創造的深化

より納得のできる未来を、考えてみるには・・・

古語のお話

2015-08-31 12:20:42 | 言語
靴下
 靴下は最近死語になっているのだろうか。ソックスのことをいう。靴の下にはくものだからだ。実際は靴の内側にはくというのが正しい。しかし、この靴下という単語はとても古い。平安時代にも使われていたし、万葉集十六では「をちかたのふた綾下沓」という言葉で登場している。さて、ここで下沓(したくつ)と書かれているが、「くつした」が逆になっている。このころでは靴の下にはくことを逆にして「したくつ」と表現していた。「すだれ」を使った言葉でも、下簾(したすだれ)と書いて、すだれの下に吊るした布を表している。こうして平安時代頃には上と下が逆になっていた。これを逆語序という。
 この逆語序が優勢だった時代をさかのぼると、古語として日本の各地に散在している。「片岡」は丘の傍(かたわ)らで、今でも使われている。「片岡山」は丘の傍らにある山である。また古代の仮葬場(もがり)として、葬式の最初の儀式が、まず仮の喪葬であり「仮の喪」が逆になっていて「もがり」と称していた。また神の主は神々のぬしであることから神の神髄とも考えられ、かつては主神(しゅじん)と逆になっていて、ここから家の主ほ主人(しゅじん)というようななった。家の主は、各家の神でもあった時代の話である。


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