うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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なでしこジャパン、古豪ノルウェーに逆転勝利で今年の初戦を飾る

2012年03月01日 | サッカー(女子)
◆女子サッカー・アルガルベカップ2012(2012年2月29日 @ポルトガル・パルシャル/ベラ・ビスタスタジアム)

・1次リーグB組 (第1節)
日本 2(1-1)1 ノルウェー
得点者:日本)45分+1 永里優季、65分 川澄奈穂美
  ノルウェー)17分 イザベル・ヘルロフセン


・今大会の1次リーグの組み合わせ
A組:ドイツ(2)、☆スウェーデン(5)、アイスランド(15)、中国(18)
B組:☆米国(1)、☆日本(3)、ノルウェー(12)、デンマーク(12)
C組:アイルランド(29)、ハンガリー(34)、ポルトガル(43)、ウェールズ(46)
(カッコ内は2011年12月23日発表のFIFAランキング、☆はロンドン五輪出場国)

・今大会の順位決定戦の仕組み
決勝:A組1位 vs B組1位
3位決定戦:A組2位 vs B組2位
5位決定戦:A組3位 vs B組3位
7位決定戦:A・B4位のうち勝ち点上位 vs C組1位
9位決定戦:A・B4位のうち勝ち点下位 vs C組2位
11位決定戦:C組3位 vs C組4位

日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会の日本女子代表21名(日本サッカー協会HPより)
今大会の各国の出場選手(wikiより)
直近のFIFA女子ランキング

〔写真はロイターより〕


                           *  *  *  *  *


現世界女王の「なでしこジャパン」ことサッカー日本女子代表。2月29日~3月7日にポルトガルで開催の「アルガルベカップ」に参加し、昨年9月のロンドン五輪アジア最終予選以来となる国際試合を戦いました。日本は3位に入った昨年に続いて2年連続での参加です。この大会の位置付けを昔のアジアの男子サッカーで例えると、「ムルデカ大会」に似ているような気がしますね。ムルデカ大会とは、サッカー好きで知られるマレーシアのトゥンク・アブドゥル・ラーマン首相が、「アジアのレベル向上」を目的に1958年に創設。韓国や東南アジア諸国などアジアの強豪を相手に実力を試すだけでなく、アジアの公式大会の前哨戦の性格を帯びた大会でした(ちなみに、日本はムルデカ大会で優勝経験は皆無)。この大会は、現在は休眠状態ですが、オールドファンにはきっと懐かしく感じる大会でしょう。

今の時期だと、世界各地で女子の国際親善大会が行われてますが、世界の強豪を中心に12ヶ国が参加するアルガルベカップは、その中でも最高峰の国際大会です。1994年から行われている同大会は、女子が初めて正式採用されたアトランタ五輪よりも歴史が古く、五輪とW杯に次ぐ権威のある大会だと認識されてます。実は、当初日本は参加を予定してませんでしたが、欠場チームが出たので、急遽2年連続で日本が招待を受けました。FIFAランキング3位の日本は、ノルウェー(同12位タイ)、デンマーク(同12位タイ)、そして昨年のW杯準優勝で五輪2連覇中の米国(同1位)と同じ組に入りました。初戦の相手ノルウェーは、昨年夏のW杯では1次リーグで敗退してロンドン五輪出場を逃し、現在は来年の欧州選手権に向けて強化に邁進してます。日本はノルウェーに、前回の2008年北京五輪で5-1、昨年のアルガルベカップで1-0とそれぞれ勝利してます。今大会前までの両国の通算対戦成績は日本が3勝2敗と勝ち越してます。

