今回の公演で高齢者に対するインプラント治療について実際に介護の現場で働いている歯科医師によるリアルな意見を聞くことができました
日本では8020運動で80歳でも20本の歯を残そうというスローガンかかげ実際効果は上がってきました
ところが介護の現場では困ったことが起きているそうです
昔よりも寿命がのびて100歳まで生きておられる方がすでに6万人を超えてそのなかには介護を必要とする方も少なくありません
当然、歯ブラシが自分でうまくできればいいのですが、できないとどうしても人の手を借りることになります
しかし、日本の介護の現場では毎食後にその道のプロである歯科医師や歯科衛生士が歯磨きをしてくれるわけではなく普通の人が歯を磨くことがほとんどです
介護の現場に日常的に歯科医と衛生士がいないことが問題なのですが国の政策なのでどうにもならないと言われていました
結果として、虫歯や歯周病が一気に進行し、歯やインプラントがたくさん残っている人ほど問題が生じてしまう
これが現実だそうです
介護の現場では、歯やインプラントよりも取り外しが可能な入れ歯の方がお口の中を清潔に保ちやすいそうです
しかし入れ歯は歯科医師による調整が頻繁に必要となるため良い状態を維持することも難しいとのこと
なので2〜4本のインプラントを使用しそれによって入れ歯を固定する「取り外し型のインプラント義歯」が、しっかり咬めて清掃しやすくていいのではないかと言われてました
前歯の部分にインプラント が数本あるだけなので介護する人も簡単にお口の中を清掃できますし、入れ歯は外して外で洗えます
インプラントはインプラント周囲炎(インプラントの歯周病)になりますが、虫歯にはならないのでそういった意味では歯に比べてリスクが小さいそうです
もちろん100歳でもしっかり歯ブラシと歯間ブラシを使用できれば問題ないのですがなかなか現実には難しいようですのですので、ひとによっては悪くない治療だとぼくも思います
現在、ほとんどの歯科医や衛生士は患者さんが入院したり施設に入ってしまうとそのあとどういう状態になっているのか想像もつかず盲目に歯を残すことだけを考えています
しかし、80歳を超えて100歳近くまで生きられる超高齢化社会においては、どうしても身体に不具合のでる患者さんが増えてくるため、
多くの歯が残っているが故に患者さんが不幸になってしまうケースもあるということでした
社会制度の問題もあるので難しい問題ですね
もちろん、100歳まで元気で歯磨きができて、歯もそろって、なんでも食べることができることが理想です
しかし皆が理想的な状態ではありませんから、それぞれの患者さんの身体状況や年齢やライフスタイルを考慮した上で治療方針を柔軟に考えないといけないと再認識させられました