旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

錦繍の三峯神社と秩父そばと武甲政宗と 秩父鉄道を完乗!

2015-10-24 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

秩父鉄道は東武伊勢崎線の羽生を起点に熊谷、寄居、秩父を結んで三峰口まで走る。
急行秩父路号はずいぶん年季が入った車両だけど、クロスシートのリクライニング仕様で
大きめのテーブルが付いている。これはゆっくりと飲んでいけそうだ。

秩父鉄道は土日祝日に「秩父路遊々フリーキップ」を発売、全線乗降り自由でこれ便利。

秩父駅で途中下車したら、武甲酒造・柳田總本店を訪ねる。
宝暦3年創業と言うから220年を超え、国の有形文化財指定の重厚で素晴らしい建物だ。
車中酒の愉しみに武甲政宗 "純米生酒" と猪口を求めた。 

ランチは秩父神社裏の人気店「手打そば武蔵屋」へ、開店直後なのですんなり席に着く。
まずは "舞茸てんぷら" をアテに、お約束の生ビールで喉を鳴らす。
"しめじご飯" と、碾きたて、打ちたて、茹でたてを "ごまだれ" で美味しくいだいた。

 再び車中の人となる。秩父を出ると上り勾配が徐々にキツくなる。
三峰口まではあと20分、300mlの純米生酒を飲み干すには少々忙しい。
進行方向に甲武信の山並みが迫り、急激に谷が狭くなっていく。
秩父鉄道は羽生から70kmを駆けて三峰口に終着する。もうこれ以上は進めない。

 

三峰口はその名のとおり三峯神社の玄関口。でも今時多くはマイカーだろうし、
乗客も西武秩父でバスに乗り換えが主流なのだろう、週末というのに静かな玄関口だ。
話は飛ぶが駅頭に立つ鉄道むすめはハロウィーンのコスプレをしていた。

 三峯神社は山々の強い「気」が流れ込む関東屈指の龍穴パワースポット。
秩父の山奥にあって神仏習合時代の修検道の霊場だそうだ。

随身門(1792年再建)を潜る。もとは仁王門であったが神仏分離によって随身門となった。
何故だか自然と姿勢が正されるというか、そういった気分にさせられる。 

 

そんな気分にさせられるのは、おそらくはこの「狼」のせいだろうか。
まるで『信心無き者は去れ』とばかりに睨みつけている。
三峯神社では獅子でも狛犬でもなく、稲荷の狐とも違って「狼」が鎮座しているのだ。

 

随身門から本殿に至る途中の一対は、更に恐ろしい形相をしている。

三峯神社は、東征途上の日本武尊が三峯(雲取・白岩・妙法嶽)が美しく連なる景色に感動し、
この地に伊弉諾尊(いざなぎ)、伊弉册尊(いざなみ)を偲んで祀ったのが神社の起源と云う。

拝殿は花鳥や竹林七賢人など極彩色の彫刻が美しい。左右の御神木は推定樹齢800年、
拝殿参拝後、深呼吸して御神木に手を付けお祈りすると「気」がいただけると言う。

遥拝殿からは妙法嶽山頂の奥宮を遥拝できる。
ここからは下界を一望し、早朝には朝日を受けて美しく輝く雲海を観ることができるそうだ。

杉の巨木に囲まれた境内から抜け出すと緊張が溶けるような気がする。
ってことで "みそおでん" とビールで一息、急行バスの発車までもう少し時間があるから。

秩父鉄道 羽生~三峰口 71.7km 完乗

<40年前に街で流れたPOPS>
Sky High / Jigsaw 1975