しかし、ノルウェーは、W杯(1995年大会)と五輪(2000年シドニー大会)を各1度ずつ優勝経験のある古豪です。1990年代までの日本は、当時世界のトップクラスだったノルウェーよりも遥かに格下でした。当時はまだ景気が良かったこともあり、Lリーグ(現在のなでしこリーグ)には同国の選手が大勢在籍し、彼女たちから教えを請うていた時代でした。もちろん、国際大会では全く歯が立たず、アトランタ五輪と1999年の第3回世界選手権(現・W杯)ではそれぞれ0-4と大敗。中でも、世界選手権では、日本は1得点10失点で1次リーグ最下位に終わり、五輪開催国の豪州を除いて、大会上位7位以内に与えられるシドニー五輪の出場権を逃す苦渋を味わいます。しかも、この敗北が決定打となり、各企業チームの撤退が相次いで国内リーグは存亡の危機に立たされ、日本はその後数年に渡って低迷に喘ぐことになります。昔を知る人間にとっては、ノルウェーは選手の体格と同様に、巨大な壁であり、因縁の相手でした。

日本はセンターバックを岩清水梓を宇津木瑠美に代えた以外は、ほぼW杯優勝のレギュラーメンバーが先発に名を連ねました。試合は技術に勝る日本が徐々にボールを支配し、ノルウェーが日本の攻撃を警戒してディフェンスラインを下げてカウンターで応戦する展開。ただ、試合序盤は、ノルウェーの堅牢な守備と前線へのロングボール攻撃によって、幾度かピンチを招きます。前半17分、ペナルティーエリア左隅付近でボールを受けたイザベル・ヘルロフセンがDF熊谷紗希をかわして右足シュート。GK海堀あゆみが懸命に手を伸ばすも届かず、ゴールネットに突き刺さってノルウェーに先制点を許します。リードされた日本は反撃を試みるも、選手全体の動きが鈍く、更には選手間の呼吸が合わず、相手守備陣を中々崩せません。それでも、前半ロスタイムに、今大会から主将になったMF宮間あやからのクロスを永里優季が足で押し込んで同点に追いつきます。永里にとっては、W杯の1次リーグのニュージーランド戦以来となる代表での得点でした。日本は1-1の振り出しに戻して前半を終えます。

後半の立ち上がりは、ノルウェーが続けざまにチャンスを作り、日本はピンチを迎えます。しかし、日本はこのピンチを凌ぎ、徐々に落ち着きを取り戻して、前半同様にボールを支配します。中でも、宮間とDF鮫島彩のコンビで左サイドを起点に組み立て、再三のチャンスを作って主導権を掌握します。そして、後半20分、MF川澄奈穂美のシュートが相手DFの腹に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれるラッキーな形で逆転に成功。試合終盤は、日本は負傷明けの澤穂希ら主力5選手がベンチに下げ、次々と選手交代を図ります。そして、後半38分には、昨年10月のAFC U-19選手権でMVP&得点王に輝いた京川舞が代表デビューします。しかし、最後まで追加点は奪えず、結局試合はそのまま2-1で終了。逆転勝利を飾った日本は、白星スタートで今年の初陣を飾りました。

日本は、国内組がシーズン開幕前なので万全のコンディションではなく、決して良い内容ではなかったです。しかも、国内組は移動と時差もあるので、現在シーズン中の欧州組(鮫島、熊谷、永里、宇津木、安藤梢)との差は顕著でした(なお、安藤は今回のノルウェー戦は右膝痛のため欠場)。 一方、ライバルの米国は国内リーグ(WPS)の中止により選手達への影響が懸念されたが、代表チームに関しては昨年末から組みっぱなしで活動しており、更に1月には五輪予選を戦っているので、米国の方がコンディションや選手間の連係面では有利です。なので、現時点での力量を測り、課題を見つけるには最高の相手です。また、W杯は21名までの選手登録でしたが、五輪はたった18人だけなので、複数のポジションをこなせる選手が求められます(ちなみに、五輪はバックアップメンバーを4人まで帯同が可能)。それだけに、今回の日本は、世界の強豪を相手に腕を試すと同時に、7月の本番に備えてチーム全体の底上げも求められるので、新戦力を試しながら実りある成果を挙げることを期待したいです。


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