うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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史上初めて日本男子テニス選手3人がATPランキングで100位以内に

2012年03月21日 | テニス
男子テニスの最新世界ランキングが19日発表され、錦織圭(フリー)は前回発表から一つ上がって16位となり、自身が2月に更新した日本男子の歴代最高記録を塗り替えた。
 添田豪(空旅ドットコム)は77位から67位に、伊藤竜馬(北日本物産)は105位から94位に浮上し、ともに自己最高位となった。日本テニス協会によると、現行のランキング制が導入された1973年以降、男子シングルスで日本選手3人が同時に100位以内に入ったのは初めて。
 1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)ら上位8選手に変動はなかった。

〔時事通信 2012年3月19日の記事より〕


2012年3月19日発表の日本選手のATPランキング
2012年のATPツアーの全日程
ATPツアーの仕組み


                           *  *  *  *  *


3月19日に発表された男子テニスのATPランキングで、錦織圭が16位、添田豪が67位、伊藤竜馬が94位にランクされました。もちろん、3人とも全員がキャリアハイです。なお、伊藤がトップ100に入るのは、今回が初めてです。先日行われたATPチャレンジャー大会(男子プロテニス協会が統括する上から5番目の大会)で、添田は平果チャレンジャー大会で、伊藤は島津全日本室内選手権(京都チャレンジャー)でそれぞれ優勝したので、先週よりもランキングを10位近くも大幅に上昇させることに繋がりました。

ATPランキングが現行のコンピューターシステムを導入した1973年以降、日本の男子選手がトップ100に3選手がランクされたのは、今回が史上初めてです。錦織が登場する以前は、トップ100に入った日本選手は松岡修造(最高位46位)まで遡らなければならなかっただけに、同時に3人も入るのは歴史的な快挙だと言えます。昨年9月に、日本テニス協会強化本部は、竹内映二前デ杯日本代表監督が音頭を取り、「早い時期にトップ100に日本男子3人を送り込む」ことを目標に設定。トップ選手に強化費を重点配分し、ナショナルコーチを海外に帯同させるなど強化を図りました。ツアーのどの大会でも予選を免除されて自動的に本選から出場する権利が与えられる「トップ30」に入った錦織だけでなく、全体的に選手層が厚くなって質も向上したので、効果が早くも表れた格好です。

ちなみに、トップ100の各国の内訳は、スペイン12人、フランス10人、米国・ドイツ各7人、アルゼンチン・ロシア・イタリア各6人、クロアチア4人、セルビア・チェコ・日本・ベルギー各3人、スイス・豪州・ウクライナ・コロンビア・ポルトガル・ルーマニア各2人、18ヶ国が各1名ずつとなってます。選手個々の成績に違いがあるとはいえ、日本が強豪のセルビアとチェコと並んで3人もランクされているのは間違いなく大健闘です。なお、今年のデ杯でベスト8に進出した国の中で、トップ100の選手が1人しかいない国はオーストリアだけです(20位のユルゲン・メルツァー)。他の7ヶ国は全てトップ100に3人以上擁しております。たしかに、近年は過密日程の影響で一昔に比べるとデ杯の価値が薄れているとはいえ、デ杯のワールドグループの常連国の成績とトップ100の人数は、ある程度は相関関係があると言えます。ただ、チームランキングとあまり比例してないのは、ダブルスの差なのかもしれませんね。日本は9月にデ杯の入れ替え戦を控えているだけに、今以上に選手層を厚くして、更なるレベルアップをすることが求められます。

また、今回の結果、日本の男子テニスはロンドン五輪に複数の選手を派遣できる可能性が生まれました。五輪のテニスは、シングルスは64人が出場しますが、そのうち56人を6月11日発表のATPランキングで決めます。本大会は1ヶ国・地域最大4人まで参加資格が与えられるので、五輪出場圏内はだいたい65位前後が目安とされてます。なので、錦織は五輪出場が事実上確定しており、添田も出場圏内に近づいてます。それどころか、今後の伊藤のランク次第では、シングルスで4人出場した1924年パリ五輪以来の3人出場も夢ではないです。たしかに、プロ化がいち早く進んだテニスは、1988年ソウル五輪に復活するまで、正式競技を64年間も外されていた歴史があり、更には五輪には賞金もありませんので、タイトルの格付けは正直なところ微妙です(ただし、ポイントは発生します)。しかし、今回の会場は、テニス選手の憧れの聖地であるウィンブルドンなので注目度がとても高く、トップ選手の殆どが参戦を表明しているだけに、多くの選手を派遣して好成績を収めて、日本のテニスを世界に広くアピールしたいです(ちなみに、ロンドン五輪では、混合ダブルスが1924年パリ五輪以来88年ぶりに復活する)。

ちなみに、錦織は今週から米国のマイアミで行われる「ソニー・エリクソン・オープン」(賞金総額397万3050ドル、ハードコート)に参加します。第16シードの錦織は4回戦まで勝ち上がれば、世界2位のラファエル・ナダル(スペイン)と対戦する組み合わせです。この大会は「ATPワールドツアー・マスターズ1000」に位置付けられており、ATP(男子プロテニス協会)が統括する上から2番目にランクされるカテゴリーの大会なので多くの強豪選手が参戦するので、好成績を残せばポイントを多く稼げます。錦織は、先週に米国のインディアンウェルズで行われた同じマスターズ大会である「BNPパリバ・オープン」では2回戦で敗れただけに、今回は何としてでも勝ち上がって、ナダル戦にまで辿り着いてもらいたいです。

〔ATPランキングは2012年3月19日現在〕


〔追記〕
錦織はソニー・エリクソン・オープンでは4回戦(ベスト16)に進出し、世界ランク2位で第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)と3月27日に対戦。錦織は力強いストロークと多彩なショットで善戦したが、第1、第2セットともナダルのサービスゲームをブレークした直後のサービスゲームを落とし、4─6、4─6で敗北(ナダルとの対戦成績は通算4戦全敗)。ちなみに、ナダルとは昨年の2回戦でも対戦して今回と同じスコアで敗れてますが、今回の方が内容的には大健闘でした。



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