うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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関塚ジャパン、マレーシアに大勝してロンドン五輪出場に王手

2012年02月23日 | サッカー(年代別)
◆男子サッカー・ロンドン五輪アジア最終予選 第5節(2012年2月21&22日)

・C組
 マレーシア 0(0-2)4 日本  (@マレーシア・クアラルンプール/ブキット・ジャリル国立競技場)
 得点者:日本)35分 酒井宏樹、44分 大迫勇也、55分 原口元気、60分 齋藤学

 バーレーン 2(1-0)1 シリア


▼最終予選の他の組の試合結果 (左側のチームがホーム)
・A組
 オマーン 0(0-1)3 韓国
 カタール 2(1-1)1 サウジアラビア
(韓国は7大会連続9度目の五輪出場権を獲得)

・B組
 イラク 2(1-1)1 ウズベキスタン
 UAE 1(1-0)0 豪州


アジアサッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-23日本代表20名

〔写真は共同通信より〕


                           *  *  *  *  *


敵地マレーシアに乗り込んで最終予選の第5戦を戦うことになった関塚隆監督率いるU-23日本代表。第4節終了時点のC組の順位は、1位シリア(3勝1敗・勝ち点9・得失点差+4・総得点8)、2位日本(3勝1敗・勝ち点9・得失点差+4・総得点7)、3位バーレーン(2勝2敗・勝ち点6・得失点差-2・総得点6)、4位マレーシア(4敗・勝ち点0・得失点差-6・総得点3)でした。日本は17日前の第4節でシリアに1-2で敗れて2位に転落した為、自力での五輪出場は消滅したとはいえ、既に予選敗退が決まっていたマレーシア以外の3ヶ国全てに首位通過の可能性が残されてました。たしかに、マレーシアには、一昨年11月の広州アジア大会と昨年9月の最終予選の初戦でそれぞれ2-0で勝利していたので、下馬評では日本が優勢でした。しかし、日本は、バーレーンvsシリアよりも先に戦うので、敵地で勝ち点3を確実に勝ち取るだけでなく、なるべく得点を多く奪って、見えない敵にプレッシャーを掛ける必要がありました。ただでさえ経験が浅く、更には前戦のショックを少なからぬ引きずっていた若い彼らにとって、とても難しい作業を要求されました。

背水の陣を敷いた日本は、MF清武弘嗣、MF山田直輝、MF山崎亮平の主力3名が負傷で離脱。白羽の矢が立ったボルシアMGに所属するMF大津祐樹も、クラブ側の事情で招集が頓挫。今回の最終予選は国際試合日(IMD)に実施してないので、もちろん他の海外組の招集も不可能。非常に苦しい台所事情でした。日本は荒れたピッチに苦しみながらも、MF東慶悟と急遽招集されたMF原口元気を中心に丁寧にパスを繋ぎ、序盤から日本が試合を支配。この日先発に抜擢された「愛媛のメッシ」ことMF齋藤学とDF酒井宏樹のコンビが右サイドを制圧し、攻撃のリズムを掴み始めます。ただ、好機を多く作るも、中々先制点を奪うには至らず、時間が刻々と過ぎていきます。しかし、前半35分、東のスルーパスに抜け出した原口が相手DFと競り合い、こぼれ球を攻め上がっていた酒井が落ち着いて右足で流し込み、ついに日本が均衡を破ります。これで勢いに乗った日本は、前半終了間際の44分、扇原貴宏の右からのFKを大迫勇也が頭で合わせて今予選初得点を決めて、2-0で突き放します。大量得点が必要な日本にとっては、思惑通りの展開で前半を折り返します。

2点をリードした日本は、前半同様に猛攻を仕掛けます。後半10分、果敢なオーバーラップから再三の好機を作り出した酒井が右サイドを突破してクロスを入れ、ファーサイドに猛然と走り込んだ原口が左足のボレーで豪快に合わせ3点目を奪い、試合を決定付けます。その5分後、左サイドからDF比嘉祐介が仕掛け、一旦はドリブルがカットされるも、そのこぼれ球を扇原が強烈なミドルシュート。相手GKがシュートを弾くも、詰め寄った斎藤がこぼれ球を冷静に押し込み、畳み掛けるように4点目を奪って駄目押し。その後、運動量がめっきり落ちたマレーシアに対して、日本は更に攻撃を仕掛けますが、どうしても追加点には至らず、結局試合はこのまま4-0で終了。惜しむらくは、あともう1~2点を奪えなかったことと、後半の交代策があまり有効に機能しなかったことだが、敵地で追い詰められた状況の中でノルマを果たしたことは素直に評価すべきです。それにしても、第4節で中東の地で敗れた後に、東南アジアでの第5節で大勝して、最終戦を国立競技場で迎える展開は、まるで前回の北京五輪アジア最終予選と状況が非常に酷似してます。

クアラルンプールの試合の30数分後に行われたマナマでの試合は、地元バーレーンが終了間際に勝ち越し点を決めて2-1でシリアに勝利。この結果、第5節終了時のC組の順位は、1位日本(4勝1敗・勝ち点12・得失点差+8・総得点11)、2位シリア(3勝2敗・勝ち点9・得失点差+3・総得点9)、3位バーレーン(3勝2敗・勝ち点9・得失点差-1・総得点8)、4位マレーシア(5敗・勝ち点0・得失点差-10・総得点3)となり、首位が交代しました。最終節はシリアvsマレーシアの結果に関係なく、日本はバーレーンとの次戦に引き分け以上で首位が確定し、5大会連続9度目の五輪出場権獲得が決まります。もし負けても、シリアvsマレーシアの結果次第で、日本が得失点差で上回って1位になる可能性があるので、非常に有利な立場です。ちなみに、シリアが勝った場合、バーレーンは日本戦で4点差以下での勝利だと3位に終わります。バーレーンは大量得点を狙う必要があるとはいえ、日本がそこまで大敗するとは考えにくく、日本はプレーオフに進める2位以内はほぼ確保したと言えるでしょう。ただ、日本がバーレーンに0-1で負けても、シリアが4点差以上で勝つと逆転されるので、油断は禁物です。現時点では最終節の試合開始時間はまだ未定ですが、試合の公平性を確保して、日本が不利益を被らない為にも、絶対に揃えるべきです。

