旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

呑み鉄放浪記 東海道本線を往く!

2018-10-30 | 呑み鉄放浪記

 雨上がりの朝、日の出時刻を過ぎても東京駅は静けさの中。
北へ西へ始発の新幹線に乗る人々が、タクシーで乗り付ける6時前の丸の内北口。
秋の乗り放題パスが使える最後の週末、東海道本線を西へと発つ。

06:18発の熱海行きは、午前中最後の東京始発。座席にはかなり余裕がある。
グリーン車を選ばずとも、ボックスシートで朝ビールが愉しめるのだ。
呑みながら、喰らいながら、2日をかけて神戸まで。旨い酒肴と出会えるといい。

     

 缶ビールを片手に尾崎紅葉を読んできた。
冒頭の古風な文体に戸惑いながらも、根府川鉄橋を渡るころには前編を了える。
身悶えして恋しき人の名を呼ぶ美しき宮、今朝の「貫一・お宮の像」は見え方が違う。

テレビや映画のロケ地となり、熱海は若い層を中心に観光客がV字回復した。
生まれ変わった駅ビル・ラスカ熱海、昭和風情の仲見世商店街は買って、食べて、愉しい。

09:06発、島田行き6両編成は、昨今東京で見ることはなくなった一世代前の湘南電車だ。
熱海からJR東海の管轄となる東海道本線で西をめざす。

 先頃、『駿府城から太閤の天守台と金箔瓦が出土』と大きなニュースになった駿府城址。
静岡駅から10分も歩くと巽櫓が見えてくる。

堀の畔では、東海道中を旅する弥次喜多が与太話に興じているね。

     

そして城内、駿府城本丸跡では、鷹狩り姿の大御所家康が天下に睨みを利かしている。

 

ところで、駿府城公園の売店がリニューアルして「静岡おでん」を楽しめる様になった。
店子の青葉横丁「おでんや おばちゃん」 は、静岡鉄道を呑み潰した折に訪れている。
先ずは "焼酎お茶割り" を一杯。おでんの味?まぁ出店だから、ご愛敬でしょう。

東海道本線も静岡県内では需要が低くなるのだろう、短い編成がシャトルしている。
鮮やかなオレンジのラインが引かれた3両編成に乗車して、次は豊橋をめざす。

 金山駅で途中下車して、環状になっている地下鉄名城線で名古屋城を訪ねる。
五層の大天守にいただく "金のシャチ" が弱々しい秋の夕陽にも輝いてみせる。

      

1610年(慶長15年)、天下普請に際して天守台の石垣積みを指揮したのは加藤清正。
着飾った小姓と大石に乗り綱引きの人々を囃し立てる「清正石引き」の像が立っている。

 

金山から2つ先の名古屋駅、各ホームの「きしめんスタンド」から3・4番ホームを択ぶ。
この店はスタンドの中で天ぷらを揚げる。 "えび天玉子入りきしめん" が美味い。

ところで豊橋からは「新快速」で飛ばしてきた。堂々8両編成の韋駄天が頼もしいのだ。

 夕暮れの岐阜までは名古屋から新快速で20分。県庁所在地には敬意を表して途中下車。 
岐阜を訪ねたのは3年振り。中山道を歩いた旅は、長良川を渡し船で越えたっけ。

      

黄金の信長像は、マントを羽織り、右手に種子島、左手には西洋兜を持って仁王立ち。
当に時代の最先端を生き、歩いた信長その人らしい姿を岐阜駅前に観ることができる。

17:20発、大垣行き快速。帰宅の人の波に紛れて本日のラストランなのだ。

 暮れかかる大垣駅。乗る「鉄」の猛者たちは1日で徳山あたりまで行ってしまうだろう。
呑む人はこの辺りが良いところ。さっそく酒場をさがして街をぶらり。

高屋町交差点近くの細い路地に紛れ込むと「居酒屋とん平」がある。隠れ家的な酒場だ。 
って云いたいとこだけど、まわりが駐車場になってしまって、通りからも見えたりする。

 
 

1階はカウンターのみ、この短冊の豊富なメニュー、旧き良き時代の酒場なのだ。
"三千盛" は多治見の酒。辛口で癖なくすっきりしたキレ味、どんな肴にも合いそうだ。
"揚げ出しナス" それに "かつおの山かけ" が美味い。味ある地方都市の宵が愉しいのだ。

 

東京 / マイペース



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