1.DYNY
2.And your bird can sing
3.アゲハチョウ
4.若者ABC
5.Indigo
6.『ペテラポカ』でデビューした紙コップさん。
7.スパイのハリー
8.カラーベイビー~BASEMENT MIX~
9.かげろう
10.noise powder
11.ポンゴリラッキースター
12.MOJO LOVING
13.I love you home
今から20年前に出たアルバム・・・
「20年前に出た。」って字面だけ見ると凄いですよね
だって20年前には生まれてなかった人もいるわけでしょう。
自分が10代の時に20年前のもの~って言ったら大抵時代を感じるものなんですよ
でもなんだろう、今作は正直言って「20年前に出ました!」って感じは一切ないですね
ずっと聴ける良質なポップ・ミュージックの見本、という感じで良い意味合いで時代を感じない作品になってます。
中学生の頃大好きだったクールドライブメーカーズ、
でも今聴いても全然素晴らしいしというかむしろずっと聴き続けてるし。
所謂エヴァーグリーンな音像、ナチュラルミュージック、小気味良いロックサウンド、、、
色々形容は出来ますが結構なんでも器用にこなせちゃう優秀な音楽集団というイメージが強い
お茶の間向けのポップスからマニア向けのひねくれたサウンドまで一遍に聴かせるスタイルは、
時代も聴き手も選ばない普遍的な格好良さがあると思う
特にネモさんの音楽センスは素晴らしく、
その言葉遣いからメロディラインの親しみやすさまで含めてじっくりと練り込まれた丁寧さを感じます
クールドライブメーカーズというバンド名に恥じずにドライブの時に流しても似合うと思う
90年代後半~00年代にはオセロケッツとかもそうですがこういうセンスの塊みたいなバンドが沢山居ました
今は正直あんま知ってる人居ないかもしれないけど、だからこそ時には振り返ってみようかなと。
今作は、
(たぶん)最も売れたアルバムだと思う
初のドラマ主題歌だった「アゲハチョウ」は当時から「勝負に来てるな~。」って思ったくらい、
ポップスのド真ん中に寄せた所謂みんなで歌える類の名曲です
その一方で、
ダークで汚い感情も吐露しているアグレッシブな「若者ABC」があったり、
あの時代の業界の移ろい易さを皮肉った「ペテラポカ~」みたいな毒の強い曲があったり、
結構ジャンルレスな感じもしていてそこもまた音楽的な素養の高さを感じる作品です
心地良いグッド・ミュージックが基本ですけど、
その良さも響かせつつ、
マニアックな音楽の楽しさ・・・もアピールしている印象でかなりバランスの良い名盤
多分最初にクールドライブメーカーズを聴くなら今作が相応しいんじゃないかな、って個人的には思います。
開放的な雰囲気が素晴らしい「Indigo」、シンプルにアレンジが心地良い「MOJO LOVING」と、
序盤から終盤まで隙がなく"良い曲”が詰まっている抜け目の無さがまた素敵で、
とにかく理屈抜きで良い音楽が聴きたい、って人に向いてる作品だと思います。
間に、
踊れるインストナンバーが挟まれていたりその辺の配慮も良いんですよね
ずっとストレートな歌ものばっかじゃないから最後まで楽しく聴ける、というのはあると思う。
もう少しで自由になれるような気がしてた
何もかもこの夜に答えが出てきそうだ
嘘をつく口元だけ見て気づく
本当は癒してほしいだけなのに (カラーベイビー)
お気に入りは、
「若者ABC」も入れたかったんですけど、
取り敢えずファンキーに業界を茶化している「『ペテラポカ』でデビューした紙コップさん。」が大好きですね
タイトルを見る限り「なんじゃこりゃ?」って感じの曲なんですけど、
実際聴いても「なんじゃこりゃ?」って感じの曲ですね(笑
でも小気味良いアコギの音色、
スッと入って来るナチュラルで心地良いアレンジ、
ネモさんのファンキーな歌声と正直どこを聴いても格好良い要素ばかりで、
散りばめられた毒も含めて痺れる要素しかない名曲です
ある意味、「アゲハチョウ」の歌詞は何だったの?というぐらい真逆の皮肉めいた歌詞なんですが、
でもそういうのが点在してるのが凄く人間くさくて格好良いなあ、って思います
以前カラオケにこの曲が入っててビックリした覚えがありますね(笑
「カラーベイビー」は当時CMで使われてた曲で、
その時から勢いのあるメロディと語感の良い歌詞が好きだったんですけど、
アルバムではもうちょっと大人なアレンジに仕上がっていて、
これはこれで情感があって好きなバージョンです
どっちかって言うとシングルのバージョンはザ・ロックバンドって感じだったと思うんですが、
アルバムだとよりメロディと歌詞の語感の良さを活かすシックでお洒落なアレンジにまとまっていて、
シングルはシングルで好きだったんですがこっちも全然良いと思えるのがまた素敵だな、と。
それとこの曲は、
全体的にキャッチーなようでいて歌詞の要所要所が切なく響くところがお気に入りですね
特に「もう少しで自由になれるような気がしてた」って歌詞は色々な意味で大人の哀愁が漂ってて大好きです。
兎角語感重視の気持ち良さを楽しみつつ、根底に眠っている切実な繋がりに対する想いも伝わって来る名曲。
で、
もう一つ、
これもシングル曲だった「かげろう」
この曲はドラマかアニメの主題歌にしても良かったくらい、
珠玉・・・と言いたくなるメロディもアレンジも完成度の高い名曲です
兎角練り込まれた凝ったアレンジとナチュラルなメロディの調和性が素晴らしく、
素朴な歌詞もまた奇を衒ってない良さがあって聴いてて素敵な気分になれる一曲
ぶっちゃけた話、
このシングルが出た時に「ああ~こりゃ売れるわ。」って自然に思ったんですけど、
時代の流れに沿ってなかったのかそこまでヒットはしませんでしたね(笑
でも、
この曲は間違いなく名曲だと今でも感じます
冒頭の爽やかでセンチメンタルな歌声と歌詞からして堪らないですし、
初夏を匂わせる楽曲そのものから放たれる"空気感”がとにかく気持ち良いんですよね
それでいて、とことんまで"ピュアさ”にこだわった歌詞がまた聴いていて素敵な気分にさせてくれます
青春群像劇系のアニメに似合いそう・・・って書けば伝わるでしょうか?
書いていて思ったんですが、
クールドライブメーカーズは明確に「こういうジャンルです!」っていうバンドじゃないんですよね
(繰り返しになりますが)何でも器用にこなせる音楽集団というか、あの頃はそういう豊かな印象のバンドが多くて。
自分の中でその中でも一際抜けていたバンドだったな、、、と
今でもしみじみと思います。
激情のロック「若者ABC」からジャズソングの「スパイのハリー」まで幅広く楽しめる音楽絵巻です。