goo blog サービス終了のお知らせ 

うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

日本ショートトラック陣、ただ今大苦戦中

2010年02月22日 | 五輪&パラリンピック
男子3人、女子5人をバンクーバー五輪に送り込んでいる日本ショートラック陣。前回のトリノ五輪では入賞者は3つ出しましたが、決勝レース進出者はゼロに終わりました。しかし今大会は、現時点では個人種目では8位以内の入賞者はおろか、誰一人も決勝レースにすら進出できてません。

現在世界ランキング5位の女子リレーはほんの少しだけ期待が持てましたが、競技初日の予選で中国とカナダの強豪国と同組になり、あっけなく大差で敗退。5-8位決定戦進出を余儀なくされました。ちなみに、男子のリレーに至っては本大会の出場枠すら逃し、個人戦の参加枠もたった3人しか獲得できてません。ある程度予想されたとはいえ、今回の不振は相当に深刻です。

現時点での個人戦を振り返ると、結果は芳しくありません。これまで行われた男女4種目中、日本選手は延べ人数で10人が挑みましたが、最初の予選を突破したのはたった3人だけ。そのうち、男子1500mの吉沢純平は予選ではアドバンス(救済措置)が取られての準決勝進出なので、幸運に助けらたのが実情です。なので、自力で予選を突破したのは男子1500mの藤本貴大と女子1500mの貞包紘子の2人だけです。

しかも負け方が非常に良くないです。傍から観ていて全くと言ってよいほど勝負になってませんから。まず、スピードで太刀打ちできません。一番距離の短い種目である女子500mに至っては、スタートダッシュが非常に悪く、号砲が鳴った時点でほぼ勝負が見えてました。日本のエース桜井美馬はフライングによって動揺し、力を全く発揮できませんでした。

長い距離の1500mにしても、男女とも日本の選手はスタミナが不足しているように思えます。レース中盤での急激なペースアップに誰もついていけず、ズルズルとそのまま後退。先頭集団を追いかけようとしても、レース序盤から飛ばしているので既にスタミナを使い果たしていることもあり、追い足がありません。なんだか箱根駅伝出身のマラソンランナーが、トラックレースでアフリカ勢の急激なペースアップによる揺さぶりについていけず、ズルズル後退するようなシーンを彷彿します。

ましてや、強豪の韓国や中国の選手ように「後方待機作戦」を取れる芸当なんて、今の日本にはもちろん出来ません。韓国や中国の選手は短距離ではスタートダッシュが非常に速いので、常に良い位置を取ってます。一方、長距離では予めレース展開を読んでいるかのような、上手な試合運びをします。カーブのコーナリングにおいても、ライバルが勢い余って外に膨らんだ瞬間を見逃さずに、すかさず内側のスペースを掻い潜ります。

特に韓国の選手に言えますが、身体能力が非常に高く、接触の場面でも簡単に弾き飛ばされません。おそらく、韓国独自の少数精鋭のスパルタ育成システムで日頃から相当フィジカル面を鍛えられているのでしょう。さらに、高いレベルのレースで培った経験の差が、そのまま成績に反映されているのでしょうか。決勝レース進出者を1人も出せてない現在の日本は、予選の段階でこの有様ですから世界の強豪国との差は歴然としてます。

更に言うと、韓国はショートトラック出身の李承勲が、今大会のスピードスケート男子5000mでアジア人初の銀メダルを獲得してます(ちなみに、日本の加藤条治もショート出身です)。スピードに転向した選手でも世界レベルで即戦力として活躍する訳ですから、ショートで磨いたカーブのコーナリングの技術が高い事の証です。また、それだけ人材が豊富なのでしょう(余談ですが、韓国のショートトラックは派閥争いが凄まじいです)。

かつて1980年代までは、日本は世界のトップクラスでした。しかし、正式種目に採用されたアルベールビル五輪以降は各国とも強化に本腰を入れて、日本の国際競争力が低迷。さらに企業の休廃部やリンク(=ショートはフィギュアと同じリンク)の閉鎖など、日本のショートトラックを取り囲む競技環境は悪化を辿るばかりです。なにせ、似たような体格の韓国と中国に全く太刀打ちできない訳ですから、いかに強化体制が劣っているのかが良く分かります。

もはや、ショートトラックが「日本のお家芸」だったのは過去の話です。現状では「参加することに意義がある」のレベルです。極端な話ですが、個人戦で全く太刀打ちできない現在の日本は、今後はリレー1本に絞って強化した方が良いのかもしれませんね。


・関連記事
数えられてない金メダル


〔写真はAP通信です〕

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。