奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

廊下で見つけた虫とコウモリ

2023-10-22 21:12:16 | 奈良散策
奈良散策 第958弾


10月11日午前中に散歩に行った帰り、マンションの管理人さんから階段の踊り場にコウモリがいると教えていただきました。ついでに廊下で虫探しもしました。



最初はキマダラカメムシです。Wikipediaによると、台湾から東南アジアからの移入種だそうです。





これはムネアカオオクロテントウという中国、台湾、ベトナムなどからの移入種です。これについて大阪市立自然史博物館では市民調査を行っていました[1]。それによると、2015年9月に大阪府河南町で発見された後、市民からの通報をもとに調べてみると、徐々に範囲が広がっていき、2020年には京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県、兵庫県でも見出されました。そのときの拡散速度は75.3 m/日だったそうです。河南町と私の住んでいる大和郡山とは22 kmほど離れているので、日にちに換算すると290日。つまり、2016年7月ごろには到達していたことになります。

[1] 初宿成彦、「大阪市立自然史博物館・外来生物調査プロジェクト(Project A)によるムネアカオオクロテントウ・ユーカリハムシ・ヨツモンカメノコハムシの市民調査報告」、Bulletin of the Osaka Museum of Natural History 75, 53 (2021).



さて、問題のコウモリです。階段の踊り場の排水溝の隅でうずくまっていました。思ったよりは小さなコウモリでした。近寄って写真を撮ってもまったく動こうとしません。すぐ横にスケールを置いて写真を撮りました。





顔の写真を撮ろうとしたのですが、下を向いているのでうまく撮れませんでした。



「コウモリ識別ハンドブック」を見ると、検索表は目や鼻や耳を見ないといけないので使えません。前腕長が載っていたので近くにスケールを置いて測ってみました。33.1 mmになりました。日本では37種のコウモリが確認されているそうですが、前腕長の大きさと分布で調べてみると、アブラ、モリアブラ、ヒメホオヒゲ、クロホオヒゲ、コテングの5種が該当しました。外観的にはアブラか、モリアブラかという感じですが、アブラのねぐらは家屋の瓦の下、戸袋の中、建物の隙間などで市街地を中心に平野部に広く分布するとのことです。一方、モリアブラは樹洞で、絶滅危惧IB類になっています。アブラは背面が灰褐色、モリアブラは濃い橙褐色という違いもあり、これからアブラコウモリではないかと思っています。



このクモ、何度も見るのですが、名前が分かりません。Googleレンズで調べてみようと思ってやってみたのですが、ぴたりとくるものは見つかりませんでした。ただ、候補にはウシオグモ科のBadumna、ハグモ科、ハタケグモ科が上がっていました。Badumnaあたりが近いのかもしれません。



これはホオズキカメムシ



そして、ツヤアオカメムシ。探せばいろいろいるものですね。

雑談1)ブログに出す写真が溜まってきて、出すのが10日ほど遅れてしまいました。それで、速報性がないので、最近の話題を雑談として書いておきます。今日は散歩のときにニュウナイスズメを3羽見ました。昨年は10月28日が初見だったので、今年は少し早いのかもしれません。このほかにノビタキ2羽も見ることができました。

雑談2)この間から、奈良市にある率川神社、率川阿波神社、漢國神社の三社について古文書を調べ始めたのですが、だんだん面白くなって、いつの間にかはまってしまいました。今日は江戸時代初期から中期に活躍した村井古道の書いた「率川御子守本縁」を読んでみました。この文書には率川神社と率川阿波神社の由緒が詳しく書かれています。古道はこのあたりに住んでいて、これらの神社の祭神や由緒が誤って伝えられているのを嘆いて、三十年の月日を費やして調査した結果をまとめたという労作です。ただ、漢文で書かれているので、これを一旦書き下し文に直し、それから現代語に直すのでかなり大変な作業になりました。それでも、少しは慣れてきました。これが終わったら、「元要記」という平安後期に書かれたとされている文書を調べてみようと思っています。ここにも率川神社と漢國神社について詳しく載っています。ただ、これは江戸時代に書かれた偽書ではないかと言われれていますが、ほかの文書とは異なった立場で書かれているのでちょっと興味があります。