うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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26年ぶりに“事実上の”王座統一戦が開催

2010年02月23日 | ボクシング
世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級・長谷川穂積(29)(真正)とスーパーバンタム級・西岡利晃(33)(帝拳)の両チャンピオンが4月30日、日本武道館でダブル防衛戦(読売新聞社など後援)を行うことになり、22日に主催者が発表した。

長谷川は5戦、西岡は3戦連続KO防衛中で、強打の王者がそろい踏みだ。

長谷川の11度目の防衛戦は、世界ボクシング機構(WBO)バンタム級王者のフェルナンド・モンティエル(30)(メキシコ)を迎え撃つ大一番。WBOは日本非公認のタイトル認定団体のため、長谷川が勝てばWBC王者のままでWBO王座は空位、モンティエルが勝てば2団体統一王者となる変則ルールで行う。

モンティエルは3階級制覇を遂げ、本場の米国リングでも豊富な実績がある。対戦を熱望してきた長谷川は「勝者でなければ意味ないし、この強い挑戦者が相手だからこそKOを狙う」と意気込む。

西岡の4度目の防衛戦の相手は15戦全勝の新鋭、バルウェグ・バンゴヤン(23)(フィリピン)。

〔読売新聞 2010年2月22日の記事より〕


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ついにビッグファイトの機会が巡ってきました

現在WBC世界バンタム級王座を10連続防衛中の長谷川穂積は減量苦を抱えることもあり、S・バンタム級もしくはフェザー級への転向が噂されてました。最終的にバンタム級に留まって、具志堅用高の持つ防衛回数(13回)の日本記録更新を目指す路線を選択。そして、本来なら長谷川の次戦の相手は、現在WBC同級1位のシンピウェ・ベチェカ(南アフリカ)との指名試合が予定されてました。ただし、ベチェカとは3年前の2007年5月3日に有明コロシアムで行われた4度目の防衛戦で12回判定で勝利した相手だったので、目新しい相手ではありませんでした。

しかし、今度の対戦相手は全く訳が違います。というのも、フェルナンド・モンティエル(メキシコ)は世界ボクシング機構(WBO)の現役のバンタム級王者です。しかも、モンティエルは3階級を制覇したビッグネームです。これほどの大物が来日すること自体、最近の国内開催での世界戦では珍しいです。現在5連続KO防衛中の長谷川にとって不足の無い相手ですし、この試合をきっかけに、熱望していた本場米国のラスベガスに進出する可能性があります。長谷川だけでなく日本ボクシング界にっても画期的な一戦となるはずです。

ただ、この試合にあたっては一つネックがありました。それは日本ボクシングコミッション(JBC)がWBOを認めてないことです。理由は、王者乱立を防ぐ為に、WBA(世界ボクシング協会)とWBC(世界ボクシング評議会)の2団体のみしか認可してないからです。通常は未公認団体の王座を戦う事は原則として禁じられてます。だけど、世界的に見れば、WBOとIBF(国際ボクシング連盟)はWBAとWBCと同じくメジャー団体として認知されてます。しかも、最も老舗のWBAは、王座を粗製乱造したり、フライ級を日本とタイだけで世界戦を組ませたりするなど、近年は乱脈経営ぶりが目立っているので、むしろ権威が暴落しているほどです。もしかしたら、今回をきっかけに、IBFとWBOの加盟の論議も起きるのかもしれませんね。

今回の長谷川の試合に関しては、JBCは特例をもってこの試合を認可しました。ただし、JBCが未公認である以上、長谷川が保持するWBCのみの世界戦という形式となります。なので、WBO王者のモンティエルは「挑戦者」として扱われるので、勝てば2団体の統一王者となります。なお、自ら保持するベルトは賭けられてないので防衛扱いにはなりません。一方、JBCが未公認の為、王者として扱われるWBC王者の長谷川は、勝っても自ら保持するベルトの防衛だけとなり、モンティエルのWBO王座は奪えません。ただし、モンティエルは正規体重での試合となるので、負けた場合は自らの保持するWBO王座は空位となります(なお、引き分けは長谷川の防衛扱い)。つまり、両者とも負ければ自らが保持する王座を失います。ややこしい変則ルールですが、「事実上の世界王座統一戦」であることには違いはありません。

ちなみに、日本で他団体の王者同士が統一戦を行ったことは、かつて1度だけあります。それは、今から26年前の1984年7月5日に大阪城ホールで、J・バンタム級(現在の名称はS・フライ級)でWBA王者の渡辺二郎とWBC王者のパヤオ・プーンタラット(タイ)が対戦したことがあります(結果は渡辺が2-1の判定で僅差の勝利)。なお、この時は、健康問題などで世界戦のラウンド数がWBA(15回戦)とWBC(12回戦)で異なり、両団体が激しく対立。その為、WBAはこの統一戦の開催を認めなかったので、渡辺はリングに上がった時点で王座を剥奪された経緯があります。なので、厳密に言えば、この試合は王座統一戦ではなく、WBC王者のパヤオに“前WBA王者”の渡辺が挑戦するという変則的な形での実施でした。ただ、どういう訳なのか、渡辺が赤コーナーだったのが今考えても謎ですね。

今回は26年前と違い、他団体の世界王者同士が正式に世界戦として戦うので、変則形式だとはいえ国内ボクシング史上初めての実施となります。長谷川の勝利を信じてますが、今回は正真正銘のトップボクサー同士の統一戦となるだけに、お互いが最高のコンディションを作って素晴らしいファイトであることを願いたいです。
あと、西岡も頑張って下さい!!


※関連記事
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☆直近のモンティエルの試合(2010年2月13日のシソ・モラレス戦 @米国・ネバタ州ラスベガス)

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