なお、他の組は、A組は韓国が敵地でオマーンに3-0で快勝し、1試合残してロンドンへの切符を獲得。第2節でカタールの違反選手の起用が発覚して、オマーンがまさかの“大勝”したので混戦が予想されたが、終わってみれば韓国が底力を発揮して中東包囲網の突破に成功しました。むしろ、この組はオマーンとカタールの2位争いが面白そうです。最終節は、オマーンはサウジアラビア、カタールは韓国とそれぞれ敵地で対戦します。B組は、UAEが豪州に1-0で勝利して首位をキープますが、同率首位だったウズベキスタンはイラクに1-2でまさかの逆転負けを喰らって2位に転落。ただ、最終節でウズベキスタンがUAEとのホームゲームで勝てば逆転するだけに、まさに天王山です。一方、今回のアジア予選の第1シードだった豪州は5戦連続無得点に終わって最下位に転落し、1988年ソウル五輪以来続いていた五輪連続出場記録が6でストップしました。豪州は2大会連続でU-20W杯に出場してますが、やはり今回の最終予選はIMDに実施されてないので、欧州組の招集が困難になったことが敗因でしょう。更には、欧州組と国内リーグ(Aリーグ)との実力格差や、若手育成があまり捗ってないことも挙げられます。今回の結果が、数年後の同国のフル代表やアジアの力関係にどのような影響を及ぼすのか、非常に注目ですね。


〔追記〕
国際サッカー連盟(FIFA)は2月24日、ロンドン五輪アジア最終予選の最終節(3月14日)について、C組の2試合を同時刻に開始することを決めました。国立競技場で行われる日本vsバーレーンは午後8時、ヨルダンのアンマンで行われるシリアvsマレーシアは現地時間で午後1時にキックオフとなります。



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☆マレーシアvs日本



☆バーレーンvsシリアのダイジェスト



☆オマーンvs韓国のダイジェスト



☆UAEvs豪州のダイジェスト



☆イラクvsウズベキスタンのダイジェスト




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2 コメント

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マスゴミが騒ぎ過ぎですね (こーじ)
2012-02-27 19:54:58
 個人的には前半のうちに点を取れれば3~4点ぐらい取れると思っていましたし、反対に0-0で後半に入ると引き分けもありえると考えてました。

 北京の時のベトナム戦では李忠成が10分に先制ゴールを挙げるなど前半で3-0とリードして
4-0でしたから、いかに早い時間帯での先取点が大事だったか分かります。

 そういう意味で35分の先制ゴールというのは
ギリギリの時間帯だったわけですけど、シリア戦と違い‘勝つしかない’という状況に追い込まれた事が意思統一につながり いい雰囲気で攻めていたのは間違いないですね。

 シリア戦が‘引き分けOK’という状況だったから勝ちに行くのか引き分けでもいいのか中途半端な感じで臨んだのを考えると、意思統一の大切さを彼らが思い知ったのが もう1つの収穫ではないかと思います。

 それにしてもマスゴミのミスリードは酷い。

 プロ野球的な‘自力云々’報道を何度やって心あるファンの失笑を買っているのか・・・ホント学習能力というのがありませんね。

 彼らの辞書には歴史に学ぶという発想が無いのかもしれませんし、実際シリアに敗れても一般のファンの反応は そこまで深刻ではありませんでしたからね。

 とりあえず油断はできませんけど、こういったプレッシャーを跳ね返して大津らを召集不能という逆境での敵地勝利は関塚ジャパンにとって素晴らしい財産になったと思います。
 
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2012-02-28 22:24:48
こんばんは、こーじさん

マレーシアは既に五輪予選の敗退は決定してましたが、ホームゲームだったことと、6月に新設のU-22アジア杯予選に向けて切り替えていたので、予想以上にモチベーションが高く、前半の苦戦に繋がったような気がします。
まあ、日本が先制点を奪ってからは、両国の地力の差がそのまま反映したと思いますけど。

得失点差で劣るバーレーンは2位に入ることも苦しいので、日本戦はあえて総攻撃態勢で大量得点を狙わずに、敵地で日本に一泡吹かせる為に堅守速攻で戦う可能性も捨てきれないです。
アジアのトップクラスの日本だと考えられない発想ですが、セカンドクラス以下の国だと格上相手にこの手の戦い方はよくやります。
若い日本にとっては、このやり方をやられると、焦っててこずるので、むしろ前に向かっててくれた方が楽ですね。

ただ、日本にとって幸運なのは最終節が同時刻キックオフなので、日本戦の結果を知ってからシリアが戦わないことです。
関塚監督を含めた首脳陣は、目の前の試合はもちろんのこと、他の試合の結果を考慮して、状況に応じた適切な采配をしなくてはいけませんね。
同時刻で行われる2試合で五輪切符が決まるのは、8年前のアテネの最終予選の時と状況が似てます(ただし、今回の方が圧倒的に有利)。
なので、今まで積み重ねた経験を活かせるのか、日本サッカー界全体が問われていると思います。
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