滑らかなのど越しが心地よい。
三輪駅に戻った矢先、跨線橋の向こうに停車していた2両編成が動き出してしまった。
またやってしまったっ!さては良い気分で時刻表を読み違えたか。40分の居残り決定。
それにしても美味しく愉しんだ "いま、ふたたびの奈良へ" の旅なのだ。
桜井線 奈良~桜井 29.4km 完乗
アン・ドゥ・トロワ / キャンディーズ 1977